新潮社の沿革

Ⅲ 発展

1967年~1996年

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第3代・佐藤亮一(1923~2001)

豊穣なる作品群の誕生

1967
(昭和42年)

第2代社長・佐藤義夫死去、第3代社長に義夫の長男佐藤亮一が就任

第2代義夫は1946年の就任以来、「小説新潮」「芸術新潮」「週刊新潮」を創刊し、戦後新潮社の経営の基盤を確立した。旅行先の新潟で心筋梗塞で倒れ、急逝(享年66)。その遺志にもとづき、財団法人新潮文芸振興会を設立。

PR誌「波」創刊(1月号)

1953年より不定期に刊行していた出版案内「カタログ」を発展させ新創刊(当初は年4回発行)。

「新潮選書」創刊

第一弾は福原麟太郎『読書と或る人生』、中野好夫『シェイクスピアの面白さ』、東山魁夷『風景との対話』。学術や文芸を幅広く包摂したユニークな内容の教養書の叢書として好評を博す。数々の名著、文学賞受賞作が生まれた。

「山本周五郎小説全集」全33巻別巻5、「小林秀雄全集」全12巻、「世界詩人全集」全24巻の刊行開始

有吉佐和子『華岡青洲の妻』、司馬遼󠄁太郎『国盗り物語』新装版(前編・後編)、高橋和巳『我が心は石にあらず』を刊行

「新潮小説文庫」の刊行を始める(~1969年)

時代小説、ミステリ、ユーモア小説などを中心とした新たな新書判のシリーズ。第一弾は松本清張『死の枝』、司馬遼󠄁太郎『果心居士の幻術』、黒岩重吾『真昼の罠』、大藪春彦『戦いの肖像』。

1968
(昭和43年)

創立70周年記念出版『新潮日本文学小辞典』を刊行

新潮社三大文学賞を廃止し、新たに新潮文芸振興会主催による「三大新潮賞」(日本文学大賞、日本芸術大賞、新潮新人賞)を設ける

「新潮世界文学」全49巻、「新潮日本文学」全64巻の刊行開始

「舟橋聖一選集」全13巻、「水上勉選集」全6巻の刊行開始

開高健『輝ける闇』(純文学書下ろし特別作品)、石川達三『青春の蹉跌』、司馬遼󠄁太郎『峠』(前編・後編)、三浦綾子『塩狩峠』を刊行

川端康成がノーベル文学賞を受賞

1969
(昭和44年)

ノーベル文学賞受賞記念出版として、「川端康成全集」全19巻の刊行開始

三島由紀夫『豊饒の海』全4巻の刊行開始

ソルジェニツィン『ガン病棟』(第一部・第二部 小笠原豊樹訳)、新田次郎『孤高の人』(上・下)、立原正秋『冬の旅』(上・下)、北杜夫『さびしい王様』を刊行

第1回三大新潮賞を発表

日本文学大賞は井上靖『おろしや国酔夢譚』、稲垣足穂『少年愛の美学』。新潮新人賞は北原亞以子「ママは知らなかつたのよ」。日本芸術大賞は香月泰男「シベリア・シリーズ」。

「ノーマン・メイラー全集」全8巻、「沈黙の世界史」全13巻の刊行開始

1970
(昭和45年)

「有吉佐和子選集」全13巻の刊行開始

塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』、江藤淳『漱石とその時代』(第一部・第二部 新潮選書)、石原慎太郎『化石の森』(上・下 純文学書下ろし特別作品)を刊行

三島由紀夫が自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹自殺(11月25日)

1971
(昭和46年)

「新潮」新年号に三島由紀夫「天人五衰―『豊饒の海』最終巻」の最終回を発表

脱稿日付は事件の起こった昭和45年11月25日。

「新潮」1月臨時増刊号『三島由紀夫読本』を発行

「新鋭書下ろし作品」の刊行を始める(~1985年)

第一弾は加賀乙彦『荒地を旅する者たち』。

「書下ろし新潮劇場」の刊行を始める(~1975年)

第一弾は安部公房『未必の故意』、別役実『移動』。

「現代の思想家」の刊行を始める(~1973年)

