新潮社の沿革

I 創業

1896年〜1946年

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1946
基盤

初代・佐藤義亮(1878~1951)

文芸出版の雄として

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1896

1896年(明治29年)
創業者・佐藤義亮が文芸雑誌「新声」を創刊

秋田県角館から青雲の志を抱いて単身上京した青年が18歳で創業。「新潮」の前身である「新声」の創刊が、新潮社の出版活動の原点である。
写真:「新声」創刊号

1904年(明治37年)
「新潮」創刊、
新たに新潮社を創立

日露戦争が勃発し、風雲急を告げる時代に、義亮は「このような時にこそ文学が必要である」と新たな文芸雑誌「新潮」の創刊に踏み切った。社名も「新潮社」とする。
写真:「新潮」創刊号

1914年(大正3年)
「新潮文庫」創刊

ドイツのレクラム文庫にならって創刊。翻訳出版で定評を得つつあった中で、一部専門家の間でのみ親しまれてきた泰西名著を一般に普及すべく、正確な全訳を期した。
写真:第一期「新潮文庫」(1914年~1917年)第一編はトルストイ『人生論』

1923年(大正12年)
新社屋完成

鉄筋コンクリート4階建ての新社屋は8月に竣工、9月1日午後にお披露目の式典を予定していたところに関東大震災が襲う。しかし新社屋は無事であった。

1927年(昭和2年)
「世界文学全集」
全57巻の刊行開始

『レ・ミゼラブル』第一巻に始まる第一期は全38巻、続いて第二期全19巻を刊行、全57巻として1932年に完結。これによって文学の出版社としての地歩を固めた。

1935年(昭和10年)
「日本少国民文庫」
全16巻の刊行開始

山本有三が責任編集、吉野源三郎、石井桃子らが編集同人を務めた。山本有三・吉野源三郎『君たちはどう生きるか』もこの叢書から刊行され、子どもたちに多大な影響を与えた。
写真:宮﨑駿監督の映画「君たちはどう生きるか」にもこの装幀で登場している

「I 創業」の詳細

II 基盤

1946年~1967年

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1967
発展

第2代・佐藤義夫(1900~1967)

戦後出版界の形を作る

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1946

1947年(昭和22年)
「新潮文庫」(第四期)刊行開始

昭和文学に主眼を置いた文庫として戦後再出発。川端康成『雪国』を入稿番号「1」とし、現在その通し番号は11800を超えている(2023年末現在)

1947年(昭和22年)
月刊誌「小説新潮」創刊
(9月号)

小説中心の新機軸の大衆雑誌として創刊。芥川賞受賞作家を起用するなど、それまでの大衆小説とは一線を画した「中間小説」のジャンルを開いた。

1950年(昭和25年)
月刊誌「芸術新潮」創刊
(1月号)

芸術の総合雑誌として創刊。和辻哲郎、小林秀雄らを執筆陣に揃え、作家の随筆も充実、見るだけでなく、読む芸術雑誌として広く読者を得ていく。

1952年(昭和27年)
「現代世界文学全集」
全46巻の刊行開始

20世紀世界文学の傑作をほぼ網羅した戦後初めての本格的文学全集。各巻とも翻訳物としては驚異的な売れ行きを示し、全集の時代の幕開けとなった。

1956年(昭和31年)
「週刊新潮」創刊
(2月19日号)

出版社による初の週刊誌として創刊。編集長は佐藤亮一、表紙絵は谷内六郎。文芸出版社ならではの連載小説も好評を博し、週刊誌時代の先鞭をつける。創刊号30万部は完売。
写真:「週刊新潮」創刊宣伝隊。東京と大阪では創刊の宣伝カーを走らせた

