関東大震災と鉄道

 内容紹介の3回目は特別企画「関東大震災と鉄道」です。地図帳p44~45には大正12年の地図、p46~47には内田宗治氏執筆による記事を掲載しています。地図と記事の作成にあたり参考にした1冊として、当時の鉄道省が残した『大正十二年 鉄道震害調査書』という本があります。非売品です。
 この本はテキストはもちろんのこと、地図、写真を豊富に使って鉄道の被害を記録しています。日本鉄道旅行地図帳「東日本大震災の記録」では、地図上に地震発生時どこに列車が止まったかを表示しましたが、この大正12年の『調査書』にも同様の地図があります。
 さらに地震発生後早々に写したと思われる写真も大量に掲載されています。そもそも鉄道以外の交通機関が未発達の時代であることを考えると、取材調査にあたった人々はたいへんな苦労をされたと想像できます。
 この『調査書』に掲載された写真は数点地図帳に転載いたしましたが、これほど貴重な記録はもっと多くの人たちにも見ていただきたいと考え、東海道本線の被害の写真を中心に、駅ごと、駅間ごとに整理し、説明もあらためて付し、「写真サイト」にアップしました。どうぞご覧ください。
 ここでは3点ご紹介いたします。「写真サイト」から引用した説明文はすべて内田宗治氏の執筆。


 東京駅第3ホーム。見栄えの悪い写真ですが、以下の説明をお読みください。
「鋼鉄より脆い鋳鉄(ちゅうてつ)製の柱が折れホーム上家の屋根が落ちた。ちょうど下関発の急行第6列車の到着間際のため、出迎え客40名ほどがこのホームにいたが、駅員が線路に飛び降りるよう大声で指示し、2名の軽傷のみですんだ」(「写真サイト」より)


これは茅ヶ崎駅
「茅ヶ崎駅停車中に転覆した上り貨物第410列車。牽引機は9600形(29685号機)。貨車46両連結で大半が積載車だった。停車中の列車が転覆したのは、当地を襲った激震の大きさを物語る」(「写真サイト」より)


下曽我~松田で地震に遭った貨物牽引機。この区間は現御殿場線である。
「上り貨物第602列車の牽引機は、急客用の8620形機関車。松田駅長は貨物の略奪を怖れ、全貨車に鉄線を二重に巡らせ時々駅員に監視させたが、人手不足のため、不幸にも二日後の夜、大部分が略奪された」(「写真サイト」より)


<投稿日:2011年08月25日>
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