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新潮新書

今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

年の終わりに考え直してみる

 今年もはや師走になりました。トラックドライバーの労働時間を厳しく管理する「物流2024年問題」をはじめ、国が進める「働き方改革」とあいまって、様々な業界で人手不足が深刻になっています。出版業界はどうかというと、ご多分にもれず10年、20年前と比べれば年々厳しくなっているというのが実感です。とりわけ年末年始の休暇を控えた「年末進行」のこの時期は、雑誌も書籍も、諸々の前倒し作業に追われています。
2024/12

現代の風景、人生の断面

 先日、新宿の某百貨店の前に朝から長蛇の列ができており、その先にあったのは有名な時計のブランドショップでした。いささか奇妙なのは、並んでいるのはどちらかと言うと風采のあがらない、とても高級腕時計を着けそうには見えない若者が多かったこと。そこで思い浮かんだのが11月新刊『転売ヤー 闇の経済学』(奥窪優木・著)。なるほど、行列は人気のモデルを入手して転売するのが目的かと推測されました。
2024/11

人は何のために学ぶのか

 デジタル教育やリスキリング、読解力低下に教員不足など、「学び」をめぐる話題は日々事欠きません。生産性と効率を求められる一方で、人口減少と人手不足が深まるなか、即戦力いわばすぐに使えるコマとしての労働力を求める声も高まる一方です。
2024/10

過去・現在・未来、そして現実

 2023年、日本の出生率は1.20と過去最低を更新、沖縄県(1.60)や宮崎県(1.49)、長崎県(同)では平均を上回るものの、東京都では0.99と史上初めて1を切り、大きなニュースになりました。
 仕事や経済環境、ライフスタイルなど様々な要因を反映していることは言うまでもありませんが、お隣の韓国は0.72とまさしく「レベチ」。先進国はどこも少子化が進んでいるとはいえ、1を切っているのは韓国のみで、その一方、韓国はOECD加盟国の中で自殺率トップです。二つを考え合わせると、国民が「この社会は生きるに値しない」と考えているようにさえ見えます。『韓国消滅』(鈴置高史・著)では、朝鮮半島の"先読みのプロ"が、政治や社会状況の変遷とともに隣国の未来図を鋭く読み解きます。
2024/09