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新潮新書

今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

「新潮新書」創刊にあたって

 日本に「新書」という独自のペーパーバックが誕生してから六十五年。この間、様々なシリーズが出ては消え、今もその試みは続いています。しかし、新書という器の可能性は充分に引き出されているといえるのでしょうか。狭い教養の概念や常識にとらわれたりしてはいないでしょうか。
 時代は間違いなく「新しい指針」を求めています。知識、教養、情報などという言葉で一括りにできない、本当の「智慧」を求めています。あらゆるテーマに対応できる懐の深さを持ち、コンパクトで手にとりやすい。そうした新書の特性がより活きる時代が到来したと言えましょう。

 だからこそ今、私たちは「新潮新書」を創刊します。新潮社にとっては新しい分野への挑戦になりますが、「文芸」と「雑誌ジャーナリズム」という新潮社の持ち味を最大限に発揮して、存在感のある、知的刺激に満ちた魅力的な新書を目指します。
 どうか皆様、「新潮新書」を一緒に育ててください。新書の可能性を拡げ、活字文化の復権に寄与できるものと確信しています。

2003/01