これまでの漢和辞典は、「漢文」を読むためにつくられてきた。『新潮日本語漢字辞典』は、日本語の文章を読み書きするための、初めての本格的な「漢字辞典」としてつくられた。
それぞれの漢字や熟語が、実際に使われた例は、明治、大正、昭和の日本文学を中心として採集し、夏目漱石、森
外から現代の作家に至る名文をたっぷりと引用した。これまでの漢和辞典は、中国の古典からの引用が大半だった。
熟語の数は4万7000。それらのすべてを五十音順で引ける熟語索引を収載。索引だけで、どう書くのかも即座にわかる。音訓索引、総画索引も見やすく引きやすく設計した。
見出し字総数、15,375字。常用漢字、人名用漢字、表外漢字字体表の漢字をすべて収録。JIS漢字は第1から第4水準まで収録し、JISコードも併記した。さらに、これまでの漢和辞典にはほとんど収録されることがなかった日本で生まれた略字、異体字の類も多数収録した。
それぞれの字の参考欄で、字形が紛らわしい場合はその注意点を、意味の似た字がある場合はその使い分けを説明するほか、常用漢字、人名用漢字、JIS漢字など、戦後の日本の漢字政策等の変遷も記した。