JR山田線(3)語り継がれる津波のエピソード
参考図書をふたつ紹介する。ひとつは昭文社『東日本大震災 復興支援地図』。B4版に津波被災地域を中心に編集してあるので、重宝している。津波浸水範囲に網掛けも施してある。売れ行き好調とのこと。山田湾に面している駅は前回紹介した陸中山田と織笠。取材時、織笠と次の岩手船越を割愛して先を急いだため、写真がない。その織笠は『鉄道ジャーナル』8月号が写真入りで紹介している。写真ではそれが駅かどうかわからないほど破壊されている。吉村昭『三陸大津波』(文春文庫)を持ち出すまでもなく、記録を残すことはメディアの最重要の仕事である。ファンの視点で記事を掲載することの重要さを『鉄道ジャーナル』の誌面は伝えている。
衝撃の陸中山田の次に訪れたのは浪板海岸。海水浴場からつづく小さな入江を横断する山田線の築堤は、ご覧のような無残な姿に。待合室、ホームは無事だが、線路は山側に滑り落ちていた。築堤の上で出会った老人に、救助活動中に命を落とした消防士の話や、ホーム上で津波を見ていた人たちが危うく飲み込まれそうになったことなどの話を聞く。「津々浦々」で語り継がれる津波のエピソードが蓄積されているのだ。
津波で前屈みになった駅名標 撮影/編集部 5月1日
津波は写真奥の山側からもホームを襲った 撮影/編集部 5月1日
ホームから海を望む 撮影/編集部 5月1日
ホームから見る大槌方面の破壊された築堤 撮影/編集部 5月1日
築堤上から浪板海岸駅のホームを見る 撮影/編集部 5月1日
JR山田線
<投稿日:2011年06月30日>
Trackback