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婚活したらすごかった

石神賢介/著

770円(税込)

発売日:2011/08/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

「とりあえずホテルに」と彼女は言った。抱腹絶倒の体験ルポ。【超実用的婚活マニュアル付き】

突然、結婚したくなった四十代バツイチの著者が婚活で遭遇したのは、想定外の個性あふれる面々だった。初対面でホテルに誘うCA、情が深過ぎる銀座ホステス、八歳もサバを読むアナウンサー、詐欺スレスレの輩、やたらとムサい男たち……。現実はものすごいことになっていたのだ。ネット婚活、お見合いパーティー、結婚相談所、海外婚活の現状を体当たりで取材した前代未聞、抱腹絶倒ルポ。超実用的婚活マニュアル付き!

目次
序章 誰かと生きていきたい
突然、結婚したくなった/イケメンでなく、お金もない立場での挑戦
第1章 気がつけば彼女は四つん這いだった ネット婚活編
残るバブル期の香り/Mの客室乗務員/男の脳は女の知性に発情する/美人局ではないのか?/ブスッと刺して!/プライドが傷つかないのがメリット/独身証明書を知っていますか?/ネット婚活は“信用取引”/「高収入」「海外駐在歴」「海外経験」は有利/男は「癒し系」「甘えん坊」「ナイスバディ」を好む/ナンパ師には要注意/人は顔のない相手とは付き合わない/スタジオ撮影より旅行スナップが有利/やはり笑顔は強い/かけもちは当たり前/占い師、映像作家、中米在住……/交際一か月で決断を迫られる/写真掲載のない会員に意外な“掘り出し物”も/好感度が高い「申し込み文」とは/本命の絞り方
第2章 刑務所の食事シーンが頭に浮かんだ お見合いパーティー編
プロフィールは自己申告に過ぎない/婚活パーティーのスタンダードとは/目の前に広がる刑務所の食事シーン/会費無料のパーティーは避けるべき/恋愛格差が目に見える/パーティーの質は向上している/公務員系のカップル率が医師系より高い理由/源泉徴収票まで提示/パーティーには中毒性があった/下心に負け、ついついブランド品を購入/銀座のホステスとつきあったが……/幅広い世代との出会い/婚活界はおおむね「女高男低」/声優さんもいた/欲望むき出し系と極端な奥手の二極分化/食事代を請求してきたセコイ男/ここにもいるナンパ専門の男/婚活パーティーはふつうの恋愛の訓練になる
第3章 男たちはあまりに消極的だった 結婚相談所編
きっかけはダイレクトメール/お見合いにも共通する安定志向の強さ/コストはかかるが、親身になってくれる/積極的な男は存在しないのか/カウンセリングや性格テストも/三百円を割り勘した男/男は即決、女は迷う/婚活によって自分を見つめ直す/アナログ的手法のメリット/結婚相談所を選ぶ際のポイント
第4章 日本女性はモテすぎる 海を渡って婚活編
日本の男に見切りをつけた女たち/アメリカではネット婚活が主流/東アジアと南アメリカの女性からモテた/ニューヨークでは対面型婚活も/アジア系女性はマイナス十歳?/日本人駐在員をつかまえろ/モテすぎて自分を見失う女性
終章 出会いとは「仮免」である
モノは失われてしまうが……/理想の相手などいないという前提/婚活で成果を上げる三つのポイント/出会いは“仮免”の段階
付録・超実用的婚活マニュアル

書誌情報

読み仮名 コンカツシタラスゴカッタ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610430-5
C-CODE 0236
整理番号 430
ジャンル 社会学、サブカルチャー
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/02/03