英フォンタナ・コリンズ社「フォンタナ・モダン・マスターズ」の翻訳刊行。第一弾は『カミュ』『ゲバラ』。

「新潮書下ろし文芸作品」の刊行を始める(~1988年)

第一弾は新田次郎『八甲田山死の彷徨』。

「新潮少年文庫」の刊行を始める(~1973年)

第一線作家たちによる少年少女向けの書下ろし長編シリーズ。第一弾は星新一『だれも知らない国で』、三浦哲郎『ユタとふしぎな仲間たち』、吉村昭『めっちゃ医者伝』。

「中山義秀全集」全9巻、「トーマス・マン全集」全12巻別巻1の刊行開始

柴田翔『立ち盡す明日』、高野悦子『二十歳の原点』、白洲正子『かくれ里』を刊行

司馬遼󠄁太郎『国盗り物語』(新潮文庫)全4冊を刊行

1973年のNHK大河ドラマの原作となり、1973年2月までに全4冊あわせて203万部を記録する。

1972
(昭和47年)

有吉佐和子『恍惚の人』(純文学書下ろし特別作品)を刊行

発売4カ月で100万部を超え、この年最大のベストセラーとなる。

「石川達三作品集」全25巻、「安部公房全作品」全15巻、「伊藤整全集」全24巻、「カミュ全集」全10巻、「井上靖小説全集」全32巻の刊行開始

円地文子の完訳『源氏物語』全10巻の刊行開始

筒井康隆『家族八景』、開高健『夏の闇』、梅原猛『隠された十字架』、司馬遼󠄁太郎『花神』(一~四)を刊行

川端康成が逗子マリーナで自殺(4月16日)

「新潮」6月臨時増刊号『川端康成読本』を発行する。

1973
(昭和48年)

「三島由紀夫全集」全35巻補巻1、「福永武彦全小説」全11巻、「開高健全作品」全12巻の刊行開始

池波正太郎『剣客商売』、安部公房『箱男』(純文学書下ろし特別作品)、山崎豊子『華麗なる一族』(上・中・下)、大江健三郎『洪水はわが魂に及び』(上・下 純文学書下ろし特別作品)、司馬遼󠄁太郎『覇王の家』(前編・後編)を刊行

「新潮文庫」が戦後の第四期以降で発行部数2億5000万部を突破する

1974
(昭和49年)

リチャード・バック著、五木寛之訳『かもめのジョナサン』を刊行

発売3カ月で100万部を突破し、この年最大のベストセラーとなる。

「新潮美術文庫」全50巻の刊行開始

堀田善衞『ゴヤ』全4巻の刊行開始

「芹沢光治良作品集」全16巻、「武田泰淳中国小説集」全5巻、「新田次郎全集」全22巻、「星新一の作品集」全18巻、「立原正秋選集」全12巻、「平野謙全集」全13巻の刊行開始

城山三郎『落日燃ゆ』(新潮書下ろし文芸作品)、ソルジェニーツィン『収容所群島』(1・2 木村浩訳)を刊行

別館の新築落成式を行う(6月25日)

1975
(昭和50年)

「新潮」(1974年9月号)に掲載された日野啓三「あの夕陽」が第72回芥川賞を受賞

「遠藤周作文学全集」全11巻、「倉橋由美子全作品」全8巻の刊行開始

有吉佐和子『複合汚染』(上・下)を刊行

12月までに上下で102万部を超える。

井上ひさし『ドン松五郎の生活』(上・下)、ミシェル・フーコー『狂気の歴史』(田村俶訳)、城山三郎『官僚たちの夏』、檀一雄『火宅の人』を刊行

「週刊新潮」創刊1000号記念号を発行

1976
(昭和51年)

創立80年記念出版として「新潮日本古典集成」の刊行を始める

「定本版 山本有三全集」全12巻、「北杜夫全集」全15巻の刊行開始

山崎豊子『不毛地帯』(一・二 続く三・四は1978年刊)、五木寛之『戒厳令の夜』(上・下)を刊行

テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の影響で、新潮文庫の坪田譲治『日本むかしばなし集』の売れ行きが伸び、一~三集合わせて100万部を超える

