Yonda?Mail購読者の皆さま、こんにちは。
前回に引き続き「沼田まほかるさんに聞いてみました」後編をお届けいたします。
初めてお読みになる方は、ぜひ前編をお読みください。世にも恐ろしい小説を書く作家の、ちょっと意外な素顔を垣間見ることができます。
さて、新潮文庫新刊『アミダサマ』も発売まもなく5万部が増刷され、“沼田まほかるブーム”はとどまることを知りません。
巷に新たな恐怖を巻き起こしている『アミダサマ』はこのようなストーリーです。
幼子の名はミハル。産廃処理場に放置された冷蔵庫から発見された、物言わぬ美少女。彼女が寺に身を寄せるようになってから、集落には凶事が発生し、邪気に蝕まれていく。猫の死。そして愛する母の死。冥界に旅立つ者を引き止めるため、ミハルは祈る。「アミダサマ!」――。その夜、愛し愛された者が少女に導かれ、交錯する。恐怖と感動が一度に押し寄せる、ホラーサスペンスの傑作。
今回はこの『アミダサマ』と「読者の反応」について、編集部から沼田まほかるさんに質問状を送ってみました。以下はその一問一答です。
――『猫鳴り』(双葉文庫)は世の猫好きを唸らせた小説。『アミダサマ』でも猫は重要な役割を担っています。沼田さんにとって猫とは?
沼田:いい猫と付き合ってみると、人間より猫の方がずっと、存在の根源みたいなものに近い場所にいるのだということがわかります。だから猫を撫でていると猫越しにそういったものの気配をおぼろげにせよ感じとることができます。猫は宝物です。
わずか半年の間に60万部が増刷され、本年度の文庫売上ランキングの上位を席巻している小説があります。タイトルは『九月が永遠に続けば』。その作者である沼田まほかるさんの長編小説『アミダサマ』が、このたび新潮文庫より刊行されました。
『九月が永遠に続けば』が第5回ホラーサスペンス大賞を受賞したとき、選考委員はこう評しました。「圧倒された」(桐野夏生)。「文章力で大賞を勝ち取った作品」(唯川恵)。「図抜けた才能を感じた」(綾辻行人)。
実際に読んだ皆さんからも、沼田さんの文章力や作品の臨場感を讃える声が数多く届けられています。しかしそれ以上に多かったのは「これみよがしでない怖さ」や「リアルで後を引く怖さ」といった実感。
昨今、さまざまな事件報道で目にする言葉に「心の闇」があります。この決まり文句は言わばジャーナリストにとっての白旗で、「本当のことは当事者以外知りようがない」と読み手を突き放すフレーズです。