ホーム > 新潮新書 > 新書・今月の編集長便り

新潮新書

今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

言葉・脳・記録・科学

 4月は新社会人スタートの季節です。自分が入社した30数年前と比べて最大の違いは、やはりアナログからデジタルへの移行です。原稿用紙にエンピツ書きだった当時から、ワープロ、パソコン、スマホになり、文字は書くものから打つもの、タッチするものになり、コミュニケーションの主役は、対面や電話での会話からテキストでの交信へと大きく変わりました。それは今や社会全体に及び、効率性を高めている反面、ちょっとした言葉の誤解や相手の意図の取り違えなど、様々なマイナス面も現れるようになりました。
2025/04

その人気には理由がある

 取り立ててかわいいわけでも、カッコいいわけでもないのに、男女を問わず子供たちには大人気、見れば騒ぐ子はおとなしくなり、泣く子もたちまち泣きやんで──それが「アンパンマン」です。私も子育てをしている頃は、アンパンマンか「となりのトトロ」を何度となく見せたものでしたが、それにしても、ピンチになるとクビから上が入れ替わる奇妙なヒーローが、なぜこれほど長く日本の親子に受け入れられてきたのでしょうか。
2025/03

現代社会の変質を読み解く

 先日、車のディーラーに行ったときのことです。新車で買って2年、まだ何年も走れることは言うまでもありませんが、案の定、乗り換えを勧められました。かつて車の買い替えメドはざっくり10年とか10万キロとかいわれたものですが、今やサブスクやリースが当たり前になり、大枚はたいても長く付き合う「愛車」イメージは年々薄れています。
2025/02

新しい年の始まりに

 2025年、新たな年が始まりました。人それぞれに、新しい目標を立てた方も少なくないと思います。もっとも、私自身はこれまで「新年の誓い」を立てたことがありません。性格ゆえか年齢のせいかはわかりませんが、一度としてそうした気分にならないのです。
 それでも、聞けば「なるほど」と感じる言葉もあります──「メメント・モリ」──ラテン語で、もとは「人間いつ死ぬかわからないから楽しめ」というのが原義だったようですが、転じて「常に死を想え」という、ちょっと戒めめいた定番フレーズになったとか。これなら一年、あるいは人生のどの地点でも、原点に立ち返ることができそうです。
2025/01