国民作家、司馬遼太郎が日本に遺した貴重な声の記録。
歴史、経済、文学、医学……さまざまなアングルから発せられる言葉は、ただ一点「日本人とは何か」という問いに収斂されていく。
推薦の言葉
わが国の、そして世界の「歴史」、ひいては「人間」への深い理解と共感とに裏打ちされた司馬遼太郎の「語り」には、さまざまな切り口のなかに、年月を超えた「本質」への洞察がある。こんにち、経済・社会のグローバル化と「文明の衝突」が繰り広げられる激動の現代においてこそ、私たちはその「語り」に真摯に耳を傾けるべきだろう。 私たち「日本人」が、その進路を見失わないために。 トヨタ自動車株式会社会長 奥田 碩 |
私は同じ本を二度読むことはほとんどない。が、唯一の例外がある。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」だ。15歳でアメリカに旅たったとき。病床で生死の境をさまよったとき。ソフトバンクの株式を公開するとき。そして大きな志を抱いてブロードバンド事業に取り組んでいる今。人生の転機にあってひもとくのは決まって「竜馬がゆく」だった。そのたびに司馬さんが描く竜馬の生き様に勇気づけられてきたのである。その司馬さんが亡くなって来年で10年になる。日本の活力が失われていると言われる今、司馬さんの肉声は時代を超えて日本に再び高い志と勇気を与えることができると確信している。 ソフトバンク株式会社社長 孫 正義 |
若いころから随分と司馬遼太郎さんの本を読んできた。二十年以上アメリカで生活し、日本を意識させられる機会が多かったこともあり、日本の来し方を描いた 司馬さんの作品にはずいぶんと共感したものだ。司馬さんが亡くなって、早くも十年が経過するが、作品の価値はグローバリゼーションの中でさらに輝きを放っている。今回、この講演集で、初めて日本の歴史・文化について語る司馬さんの肉声を聞き感激した。世界を舞台に働くビジネスマンをはじめ、多くの人に聞いてほしい。きっと日本人であることに胸を張れるだろう。 キヤノン株式会社会長 御手洗冨士夫 |
新潮CD「司馬遼太郎が語る」は1996年/98年に弊社から発売した新潮カセット「司馬遼太郎が語る」と同じ原盤を使用しています。
プロフィール
司馬遼太郎
シバ・リョウタロウ (1923-1996)大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。 |