1984年8月30日、53歳の若さで急逝した有吉佐和子作品が文庫で続々と復刊されています。
旺盛な好奇心で、初期には歴史や古典芸能に取材した作品を発表。後期には社会矛盾を告発する数々のベストセラーを書いた有吉佐和子さん。
高齢化社会に警鐘を鳴らした『恍惚の人』、食の安全について先駆的に問い掛けた『複合汚染』、代表作とされる紀州を舞台にした女の三代記『紀ノ川』、120万部のベストセラー『華岡青洲の妻』をはじめ、新潮文庫ではこれまで累計1000万部を超える有吉作品を刊行し続けてきました。
没後30年を機に『悪女について』の新装版を刊行(8月末発売)するほか、『鬼怒川』(8月末発売)『私は忘れない』(9月末発売)『助左衛門四代記』(10月末発売)の3作品を復刊いたします。
是非この機会にお手に取ってください。
悪女について 有吉佐和子 《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。 ISBN:978-4-10-113219-8 発売日:1983/03/29 |
ベネディクト・カンバーバッチ扮するシャーロック・ホームズが活躍する「SHERLOCK(シャーロック)」が英国のみならず、日本を含めた世界中で人気沸騰中。映像の美しさ、展開の見事さ、ミステリとしての構築度の高さからミステリファンだけでなく、数多のシャーロキアンたちを唸らせている。
「SHERLOCK」では、舞台を21世紀のイギリスに移し、電報は携帯(スマホ)に、馬車はタクシーに置き換えられ、原作で“ヘビースモーカー”だったホームズは“ニコチンパッチで禁煙中”だったり、ホームズの“伝記”を書くワトスンは“ブログ”で事件のあらましを書き綴ったりするなど現代的なアレンジになっている。
また、原作通り主人公2人が同居し始めるのだが、周囲からゲイだと思われ、気を遣われる様子も同性愛が認知されている現代だからこその演出だろう。
しかし、全体的な枠組みは驚くほど原作をなぞっており、各場面には作り手の拘りと遊び心、なにより原作への愛が滲み出ているのが「SHERLOCK」の魅力の一つだ。
例えば、シャーロック・ホームズのトレードマークといえば“鹿撃ち帽”だが、実は原作にそのような記述はなく、1891年の「ボスコム渓谷の惨劇」に描かれた挿絵によるイメージが一般的に広がったものである。
「SHERLOCK」では、マスコミから顔を隠すために被った鹿撃ち帽のせいで世間ではトレードマークとされてしまう。ある記者会見の場でも鹿撃ち帽を被ってくれとマスコミに頼まれ、嫌々被るという場面があり、挿絵が一人歩きしてしまっていることを皮肉っている。
他にも原作のエッセンスが詰め込まれた部分がたくさんある。「小説新潮 2014年5月号」に掲載された【The Adventures of 「SHERLOCK」】から少しだけ紹介しよう。
第11回本屋大賞は、全国479書店605人による投票で、ノミネート10作品が選ばれ、その中から和田竜さんの『村上海賊の娘』が受賞しました。
これで新潮社から刊行された作品が本屋大賞を受賞するのは、4度目になります。
『博士の愛した数式』(小川洋子)が第1回本屋大賞を受賞し、続く第2回は『夜のピクニック』(恩田陸)が受賞しました。その後、4度のノミネートを経た伊坂幸太郎さんが『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞を受賞しています。
これら「全国の書店員がいちばん売りたい本」に選ばれた3作品は文庫で発売中です。また、第3回の受賞作であるリリー・フランキーさんの『東京タワー』も新潮文庫より刊行されています。
『赤毛のアン』と『フランダースの犬』。
前者はプリンス・エドワード島の自然の中で、アンが少女から乙女へと成長する姿が描かれ、後者はルーベンスに憧れるフランダースの貧しい少年ネロの生涯を描いた作品である。
これに続いて、ディズニーの映画で知る人も多い、文豪ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』は、ケチで冷酷で人間嫌いの老人スクルージがクリスマス・イヴに自分の将来の姿を見せられて改心する話です。
この、まったく異なった三作が共通する点は、NHKで放送がスタートした連続テレビ小説「花子とアン」の主人公・村岡花子さんなのです。
昨年11月にAmazon.co.jpで発表された「オールタイムベスト小説100」ってご存知ですか?
Amazonがサービスを開始した2000年から13年にわたる書籍の販売で蓄積した販売数、カスタマーレビューの評価をはじめとする各種データをもとに、これだけは読んでおきたい小説100作品を発表したものが公開されています。
この「オールタイムベスト小説100」の中には、夏目漱石の『こころ』や重松清『きみの友だち』、恩田陸『夜のピクニック』など、新潮文庫作品が40点も選ばれています。
今回は個性的な40点の作品の中から10点をご紹介します。多くの読者に愛されてきた新潮文庫作品をご覧ください。