新潮文庫メールマガジン アーカイブス
今月の1冊

 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 10月新刊で、話題作『ふがいない僕は空を見た』がいよいよ文庫化されました。
 本書は窪美澄さんのデビュー作であるにもかかわらず、読者の圧倒的な支持を得て、本屋大賞第2位に輝き、さらには山本周五郎賞を受賞。まさに人気と実力を兼ね備えた、幸運な傑作なのです。

 そして11月には、本書を原作とした映画「ふがいない僕は空を見た」も公開! こちらもタナダユキ監督の演出も冴え渡る、大変見ごたえのある力作です。何と言っても、演技派女優、田畑智子さんと、若手実力派俳優、永山絢斗さんの、全裸もいとわぬラブシーンには息を呑みました……。あまりにも、原作に忠実だったのです。

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2012年10月10日   今月の1冊


 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 NHKドラマにもなった「ハゲタカ」シリーズ、原発の全電源喪失事故を予言していたと騒がれた『ベイジン』、山田風太郎賞と直木賞に続けてノミネートされた『コラプティオ』。真山仁さんの作品には、出版されるたび、いいニュースと悪いニュースがセットで出てきます。いいニュースは「面白い!」、そして、悪いニュースは「長い!」。

『ハゲタカ』『ハゲタカ2』『レッドゾーン』の3部作や『ベイジン』はそろって上下2巻。『コラプティオ』や『マグマ』(これもドラマ化)、『虚像の砦』も1冊本ながら、みなブ厚いのです。

 いずれも「面白い!」ことは間違いないゆえ、その面白さに長く浸っていられる「長い!」という特徴は本来、素晴らしいニュースなのですが、でも、やっぱり困るときには困る。ページを繰り始めたら止まらず、仕事も食事も風呂も睡眠も後回しになって、ラストまで一気に読了させられてしまうのです。

 そういう“真山仁被害者の会”会員、あるいは入会検討中のあなたに、いいニュースと、もっといいニュース--新潮文庫の新刊『プライド』は、いつものように面白い! そして、いつものようには長くない!

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2012年09月10日   今月の1冊



深遠なる物語「十二国記」シリーズが、満を持して始動!
屍鬼』や『東亰異聞』そして『残穢』でも知られる小野不由美さんの代表作であり、シリーズ累計750万部突破の壮大な物語「十二国記」。新潮社より〈完全版〉として刊行が始まり、第1弾の3冊はすでに各10万部を超えました。刊行を記念して、「十二国記」と共に歩んできた担当編集者Sさんにロングインタビューを試みました。

20余年にわたり、多くの読者から熱く支持される理由は?奥深い作風の基となっているものは?など、世代を超えて読み継がれる作品の秘密が垣間見えます。
「十二国記」はまだ手にしたことがない方にも、長年のファンの方にも必見の内容です。

「十二国記」とは、どんな物語ですか?


 私たちが住む世界と、地図上には存在しない異界「十二国」とを舞台にした物語です。虚海という広大な海に隔てられた二つの世界は、「蝕」と呼ばれる現象によって繋がっています。「十二国」では霊獣である麒麟が王を見出し玉座に据える。そして、麒麟と誓約を交わした王が国を治め、麒麟はそれを補佐します。
このように独特な設定によるファンタジー小説ですが、国政に心くだく王、理想に燃える官吏、市井の民といった様々な立場の人々が、運命に翻弄されながらも懸命に生きる姿を描いた骨太の人間ドラマです。


シリーズ最終刊行より約11年の時を経て、「十二国記」が新潮文庫から〈完全版〉を刊行することになった経緯は?

 1991年に『魔性の子』が新潮文庫から刊行されましたが、当時は連作の予定はなく、この1作のみでした。その後、続く作品が講談社X文庫と講談社文庫からシリーズとなり7作が発表されています。新作のお願いを進めるにあたり、これまで二社から刊行されていた全作品が新潮文庫で揃えられるようにと考え企画しました。
これを機に、1作だけが独立した「外伝」的な位置づけだった『魔性の子』を〈エピソード0〉として物語全体のプロローグに。本編となる『月の影 影の海』は〈エピソード1〉としました。


以前、「yom yom」に収録された短編「丕緒の鳥」「落照の獄」も、本になりますか?

 〈完全版〉では、「yom yom」に収めた2作に書き下ろしを加えた「短編集」、そして「書き下ろし長編新作」まで、シリーズ全体が一つの物語として繋がります。


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2012年08月10日   今月の1冊



 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 このたび刊行された宮部みゆきさんの新潮文庫『英雄の書』は、アニメでもおなじみの『ブレイブ・ストーリー』に連なる壮大なダーク・ファンタジーです。『ブレイブ・ストーリー』では男の子が主人公でしたが、こちらは小学5年生の女の子・森崎友理子が主人公。

 ある日、兄の大樹が同級生を殺傷し、行方をくらましてしまう。あの人気者のお兄ちゃんが人を刺すなんて……信じられない現実に直面し、友理子は途方に暮れる。そんな矢先、彼女は兄の部屋で赤い本の囁き声を聞いたのです。
 死んだ大叔父の別荘から、兄によって持ち出されたその本は言う。あらゆる物語の源泉である〈無名の地〉に封印されていた〈英雄〉を、兄・大樹が召還してしまった。そして、もっとも美しく尊い物語である〈英雄〉と表裏一体をなす、〈黄衣の王〉に大樹は取り憑かれ、そのせいで事件を起こしたと。

 こう書いてしまうと、何やら難しい用語が多くて読みにくい本のような気がするかもしれませんが、決してそんなことはありません。絶妙のストーリーテリングに導かれ物語の世界へ入り込むと、いつの間にかページを繰る手が止まらなくなっているのです。

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2012年07月10日   今月の1冊

 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 たとえば10年前のテレビと最新のテレビが同じ値段で売られていたら、皆さんはどちらを選びますか?
 たぶんお尋ねするまでもなく、最新の製品を選びますよね。家電に限らず、商品の機能やデザインは日進月歩していますから。

 では本の場合はどうでしょう。「昔の小説より今の小説の方が必ず優れている」とは言えません。あるいは「今のノンフィクションの方が、昔のものより真相を衝いている」とも言い切れません。むしろ時代を超え、多くの読者に吟味され残っていること自体、良作の証ではないでしょうか。

 しかし、いざ書店で棚の前に立つと、平積みされた最新作と比べ、棚に並ぶ既刊本には手を伸ばしにくいのが現実です。タイトルと著者名だけで作品の良さは計りかねます。既刊本へ手を伸ばすには、何らかの「きっかけ」が必要ではないでしょうか。

 ところが特定の既刊本が全国の書店から一斉になくなり、注文が殺到することがあるのです。そういうときに原因を調べると、テレビ番組でその本が取り上げられているケースが往々にしてあります。

 果たしてどのような番組をきっかけに既刊本は再び注目を浴びるのか。新潮文庫の事例をご紹介したいと思います。

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2012年06月11日   今月の1冊