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2006年9月9日 第1回街頭所見発表演説会
麻生太郎です。
(演説の順番が)3番目になったので大体似たような話するだろうと思って……。疲れるよね、これだけ立ってると。
上に立ってる我々も疲れますから、多分同じように疲れてると思う。
まず、秋葉原駅前の皆さん。そして、自称秋葉原オタクの皆さん。そしてこの後ろにおられる東京都看護婦連盟の皆さん。お力添えいただきましてありがとうございます。心から感謝を申し上げます。もし気分が悪くなったら、看護連盟、あそこにいますので、是非、頭に入れておいてください。
さて、皆さん。若い人も多い、いや若くない人もいらっしゃいますが、若い人、キャプテン翼知ってる人。
(大勢の人が手を挙げる)
ありがとうございます。
これ、中近東に行ったら「キャプテンマージト」って言うんです。
今年あった(サッカー)ワールドカップの世界大会で、フランスのジダンが、イタリアのトッティが、「あなたは何でサッカー始めたんです?」って聞いたら、みんな「キャプテンマージトのおかげだ」と。
これ日本人が書いてる漫画、「週刊ヤングジャンプ」に連載してるかな、今。
この漫画を読んで、あの世界一のサッカーのキャプテンになったんですよ。
我々はこの事実を知っていましたから。
ジダンという人はアルジェリア出身です。中近東では翼の事をマージトという、名前がついています。
このキャプテン翼のロゴを大きく伸ばして、日本がイラクのサマワに送った給水車のタンクに、このキャプテンマージトのロゴマークを貼って、自衛隊は全部、あの地域で襲われることはありませんでした。
国旗よりよほど、このキャプテンマージトを生んだ国だというところが値打ちなんです。大事なとこですよ。
スリージェイ(3J)ってのもある。
今アジアで、3つのJがアジアを席巻しつつある。
今から4年前に、「タイム・マガジン」という真面目なアメリカの雑誌の表紙に椎名林檎が載りました。椎名林檎知ってるよね?
椎名林檎が載った、この椎名林檎を、珍しいと思って、何が書いてあんのかと思って読んだら、
「我々は日本という国をハードの強い国と思っているが、実はソフトが強い。今アジアの文化は間違いなく、この3つのJによって席巻されつつある。ちなみにアニメーションを見てくれ、コミックを見てくれ」と。
「ドナルドダック、ミッキーマウスは、完全にドラえもん、そしてポケットモンスターに取って食われた。こちらが完全なアジアにおいてのコミックのスターだ」と。
テレビゲームも先に攻略本を勉強しようと思ったら、日本の本を買って日本語を読んで覚えなければ先に覚えることは出来ない。だから日本語って、今もの凄い熱ですよ。学校で教えているんじゃない。子供が自分で、攻略本を人より先に読みたいが為に日本語を覚える。
結果としてこの10年間、経済が調子悪かった中にあって、日本語を勉強したいという人の数はちょうど2倍に増えています。これが日本の持っている力です。
また、J-POP、2つ目のJ、J-POPというのも出てきました。
もの凄い勢いで日本の、ジャアパニーズ・ポップ・ミュージックというものが広がっています。その代表として椎名林檎の名前が挙がりました。
我々も昔、我々の世代ではエルヴィス・プレスリー、ジーン・ヴィンセントなんていうのがえらく受けた時代です。
まだエルヴィス・プレスリーに、まだ凝っている人も日本の総理大臣に一人いらっしゃいますが、この方に限らず我々の世代、エルヴィス・プレスリーっていうのは絶対でした。
そしてその後の世代が多分ビートルズ。
世代によって音楽が違うが、みんな英語だった。
だからこれらの歌を覚えたい、そう思うのだったら英語で歌わないと格好悪かったから、読めないけどカタカナ振ってでも英語で歌った格好をして覚えたのと同じように、今、アジアの国々に行って、カラオケに行ってもどこに行っても、全部J-POPは日本語で歌うの、若いティーンエイジャーが。
従って日本語って通じるんですよ。今あきらかに日本語っていうものはもの凄い勢いでアジアの中に普及しています。
そして3番目にJファッション。
アジアで一番古い大学があります。タイ、バンコクにチュラロンコン大学という大学があります。
壇上ですいません、お尻ばっかり見せまして。
このチュラロンコン大学の女子大生100人に聞きました。
「あなたはもし、次に生まれ変わるとしたらなに人の何、男か女、に生まれたいですか?」いう質問に対して、実に32人が日本人の女と答えています。次にアメリカ人の女が12%、あとはもっと2桁以下なんですが、そういうなかにあって日本人の女に生まれ変わりたいが32%。
何故なら、一番かっこよく、一番金払いがよく、そして一番颯爽とバンコクの街を歩いているからと答えています。ちなみに日本人の男と答えた人はゼロです。
これが今アジアの人達が見ている日本人に対する目ですよ。
Jファッション、それが今言われてるものです。
Jファッション、J-POP、そしてジャパニメーションというスリーJ。これらは明らかに日本が作り出したブランドですよ。
日本というイメージは歌舞伎とかどうとか思ってんじゃない?