毎年行ってきた「新潮文庫ベスト100」を、近現代の名作を中心とする「新潮文庫の100冊」に衣替え。以後、文庫最大のイベントとして定着

1977
(昭和52年)

NHK大河ドラマ「花神」の放映により、原作となった司馬遼󠄁太郎『花神』(上・中・下 新潮文庫)が12月までに合計180万部に達する

映画「八甲田山」の公開により、原作となった新田次郎『八甲田山死の彷徨』がベストセラーとなる

「坪田譲治全集」全12巻、「檀一雄全集」全8巻、「有吉佐和子選集」第二期全13巻、「大江健三郎全作品」第二期全6巻、「円地文子全集」全16巻、「阿川弘之自選作品」全10巻の刊行開始

伊佐千尋『逆転』、大岡昇平『事件』、ミシェル・フーコー『監獄の誕生』(田村俶訳)、島尾敏雄『死の棘』、小林秀雄『本居宣長』、沢木耕太郎『人の砂漠』、藤原正彦『若き数学者のアメリカ』を刊行

新潮文庫からルシアン・ネイハム『シャドー81』(中野圭二訳)、ジェフリー・アーチャー『百万ドルをとり返せ!』(永井淳訳)を刊行、新潮文庫の海外エンターテインメントの嚆矢となる

社内に電算室を新設し、業務にコンピューターを導入

1978
(昭和53年)

「週刊新潮」で3回にわたって袴田里見の手記「『昨日の同志』宮本顕治」を掲載、大きな反響を呼ぶ

「新訂 小林秀雄全集」全13巻別巻2、「決定版 ドストエフスキー全集」全27巻別巻1、「新潮現代文学」全80巻、「東山魁夷画文集」全10巻別巻1の刊行開始

城山三郎『黄金の日日』(新潮書下ろし文芸作品)、高田宏『言葉の海へ』(新潮書下ろし文芸作品)、藤沢周平『用心棒日月抄』、吉行淳之介『夕暮まで』、阿川弘之『米内光政』(上・下)を刊行

田辺聖子『新源氏物語』(一~五)の刊行開始

1979
(昭和54年)

「週刊新潮」7月5日号より山本夏彦「夏彦の写真コラム」が始まる(~2002年)

「新潮古代美術館」全14巻の刊行開始

加賀乙彦『宣告』(上・下)、司馬遼󠄁太郎『胡蝶の夢』(一~五)、宮脇俊三『最長片道切符の旅』、大江健三郎『同時代ゲーム』(純文学書下ろし特別作品)、吉村昭『ポーツマスの旗』を刊行

1980
(昭和55年)

「城山三郎全集」全14巻、「川端康成全集」全35巻補巻2、「決定版 カフカ全集」全12巻の刊行開始

「小説新潮」2月号から向田邦子の短編連作「思い出トランプ」を始める。このうちの3編が上半期の直木賞(第83回)を受賞

司馬遼󠄁太郎『項羽と劉邦』(上・中・下)、松本清張『黒革の手帖』(上・下)を刊行

新潮文庫初の歌詩集『さだまさし 時のほとりで』が人気を呼び、年末までに50万部を突破

1981
(昭和56年)

初の写真週刊誌「FOCUS」創刊(10月30日号)(~2001年)

「写真で時代を読む」をキャッチフレーズに、写真とコラムを組み合わせた新しい形態の週刊誌として話題を集める。A4判変型64頁の薄型週刊誌は日本初の試みで、創刊号は43万6000部。翌1982年2月19日号の「ホテルニュージャパン火災」「日航機羽田沖墜落事故」現場写真を機に部数はうなぎ登りに増える。

「五味康祐代表作集」全10巻、「山本周五郎全集」全30巻、「河上徹太郎著作集」全7巻の刊行開始

青島幸男『人間万事塞翁が丙午』、沢木耕太郎『一瞬の夏』(上・下)、井上ひさし『吉里吉里人』、高坂正堯『文明が衰亡するとき』(新潮選書)を刊行

「新潮」(1981年2月号)掲載の吉行理恵「小さな貴婦人」が第85回芥川賞を受賞、青島幸男『人間万事塞翁が丙午』が第85回直木賞を受賞

「週刊新潮」創刊以来親しまれてきた谷内六郎の表紙絵が年内の号で終了。1982年1月7日号より版画家田中正秋の「日本の祭り」シリーズに。

1982
(昭和57年)