1959年(昭和34年)
「日本文学全集」
全72巻の刊行開始

明治・大正・昭和の代表的名作を収録した全集。ハンディな特別判型は、普及し始めていたトランジスタ・ラジオの型からヒントを得たもので、大きな反響を呼んだ。

1961年(昭和36年)
「純文学書下ろし特別作品」の刊行を始める

「第一線の作家たちが、現代のもっとも重要な文学的課題と取り組み、書下ろした本格的長編シリーズ」として刊行開始。函入りの豪華装幀で話題作が続々と登場した。
写真:第一弾は石川達三『充たされた生活』

1966年(昭和41年)
新社屋が完成し、
現在の「本館」の形となる

1957年に本館南側が竣工、1959年に第一倉庫が竣工、これに続く本館北側の増築で、同じ特殊タイル外装の堅牢な「本館」が整った(「別館」は1974年竣工)。
写真:現社屋のロビー彫刻「人類の文字」もこの時に設えられた

「II 基盤」の詳細

Ⅲ 発展

1967年〜1996年

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1996
挑戦

第3代・佐藤亮一(1923~2001)

豊穣なる作品群の誕生

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1967

1967年(昭和42年)
PR誌「波」創刊(1月号)

1953年より不定期に刊行していた出版案内「カタログ」を発展させ新創刊(当初は年4回発行)。

1967年(昭和42年)
「新潮選書」創刊

学術や文芸を幅広く包摂したユニークな内容の教養書の叢書として好評を博す。数々の名著、文学賞受賞作が生まれた。

1972年(昭和47年)
有吉佐和子
『恍惚の人』を刊行

発売4カ月で100万部を超え、この年最大のベストセラーとなる。

1974年(昭和49年)
リチャード・バック著、五木寛之訳『かもめのジョナサン』を刊行

発売3カ月で100万部を突破し、この年最大のベストセラーとなる。

1981年(昭和56年)
初の写真週刊誌「FOCUS」
創刊(10月30日号)

「写真で時代を読む」をキャッチフレーズに創刊。写真とコラムを組み合わせた新しい形態の週刊誌として話題を集め、「写真週刊誌の時代」を開いた。

1985年(昭和60年)
「新潮45」創刊(5月号)

1982年に創刊した中高年向け総合誌「新潮45+」をリニューアル、誌名も「新潮45」に変更し、日記・伝記を中心としたノンフィクション誌として新創刊。話題作が次々に生まれた。

1988年(昭和63年)
三島由紀夫賞・山本周五郎賞を新設

第1回三島由紀夫賞は高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)、第1回山本周五郎賞は山田太一『異人たちとの夏』(新潮社)が受賞。

1988年(昭和63年)
日本推理サスペンス大賞を新設(~1994年)

第1回優秀作に乃南アサ「幸福な朝食」、第2回大賞に宮部みゆき「魔術はささやく」、第3回大賞に髙村薫「黄金を抱いて翔べ」と大型新人が続々と登場した。

1989年(昭和64年・平成元年)
日本ファンタジーノベル大賞を新設

第1回大賞に酒見賢一「後宮小説」、優秀賞に山口泉「宇宙のみなもとの滝」。それまでにないジャンルの新人賞として、以後、多岐にわたる作家が輩出している。

1990年(平成2年)
国際政治経済情報誌
「Foresight」創刊(3月号)

新潮社初の年間予約購読、直接郵送の直販型月刊誌として創刊。冷戦終結後の激動の世界を読むクオリティマガジンとして注目を集めた。

1994年(平成6年)
総合グラフィック月刊誌
「SINRA」創刊(1月号)

自然にまつわるすべてを対象としたネイチャー雑誌。創刊号の特集は「自然がぼくらの仕事場です。」。第一線の写真家を起用した美しい誌面は高く評価された。

1994年(平成6年)
五霞ロジスティクスセンターが竣工、翌1995年より全面稼働

それまで五カ所に分散していた流通部門の業務(入庫、出庫、保管、返品改装など)を一元化して担う物流基地としてこの年3月に竣工、翌95年1月より全面稼働。

「Ⅲ 発展」の詳細

Ⅳ 挑戦

1996年〜現在

第4代・佐藤隆信(1956~)