書評

波 2011年9月号より 面白く、哀しく、そしてすごかった

石神賢介

大震災以来、女性の結婚願望が猛烈な勢いで高まっているという。特に一人暮らしだと、在宅時に災害に襲われても誰にも助けてもらえないという恐怖をリアルに感じているのだろう。また、不倫を解消する女性も後を絶たないという。ふだんどれだけいちゃいちゃしていても、天災となれば、男は家族のもとへ急ぐ。頭の中ではわかっていたはずのことが現実に起きたのだ。そんな関係を清算した女性たちも、これからの人生で手を携えて生きるただ一人のパートナーを探し始めた。
彼女たちが集まるのが、インターネットの婚活サイト、全国各地で催されている婚活パーティー、かつて結婚相談所といわれた結婚情報サービスだ。五、六年前までは、こうした婚活の場はもてない男女の救済場所のイメージがあった。しかし、四十代、バツイチの私が実際に参加すると、そこにいるシングル女性の数も質も仰天するほどだった。
大手婚活サイトで出会った妙齢の女性には、初デートでホテルに誘われた。航空会社の客室乗務員だ。もちろん、鼻の下をのばしてついていった。
「出会って、手をつないで、キスして、やっとお泊りして、ベッドの上の相性が合わないとわかったら、そこまでの時間が無駄になるでしょ?」
青山のイタリアンレストランで食事の後、タクシーの中でささやかれた。女性は現実的だ。彼女の考えは理に適っているが、婚活で実行に移す人には初めて会った。何よりも「相性」を重視するため、早めに肌を合わせないと本当に不毛な時間を費やしてしまうということだった。
婚活パーティーではアニメの声優とも出会い、デートを重ねた。会話からは知性が感じられたが、声質は当然アニメ系だ。下着はフルーツ模様。妙齢の成熟した女性なのに、こちらは、なんとなく未成年に悪さをしている気がしていけない。
「どうして、なの?」
元気を失ったアレを見つめられ、首を傾げられ、悲しい気持ちになった。男は四十歳を過ぎると、願望と機能が必ずしも一致しない。体の相性がよくないと男女としてのいい関係は結べず、結婚には至らない。客室乗務員の女性が言った通り、早期の夜の行為のトライアルは重要かもしれない。
こうして、ふつうのOLをはじめ、客室乗務員、アニメ声優、銀座のホステス、エステティシャン、アナウンサー、占い師……など、私が婚活の場で出会った個性豊かな女性たちとの実話をまとめたのが、本書『婚活したらすごかった』だ。婚活サイトに登録した時の驚き、婚活パーティーでの緊張、フェイスブックの婚活アプリを通して大勢の東アジアや南アメリカの女性から交際を申し込まれた戸惑い、そして、女性と親しくなるための創意工夫、紆余曲折、七転八倒をありのまま書いた。
婚活市場では、男としての市場価値がリアルにわかる。おもしろく、哀しく、そして、書かずにはいられないようなすごい体験ばかりであった。

(いしがみ・けんすけ フリーライター)

蘊蓄倉庫

婚活における写真撮影の注意点

『婚活したらすごかった』は、著者自身(40代バツイチ・男)がネットやパーティで婚活した体験をもとに書いたルポです。体験がベースなだけに、エピソードもリアルですが、それ以上にリアルで役立つのは巻末の「超実用的婚活マニュアル」における様々なアドバイス。たとえばネット婚活で使うプロフィール写真は「スタジオ撮影よりもスナップのほうがいい」「男性はジャケットに襟のあるシャツが無難」「女性は下品にならない程度に女らしいワンピースやブラウス」といった調子。とにかく驚愕のエピソードと納得のアドバイスが満載の一冊です。
掲載:2011年8月25日

担当編集者のひとこと

禁じ手のようなタイトルですが

 オビやタイトルにあまり使わないほうがいいと思われる言葉があります。「面白い」とか「すごい」というのは、かなり微妙なラインではないでしょうか。あまりにストレートだから、というのがその理由。
 そりゃ筆者や編集者がそう言いたくなる気持ちはわかるのですが、そこを一工夫して別の表現をするのがプロってもんでしょうということです。「面白いから面白いと言いました」ではいささか子供っぽいので、あまり頻繁に使わないほうがいいような気がするのです。
 じゃあ『婚活したらすごかった』というタイトルはどうしたものか。
 実際、これでいいのだろうか、とも思いました。
 しかし、この婚活体験ルポに出てくる、著者が出会った面々をどう言えばいいのか。「初対面でホテルに誘うCA」「整形を告白してきた銀座ホステス」「8歳もサバを読むアナウンサー」「婚活のフリをしてナンパを続ける公営ギャンブル選手」「300円をワリカンにするドケチ男」……次々登場する強烈なキャラクターが繰り広げる強烈なエピソードについてあれこれ考え、どう言えばいいのか悩みました。で、結局「すごいからすごいと言いました」というところにしてしまえと考えたわけです。
 実際、「すごい」としか言えないというのはお読みいただければわかると思います。
 念のため補足しておくと、真面目に婚活を考えている方にもとても参考になる情報も満載です。その意味では「すごく」役に立つ本でもあるのでよろしくお願いします。

2011/08/25

著者プロフィール

石神賢介

イシガミ・ケンスケ

1962(昭和37)年生まれ。大学卒業後、雑誌・書籍の編集者を経てライターに。人物ルポルタージュからスポーツ、音楽、文学まで幅広いジャンルを手がける。三十代のときに一度結婚したが離婚。著書に四十代のときの婚活体験をまとめた『婚活したらすごかった』など。

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