「FOCUS」4月9日号に「ロッキード法廷の田中角栄写真」を掲載

月刊総合雑誌「新潮45+」創刊(5月号)

「人生充実期・充電期のための新しい月刊誌」をキャッチフレーズに、中高年層を対象にした熟年雑誌として創刊。創刊号の特集は「ビジネスマンが生き方を変える日」。

「ヘッセ全集」全10巻付録1、「完結版 新田次郎全集」全11巻の刊行開始

有吉佐和子『開幕ベルは華やかに』、宮本輝『錦繡』、向田邦子『男どき女どき』、丸谷才一『裏声で歌へ君が代』(純文学書下ろし特別作品)、井伏鱒二『荻窪風土記』を刊行

米映画「E.T.」が日本公開され、大ヒット。新潮文庫のウィリアム・コツウィンクル『E.T.』(池央耿訳)が年末までに70万部を記録

1983
(昭和58年)

「FOCUS」3月11日号が100万部を突破

7月29日号では150万部も突破、「フォーカス現象」と呼ばれる。

「新潮」4月臨時増刊『小林秀雄追悼記念号』を発行

「新潮日本文学アルバム」全36巻別巻4の刊行開始

「筒井康隆全集」全24巻の刊行開始

「とんぼの本」の刊行を始める

中上健次『地の果て 至上の時』(純文学書下ろし特別作品)、山崎豊子『二つの祖国』(上・中・下)、松本清張『迷走地図』(上・下)を刊行

星新一のショート・ショート作品が1001編に到達、新潮文庫フェア「星新一の1001編」を行う

1984
(昭和59年)

「FOCUS」1月6日号が200万部を突破

この年創刊の「FRIDAY」を皮切りに各社が追随、同様の写真週刊誌を創刊する。

「新潮」(1983年12月号)掲載の髙樹のぶ子「光抱く友よ」が第90回芥川賞を受賞

中島みゆき『伝われ、愛』、筒井康隆『虚航船団』(純文学書下ろし特別作品)、連城三紀彦『恋文』、渡辺淳一『愛のごとく』(上・下)を刊行

連城三紀彦『恋文』が第91回直木賞を受賞、渡辺淳一『愛のごとく』はベストセラーに。

「小説新潮」臨時増刊『書下ろし大コラム』を発行

1985
(昭和60年)

「新潮45」創刊(5月号)(~2018年)

1982年に創刊した中高年向け総合誌「新潮45+」をリニューアル、誌名も「新潮45」に変更し、日記・伝記を中心としたノンフィクション誌として新創刊。話題作が次々に生まれた。

『新潮世界美術辞典』、『新潮 現代国語辞典』を刊行

「新潮カセット」を創刊

第一弾は「小林秀雄講演」全3巻。

「山崎豊子全作品 1957-1985」全10巻、「井伏鱒二自選全集」全12巻補巻1の刊行開始

村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(純文学書下ろし特別作品)を刊行

「FOCUS」8月30日号特別レポート「日航ジャンボ機墜落事故」は、いちはやく現場に到着したカメラマン、記者による詳報として大きな反響を呼ぶ

1986
(昭和61年)

「新潮」(1985年7月号)掲載の米谷ふみ子「過越しの祭」が第94回芥川賞、森田誠吾『魚河岸ものがたり』が第94回直木賞を同時受賞。皆川博子『恋紅』が第95回直木賞を受賞

「遠山一行著作集」全6巻、「福永武彦全集」全20巻の刊行開始

隆慶一郎『吉原御免状』、沢木耕太郎『深夜特急 第一便 黄金宮殿』『深夜特急 第二便 ペルシャの風』、吉岡忍『墜落の夏』、本田靖春『警察回り』、阿川弘之『井上成美』、宮本輝『優駿』(上・下)を刊行