激変する時代と共に

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1996

1996年(平成8年)
創立100周年

100周年を機に佐藤隆信が社長となる。前社長の佐藤亮一は会長に就任。『新潮社一〇〇年図書総目録』を刊行し、11月には記念祝賀パーティを催した。

2000年(平成12年)
「nicola」月刊化(4月号)

小中学生向けのファッション誌として1997年に創刊。隔月刊化を経て、この年から月刊化。中学生のライフスタイル全般を扱う雑誌として人気を博す。写真:創刊号(左)と月刊化第1号

2000年(平成12年)
「ENGINE」創刊(10月号)

月刊の自動車雑誌として創刊。ファッションや時計も扱うライフスタイルマガジンとしてファンをつかむ。 

2001年(平成13年)
「週刊コミックバンチ」創刊(5月29日号)

新潮社初の漫画雑誌への挑戦として創刊した週刊青年漫画誌。2010年に休刊し、コミックへの取り組みは月刊誌として再出発。

2003年(平成15年)
「新潮新書」創刊 養老孟司
『バカの壁』がベストセラーに

新書創刊ブームの最後発と言われたが、創刊ラインアップ10冊は書店ランキングを独占、その1冊であった養老孟司『バカの壁』が400万部を超えるベストセラーとなる。

2004年(平成16年)
小川洋子『博士の愛した数式』が第1回本屋大賞に

書店員による手作りの賞「本屋大賞」の第1回で小川洋子『博士の愛した数式』が受賞。翌年の第2回も恩田陸『夜のピクニック』が受賞し、新潮社が2年連続となった。

2005年(平成17年)
藤原正彦『国家の品格』(新潮新書)を刊行

画期的な日本論として発売直後から注目され、2006年元旦の新聞広告でさらに火が付き、250万部を超えるベストセラーとなった。「品格」というタイトルもブームに。

2009年(平成21年)
村上春樹『1Q84』を刊行

この年BOOK1、BOOK2を、翌2010年にBOOK3を刊行。ベストセラーとなり、社会現象にもなった。

2011年(平成23年)
「月刊コミック@バンチ」創刊(3月号)

「週刊コミックバンチ」を休刊し、月刊誌として再出発。新潮社のコミックならではのヒット作が続々生まれている。2018年からは「月刊コミックバンチ」に誌名変更。

2014年(平成26年)
「新潮文庫」創刊100年
「新潮文庫nex」創刊

新潮文庫創刊から100年を記念して、キャラクター小説に特化した新レーベル「新潮文庫nex」を創刊。創刊ラインアップの河野裕『いなくなれ、群青』が大ヒット。

2014年(平成26年)
「la kagū」オープン

隈研吾氏の設計で倉庫をリノベーションし、商業施設としてオープン。「奥神楽坂」の新たな人気スポットとして注目を集める。

2017年(平成29年)
村上春樹『騎士団長殺し』を刊行

「第1部 顕れるイデア編」「第2部 遷ろうメタファー編」を同時刊行、7年ぶりの長編に注目が集まる。

2019年(平成31年・令和元年)
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を刊行

「波」連載中から話題を呼んだノンフィクション作品。「Yahoo!ニュース本屋大賞 2019年ノンフィクション本大賞」をはじめ数々の賞を受賞し、ベストセラーとなった。

2019年(平成31年・令和元年)
小野不由美『白銀の墟 玄の月』(新潮文庫 全4巻)を刊行

「十二国記」シリーズの18年ぶりとなるオリジナル長編。刊行自体が社会現象となり、「Yahoo!検索大賞 2019 小説部門賞」を受賞。4巻で250万部を超えるベストセラーに。

2021年(令和3年) 
創立125周年

「文芸出版の老舗」として125周年を迎えました。
これからも毎年、さまざまな話題作を
お届けしてまいります。

「Ⅳ 挑戦」の詳細