平家物語〈全12巻〉をすべて原文で朗読
琵琶法師たちの口承によって、時代を超えて語り継がれてきた古典文学の傑作『平家物語』を劇団前進座の俳優・嵐圭史が全巻原文朗読。[テキスト付]
朗読28枚、談話解説1枚、全巻原文テキスト付。 |
CD各巻にはそれぞれ朗読箇所の原文テキストを添付。 |
水上 勉
嵐圭史さんの知盛を見た。木下順二作「子午線の祀り」初演の時である。圭史さんは知盛の役を得て生々していた。永年の修行が実をむすんでことばがとにかく、明晰。
名俳優も出演していたが圭史さんはひけを取らなかった。
平家物語は山河慟こうの歴史物語である。
これをぜんぶ圭史さんが語る。
夢ではないか。生きていてよかった、と思う。
黒柳徹子
知ってるようで、本当は、よく知らない「平家物語」。でも、どこか気になっている「平家物語」。
人間、最後は死ぬのだと、わかってはいても、なお全力をつくして、駆けぬけていった人々。
こんな時代だからこそ、私たちには、いま、「平家物語」かも知れないのです。
平知盛の役で演技賞を受賞した嵐圭史さんが、七年の歳月をかけて読みあげた渾身の朗読。
目を閉じて、あなたの心で聞いてほしいCDです。
森繁久彌
“祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり”この一行に魅せられて、中学生の頃、皆が暗記したのである。
云うなれば、平家物語は若き日の座右の友であり、私たちの血肉になった、往年の名文であった。
この長文の“平家物語”を全巻、嵐圭史さんが読んで録音されたは、けだし素晴らしいこと、云うなれば躰の中に歴史が入ったようなものと、考える。
「盛者必衰、会者定離」――か。
嵐 圭史
優に一千名を越えるであろう登場人物は、それぞれに時代を担い、あるいは翻弄されつつ、運命を背負い、従い、抗って、物語のなかに見事に息衝いていました。そして、万華鏡の如き渾然一体となって綾なされるその愉しさは、“古語” ならではの活力と品格、豊かな響きを伴って、時に叙事の世界を深長に、時に抒情を快く綴って、朗読(よ)む面白さと贅沢に満ち満ちていたのです。
七年という歳月をかけ、『平家物語』全巻の朗読を終えたいま、重く、熱く、激しく、諸々の感懐が私の胸深く去来していく…。
“脇役群像”の、例えば扇を持って立つ名も無き女性も含めて、その一人一人の鮮烈な残像が、いま私には限りなく愛しい!
“往生の素懐をとげ”られたのは男ではなく、なんと女達だけだった。万歳!
ほどよい音声の“色彩感”は朗読の生命! 「諸行無常」の響きは、いわば通奏低音。あえて私は言います、万感の想いをこめて!
杳(はる)かなる響き――『平家物語』
平家物語(全12巻) 木下順二/談話解説、嵐圭史/朗読、水原一/校注 琵琶法師たちの口承によって、時代を超えて語り継がれてきた古典文学の傑作『平家物語』を劇団前進座の俳優・嵐圭史が全巻原文朗読。[テキスト付] ISBN:978-4-10-830068-2 発売日:2001/08/24 |
プロフィール
【談話解説】
木下順二
キノシタ・ジュンジ (1914-2006)1914年、東京に生まれる。東京帝国大学大学院修了。「彦市ばなし」「夕鶴」などの民話劇から出発し、「風浪」「山脈(やまなみ)」「オットーと呼ばれる日本人」「巨匠」といったリアリズムの本流に立つ戦後演劇のひとつの型を創り出した。『平家物語』を舞台にした「子午線の祀り」は新劇、歌舞伎、能、狂言などあらゆる分野の俳優が集まり創り上げた戦後演劇史上最大級の作品。 |
【朗読】
嵐圭史
アラシ・ケイシ 1940(昭和15)年、五代目嵐芳三郎の次男として東京に生まれる。俳優座養成所(第八期)を経て前進座に入座。主な舞台作品には「心中天網島」「東海道四谷怪談」「勧進帳」などの歌舞伎や「子午線の祀り」(紀伊國屋演劇賞)、「怒る富士」(芸術祭賞)、「江戸城総攻」(芸術選奨文部科学大臣賞)などがある。また朗読の名手としても知られ、特に「平家物語」では全巻朗読したCDの刊行や舞台での朗読などに取り組んでいる。 |
【校注】
水原一
ミズハラ・ハジメ 1925年、東京に生まれる。駒沢大学大学院修了。1980年角川源義賞受賞。主な著書に『日本古典集成 平家物語』(新潮社)、『平家物語の世界』(日本放送出版協会)などがある。駒沢大学名誉教授。文学博士。 |