1987
(昭和62年)

キングスレイ・ウォード『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(城山三郎訳)を刊行、ベストセラーとなる

米ニューヨークのコロンビア大学に財団法人新潮文芸振興会の出資により「ドナルド・キーン日本文化センター」が発足

名作を耳で読む新シリーズ「新潮カセットブック」を発売

「三浦哲郎自選全集」全13巻の刊行開始

渡辺淳一『別れぬ理由』、神坂次郎『縛られた巨人』、椎名誠『新橋烏森口青春篇』、山田太一『異人たちとの夏』を刊行

1988
(昭和63年)

三島由紀夫賞・山本周五郎賞を新設

日本文学大賞学芸部門を新潮学芸賞と改称、日本芸術大賞を加えて新潮4賞とする。第1回三島由紀夫賞は高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)、第1回山本周五郎賞は山田太一『異人たちとの夏』(新潮社)が受賞。

日本推理サスペンス大賞を新設(~1994年)

第1回は該当作なし、優秀作に乃南アサ「幸福な朝食」。

アニメ映画「火垂るの墓」が全国公開

新潮45編集部編『死ぬための生き方』、伊藤栄樹『人は死ねばゴミになる』、藤沢周平『たそがれ清兵衛』、江川卓『たかが江川されど江川』を刊行

新潮社初の漫画単行本として「新潮コミック」の刊行を始める

第一弾は小澤さとる『黄色い零戦』、坂口尚『新版 石の花1 侵攻編』『新版 石の花2 抵抗編』、杉浦日向子『百物語 壱』。

「新潮ミステリー俱楽部」の刊行を始める

第一弾は逢坂剛『さまよえる脳髄』、景山民夫『遙かなる虎跡』、日下圭介『黄金機関車を狙え』、佐々木譲『ベルリン飛行指令』。

1989
(昭和64年・
平成元年)

日本ファンタジーノベル大賞を新設

第1回大賞に酒見賢一「後宮小説」、優秀賞に山口泉「宇宙のみなもとの滝」。それまでにないジャンルの新人賞として、以後、多岐にわたる作家が輩出している。
 

月刊誌「03」を創刊(~1991年)

「新潮カセットブック」読者からの声に応えたオリジナルラジカセ「SLK-1」を発売

第2回日本推理サスペンス大賞に宮部みゆき「魔術はささやく」

井上靖『孔子』を刊行、発売直後からベストセラーに

藤村由加『人麻呂の暗号』、ねじめ正一『高円寺純情商店街』(第101回直木賞)、ポール・オースター『幽霊たち』(柴田元幸訳)、佐々木譲『エトロフ発緊急電』(新潮ミステリー俱楽部、第3回山本周五郎賞)を刊行

1990
(平成2年)

国際政治経済情報誌「Foresight」創刊(3月号)

新潮社初の年間予約購読、直接郵送の直販型月刊誌として創刊。冷戦終結後の激動の世界を読むクオリティマガジンとして注目を集めた。

「小説新潮」臨時増刊号として自然をテーマにした新しいグラフ誌「マザー・ネイチャーズ」を発行(年2回)

縄田一男編「時代小説の楽しみ」全12巻別巻1、「新潮古典文学アルバム」全24巻別巻1、「吉村昭自選作品集」全15巻別巻1の刊行開始

「新潮書下ろし時代小説」の刊行を始める

「小説新潮」6月号で「池波正太郎追悼特集」

第3回日本推理サスペンス大賞に髙村薫「黄金を抱いて翔べ」、佳作に帚木蓬生「賞の柩」

泡󠄁坂妻夫『蔭桔梗』(第103回直木賞)、石原慎太郎『わが人生の時の時』、曽野綾子『夜明けの新聞の匂い』、河野多惠子『みいら採り猟奇譚』(純文学書下ろし特別作品)を刊行

1991
(平成3年)

