婚活したらすごかった
770円(税込)
発売日:2011/08/15
- 新書
- 電子書籍あり
「とりあえずホテルに」と彼女は言った。抱腹絶倒の体験ルポ。【超実用的婚活マニュアル付き】
突然、結婚したくなった四十代バツイチの著者が婚活で遭遇したのは、想定外の個性あふれる面々だった。初対面でホテルに誘うCA、情が深過ぎる銀座ホステス、八歳もサバを読むアナウンサー、詐欺スレスレの輩、やたらとムサい男たち……。現実はものすごいことになっていたのだ。ネット婚活、お見合いパーティー、結婚相談所、海外婚活の現状を体当たりで取材した前代未聞、抱腹絶倒ルポ。超実用的婚活マニュアル付き!
書誌情報
読み仮名 | コンカツシタラスゴカッタ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610430-5 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 430 |
ジャンル | 社会学、サブカルチャー |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/03 |
書評
波 2011年9月号より 面白く、哀しく、そしてすごかった
彼女たちが集まるのが、インターネットの婚活サイト、全国各地で催されている婚活パーティー、かつて結婚相談所といわれた結婚情報サービスだ。五、六年前までは、こうした婚活の場はもてない男女の救済場所のイメージがあった。しかし、四十代、バツイチの私が実際に参加すると、そこにいるシングル女性の数も質も仰天するほどだった。
大手婚活サイトで出会った妙齢の女性には、初デートでホテルに誘われた。航空会社の客室乗務員だ。もちろん、鼻の下をのばしてついていった。
「出会って、手をつないで、キスして、やっとお泊りして、ベッドの上の相性が合わないとわかったら、そこまでの時間が無駄になるでしょ?」
青山のイタリアンレストランで食事の後、タクシーの中でささやかれた。女性は現実的だ。彼女の考えは理に適っているが、婚活で実行に移す人には初めて会った。何よりも「相性」を重視するため、早めに肌を合わせないと本当に不毛な時間を費やしてしまうということだった。
婚活パーティーではアニメの声優とも出会い、デートを重ねた。会話からは知性が感じられたが、声質は当然アニメ系だ。下着はフルーツ模様。妙齢の成熟した女性なのに、こちらは、なんとなく未成年に悪さをしている気がしていけない。
「どうして、なの?」
元気を失ったアレを見つめられ、首を傾げられ、悲しい気持ちになった。男は四十歳を過ぎると、願望と機能が必ずしも一致しない。体の相性がよくないと男女としてのいい関係は結べず、結婚には至らない。客室乗務員の女性が言った通り、早期の夜の行為のトライアルは重要かもしれない。
こうして、ふつうのOLをはじめ、客室乗務員、アニメ声優、銀座のホステス、エステティシャン、アナウンサー、占い師……など、私が婚活の場で出会った個性豊かな女性たちとの実話をまとめたのが、本書『婚活したらすごかった』だ。婚活サイトに登録した時の驚き、婚活パーティーでの緊張、フェイスブックの婚活アプリを通して大勢の東アジアや南アメリカの女性から交際を申し込まれた戸惑い、そして、女性と親しくなるための創意工夫、紆余曲折、七転八倒をありのまま書いた。
婚活市場では、男としての市場価値がリアルにわかる。おもしろく、哀しく、そして、書かずにはいられないようなすごい体験ばかりであった。
蘊蓄倉庫
『婚活したらすごかった』は、著者自身(40代バツイチ・男)がネットやパーティで婚活した体験をもとに書いたルポです。体験がベースなだけに、エピソードもリアルですが、それ以上にリアルで役立つのは巻末の「超実用的婚活マニュアル」における様々なアドバイス。たとえばネット婚活で使うプロフィール写真は「スタジオ撮影よりもスナップのほうがいい」「男性はジャケットに襟のあるシャツが無難」「女性は下品にならない程度に女らしいワンピースやブラウス」といった調子。とにかく驚愕のエピソードと納得のアドバイスが満載の一冊です。
担当編集者のひとこと
禁じ手のようなタイトルですが
オビやタイトルにあまり使わないほうがいいと思われる言葉があります。「面白い」とか「すごい」というのは、かなり微妙なラインではないでしょうか。あまりにストレートだから、というのがその理由。
そりゃ筆者や編集者がそう言いたくなる気持ちはわかるのですが、そこを一工夫して別の表現をするのがプロってもんでしょうということです。「面白いから面白いと言いました」ではいささか子供っぽいので、あまり頻繁に使わないほうがいいような気がするのです。
じゃあ『婚活したらすごかった』というタイトルはどうしたものか。
実際、これでいいのだろうか、とも思いました。
しかし、この婚活体験ルポに出てくる、著者が出会った面々をどう言えばいいのか。「初対面でホテルに誘うCA」「整形を告白してきた銀座ホステス」「8歳もサバを読むアナウンサー」「婚活のフリをしてナンパを続ける公営ギャンブル選手」「300円をワリカンにするドケチ男」……次々登場する強烈なキャラクターが繰り広げる強烈なエピソードについてあれこれ考え、どう言えばいいのか悩みました。で、結局「すごいからすごいと言いました」というところにしてしまえと考えたわけです。
実際、「すごい」としか言えないというのはお読みいただければわかると思います。
念のため補足しておくと、真面目に婚活を考えている方にもとても参考になる情報も満載です。その意味では「すごく」役に立つ本でもあるのでよろしくお願いします。
2011/08/25
著者プロフィール
石神賢介
イシガミ・ケンスケ
1962(昭和37)年生まれ。大学卒業後、雑誌・書籍の編集者を経てライターに。人物ルポルタージュからスポーツ、音楽、文学まで幅広いジャンルを手がける。三十代のときに一度結婚したが離婚。著書に四十代のときの婚活体験をまとめた『婚活したらすごかった』など。