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 1993年クノップフ社で編集、出版された短篇選集『The Elephant Vanishes』は英語圏で好評を博し、ロング・セラーとなっています。その日本語版がいよいよ刊行! 初期短篇17作品。更に春樹さんの書下ろしエッセイも収録した話題作です。

 収録されている作品は1993年以前に発表されたもので、日本ではすべて文庫で読むことができます。新作はひとつもありません。しかしここには、ファンの多い、定評のある作品が集められています。そして、今回の収録にあたって、春樹さんは全てを読み返し、いくつかの作品にはかなり手が入りました。

 特に「レーダーホーゼン」は、元の日本語版を見ずに、英語版をもとに、春樹さん自身によってあらたに「翻訳」された新バージョンです。この作品が書かれたのは1985年ですが、それから20年ぶりに書き直された今回のバージョンとを、是非読み比べてみてください〈1985年のバージョンは、『回転木馬のデッド・ヒート』(講談社刊)で読むことができます。〉

 この短篇集のなりたちについて、また、「ニューヨーカー」デビュー当時を振り返り、アメリカの出版人との交流を描いた、春樹さんの書下ろしエッセイが収録されています。

 更に、英語版の作品選定をした、アメリカ・クノップフ社のゲイリー・フィスケットジョン氏が、村上氏との親密な交遊、そして作品評価をめぐって、文章を寄せてくれました。これも巻頭に収録されています。

「村上春樹はまずなにを読めばいい?」「短篇をいくつか読みたい。」そんなあなたへ贈る、ニューヨーカーが選んだ村上春樹の初期短篇集をお楽しみください!
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