「新潮」4月号で「追悼特集・井上靖」として絶筆「負函」を掲載

ビートたけし『だから私は嫌われる』を刊行、ベストセラーに

「河盛好蔵 私の随想選」全7巻、「開高健全集」全22巻の刊行開始

江國香織『きらきらひかる』、佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』(第4回三島由紀夫賞)、アル・アレツハウザー『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』(佐高信監訳)、小野不由美『魔性の子』(新潮文庫 ファンタジーノベル・シリーズ)を刊行

トマス・ハリス『羊たちの沈黙』(菊池光訳 新潮文庫 1989年刊)が映画化され大ヒット、アカデミー賞主要5部門を受賞し、新潮文庫版も1993年末までに80万部を突破

1992
(平成4年)

河合隼雄『こころの処方箋』を刊行、ベストセラーに

塩野七生『ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず』を刊行、以後書下ろしで年1冊、15年にわたって刊行される

「小説新潮」7月臨時増刊『椎名誠の増刊号』を発行

「芸術新潮」8月号で特集「芸術的な、あまりに芸術的な“ヘア”」を掲載、ヘア解禁の雪崩現象のきっかけとなる

「新潮」10月号に「追悼特集・中上健次」を掲載、「小説新潮」10月号に追悼特集「松本清張の魅力」を掲載

「世界の歴史と文化」全16冊、「中村真一郎小説集成」全13巻、「宮本輝全集」全14巻、池波正太郎「剣客商売全集」全8巻別巻1、「山口瞳大全」全11巻の刊行開始

帚木蓬生『三たびの海峡』、J・グリシャム『法律事務所』(白石朗訳)、恩田陸『六番目の小夜子』(新潮文庫 ファンタジーノベル・シリーズ)、住井すゑ『橋のない川 第七部』、車谷長吉『鹽壺の匙』(第6回三島由紀夫賞)、沢木耕太郎『深夜特急 第三便 飛光よ、飛光よ』、アレクサンドラ・リプリー『スカーレット』(森瑤子訳)、宮本輝『流転の海 第一部』『地の星 流転の海 第二部』を刊行

新潮社初の電子出版として『CD-ROM版 世界美術辞典』を刊行。以後、『CD-ROM版マルチメディア文学辞典 新潮文学俱楽部』(94年)、『CD-ROM版 新潮文庫の100冊』(95年)など多様な電子出版に取り組む

1993
(平成5年)

「新潮」9月号に「追悼特集・井伏鱒二」を掲載

「新潮日本文学アルバム」続刊全35巻、「吉田健一集成」全8巻別巻1、「森本哲郎 世界への旅」全10巻別巻1の刊行開始

福田和也『日本の家郷』(第6回三島由紀夫賞)、山田詠美『ぼくは勉強ができない』を刊行

1994
(平成6年)

総合グラフィック月刊誌「SINRA」創刊(1月号)(~2000年)

自然にまつわるすべてを対象としたネイチャー雑誌。創刊号の特集は「自然がぼくらの仕事場です。」。第一線の写真家を起用した美しい誌面は高く評価された。

新しい写真シリーズ「フォト・ミュゼ」の刊行を始める

「新潮」10月号に「追悼特集 吉行淳之介」、12月号に「特集 ノーベル文学賞受賞 大江健三郎」を掲載

「山本周五郎テーマ・コレクション」全10巻、「河野多惠子全集」全10巻の刊行開始

村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』『ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編』、帚木蓬生『閉鎖病棟』(第8回山本周五郎賞)、宮城谷昌光『晏子』(上・中・下)を刊行

五霞ロジスティクスセンターが竣工、翌1995年1月より全面稼働

1995
(平成7年)

「新潮」2月号に「追悼 福田恆存」を掲載

さくらももこ『そういうふうにできている』を刊行、ベストセラーに

「井上靖全集」全28巻別巻1、「芹沢光治良文学館」全12冊、「隆慶一郎全集」全6巻の刊行開始

辻邦生『西行花伝』、橋本治『ひらがな日本美術史』、保坂和志『この人の閾』(第113回芥川賞)、北村薫『スキップ』、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編』、天童荒太『家族狩り』(新潮ミステリー俱楽部、第9回山本周五郎賞)、谷沢永一『人間通』(新潮選書)を刊行

新潮ミステリー俱楽部賞を新設(~2000年)

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