大船渡線(1)前代未聞の「行方不明」列車

 ……ほかに連絡が取れないのは、宮城県気仙沼市の松岩―最知を走行中だった気仙沼線(2両編成)1本と、岩手県大船渡市の大船渡線(同)の2本。大船渡線の1本は大船渡―下船渡、もう1本は盛駅付近を走行していたとみられる。地震発生直後は連絡が取れたが、その後連絡がつかなくなった。――
 朝日新聞3月12日付けの記事の引用である。つまり列車が行方不明になったということだが、混乱のさなかとはいえ、前代未聞のことである。1枚目の写真は「盛駅付近を走行していたとみられる」列車である。この列車はおそらく定時(14時40分着)に盛に到着していた。なぜならこの列車が盛駅に到着しないと、一ノ関行き(大船渡~下船渡で停車した列車)が出発できないからである。この列車が通ってきた線路や周辺は、その後襲った津波で写真の2枚目から4枚目の惨状となる。
 大船渡~下船渡に停車した列車は大船渡14時45分発。停車した場所は大船渡から1.1km付近の小高い丘の上。この列車、地震発生後も停止せず、丘の上に登って停車したという。目撃者もいる。もし運転士の判断でそうしたのなら、その判断は的確であった。どちらの列車も「行方不明」となったが、乗客乗務員は無事であった。


盛駅に停まったままの「行方不明列車」。ここ盛駅構内も洗われる程度に浸水したという 撮影/編集部 5月3日


大船渡線と三陸鉄道がしばらく併走する盛付近 撮影/冨手淳 3月13日


激しく破壊された大船渡駅周辺 撮影/編集部 5月3日


破壊の激しさに息をのむ。大船渡駅 撮影/編集部 5月3日


小高い丘に駆け上がった列車。ただしここでも床下浸水している 撮影/5月3日


大船渡線 <投稿日:2011年07月21日>
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