大体自分でもあまりわからないんだから、人様がそんなに簡単にわかるはずはない。サブカルチャーと言われた、こういった世界のほうが、よっぽど日本のイメージとして広くアジアの世界に伸びているという事実を、我々自身が知っておかねばならない。
何となく中国というと反日感情を煽ってけしからん、という人もいっぱいいる。教育問題には確かに問題がある。
しかし、よく見てみると、日本に行ってみて明らかにわかったことがひとつあると。
「中国にいる時には日本は軍国主義化している、軍国主義教育だとずっと言われてきた。しかし、日本に旅して3カ月間、東京にほとんどいたが、日本の東京で軍服を着た軍人に会った事は1回もない。そんな国が軍国主義なわけがない」
これが普通の人の感覚っていうものです。
私らはこういう感覚を大切にせにゃいかん。
4年前、重慶のサッカー場で反日的な暴徒みたいな騒ぎにえらくなりました。
わんわん騒ぎになったが、ほぼ同じ時期に、場所は違うが谷村新司、これも歌手だけど知ってると思う。この谷村新司がコンサートを開いた、野外コンサート。
そこのプロダクションに言わせると10万人を超える観衆だったそうですが、最後に谷村新司は昴を歌ったんですって。
その昴を歌ったら9割の中国人が立ち上がって、スタンディングオーベーションで応えて、全員日本語で昴を歌った。「あれは感動する場面だった」とそのプロダクションの人が言っていました。
私どもは知らない間に、そういう普段はあまり気が付いていないけれども、普段はあまり評価していらっしゃらない大人もいらっしゃるだろうが、是非、そういうサブカルチャーと言われる世界において、我々の気が付かない間に、我々が意識しない間に、我々の持っている文化というものは、間違いなくアジアの中にひろーく行き渡りつつある。
それが今現実なんだということを是非頭に刻みこんでおいて、我々はその対応をせねばならん。
なんとなく日本が孤立しているかのごとき話があります。
しかし、BBC放送、イギリス国営放送がやった調査で、世界33カ国、4万人を対象にやったアンケート調査の中で、「あなたは世界の中で最も貢献している国はどこだと思いますか」と、いうのに対して、その中の答えとして出たのは、日本が最も貢献している国の1番に上がってるんですよ。
それが世界の国々が見ている日本に対する目です。
孤立なんかしているわけないでしょうが。
それが現実として、我々がやった調査じゃない。イギリス国営放送がやった調査ですよ。それを見てもわかるように、我々は丁寧に、きっちり対応してきた。
イラクのバグダッドという所にも、このあいだC-130等々に乗って行きました。
イラクの人々も皆、日本の自衛隊員の士気の高さ、極めて高い評価をしています。
「無銭飲食ゼロ、脱走兵ゼロ、婦女暴行ゼロ、こんな規律正しい軍隊は見たことがない」と。
そしてイラクの人達に対して、道路工事のしかたを教え、電気が停電した時の直し方を教え、水をキレイに浄化する、そういった設備を置き、そのメンテナンスの技術も全部教えて、我々の自衛隊員は胸を張って帰ってきた。5500名の自衛隊員が出てって。
間違いなく彼らは、「我々イラク人の為に応援をしている、応援してくれているのだ」という事を確信させた唯一の国が日本だと。
これが今、自衛隊、サマワに送られた人達の評価です。この人達のおかげで日本の地位が上がり、日本のブランド力が上がっている。是非、その点も評価してもらわないと公平さを欠くと私はそう思います。
ドンパチ撃つだけが自衛隊の話ではないのです。
こういう一人一人の自衛隊員の努力によって、我々の国の評価が上がり、それが結果として日本の地位を高め、外交につながり、日本の国益につながっているという点も、是非頭に入れてください。
高齢者の方もいらっしゃいます。
日本という国は、是非知っておいてもらいたいのは、高齢者という方は暗く貧しく弱々しいかと。とんでもありません。
高齢者の方々の85%は、おじいさん見るまでもなく元気。
これだけ1時間半立ちっぱなしでいられるほどの元気な高齢者がいっぱいいらっしゃいます。ありがたいと思っています。
そういった方々に年金の話をすると、一生懸命、高齢者の方々ほど年金の話を真面目に聞かれますが、年金が明日にもなくなるかのごとき話で、今払ったって先はないんだなんて話をわんわん煽る話に乗っかっているのは間違っています。
年金の積み立て金は198兆円あるんですよ、簿価で。時価で199兆円あります。そんな今日明日なくなる話じゃないんだから。
今から俺達がしている話は30年先ぐらいの話をしています。
従って、今払ってらっしゃる方、その頃はほとんどいらっしゃらんわけだから、その方たちはあまり気にしなくてええのです。
我々、今ちょうどその境目、我々より若い人達は、お宅らは払うだけ払って貰えないかと思って心配するのは正しい。
しかし、80歳の人が真剣に聞かれると、ちょっとかなり、あなたそんなに長くお生きになるつもりですかと言いたくなるんですが。(笑)
是非、我々はそんないい加減な話をしているのではないのであって国というものはきちんと真面目に取り組んでいます。
自由民主党は開かれた国民政党として、日本の30年先、その先を考えて、いかに経営をしようかと、そういうのが自由民主党なのであって、目先の選挙をどうするとか、目先の政権を取りさえすればどうのと、そういった政党とは違うのです。
是非、来たる通常選挙、参議院の通常選挙、その前の統一地方選挙、その前の補欠選挙、自由民主党は全力を挙げて戦います。誰が総裁になっても戦います。
そして、この国の責任ある政権与党として務めを果たします。
是非力を貸してください、ありがとうございました。
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街頭演説の文章化に当たっての責任は、新潮新書編集部にあります。
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「自由と繁栄の弧」をつくる |
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(2006年11月30日 日本国際問題研究所セミナー講演)→上記は外務省HPへの外部リンクになっています。 |
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748 円(定価) |
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