切れ味鋭いトリック、幻想的なイメージ、心の深層を抉る人間ドラマ。
道尾秀介さんの作品には、さまざまな魅力があります。このたび刊行された『月の恋人―Moon Lovers―』の最大の魅力は、ずばり、恋愛小説としての純度! フジテレビ系月9ドラマとのコラボ作品として話題になった本作を読めば、あなたの忘れかけていた(?)恋心が甦るかもしれませんよ。
あなたにも、きっと、好きなロックバンド、ミュージシャンがいることでしょう。私にも数え切れないくらい、好きなバンドやミュージシャンがいます。
ここに、殺人事件という嵐に襲われ、崩壊寸前の人気ロックバンドをめぐる、ひとつの物語が誕生しました。
「夏の100冊」でおなじみ『ブラバン』の著者である津原さんはバンドやソロなどのスタイルで活動を続ける、現役のミュージシャンでもあります。打ち合わせの合間、ロックについて雑談するなかで、
「津原さんに、ぜひ、ロックバンドをめぐるストーリーを描いてほしい」
という気持ちが育ってゆきました。
そして、ある年の某日、その思いをお伝えしました。
音を発することのない小説というメディアから旋律を響かせるというのはいかに困難なことか。存在しないロックバンドに生命を与えることがどんなに大変か。思い返せば、乱暴無謀な依頼でした。
そして――、昨年10月末、〈クロニクル・アラウンド・ザ・クロック〉が新潮文庫の新シリーズとしてスタートしました。
第一巻『爛漫たる爛漫』の原稿を読みはじめたとき、私の耳にはロックバンド爛漫の演奏する姿が見えました。彼らが全身全霊で奏でる曲の数々が確かに聞こえました。物語が終わったとき、ギターの残響を味わいながら、しばらくデスクから動けませんでした。
ここで、主要な登場人物を紹介しましょう。
「うん、いいぞいいぞ! これこそが活字の凄さなんだよ、底力なんだよ! それこそが活字のエンターテインメントであり、活字の持つ豊穣な世界なんだよ! どうだ参ったか!」(書評家・吉田伸子/『隠れ谷のカムイ』解説より)
2011年10月《秘闘秘録 新三郎&魁》シリーズで、新潮文庫初の書き下ろし時代小説作家としてデビューした中谷航太郎さん。2011-2012の「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」ではデビュー作の『ヤマダチの砦』が書店員、書評家などのアンケートで堂々の14位!! 新人作家として素晴らしい注目を集めました。
読みどころは、まず登場するキャラクターの人物造形。顔はメチャクチャいいけど、ホントにおバカな主人公である旗本のどら息子(イケメンエロだめんず・吉田伸子解説)と、流浪の民で野性的、屈強な弓の名手の二人は強力タッグを組み、二人に「キャラ萌え」する読者が続出しました。ツンデレ美女も登場します。
Yonda? Mail購読者のみなさん、こんにちは!
突然ですが、みなさんには人に言えない秘密や趣味はありますか? 12月新刊『自縄自縛の私』は蛭田亜紗子さんがR-18文学賞大賞を受賞した表題作を始め、ちょっと変わった趣味や性癖を持つギリギリの女の子たちを描いた短編集です。
表題作の「自縄自縛の私」は竹中直人監督で2013年2月全国公開の映画化が決定! 今大注目の一作です。主人公は上司の理不尽さに耐えながら、真面目に働くごくごく普通のOL。ですが家ではひとり、ボールギャグと呼ばれる猿轡をはめて、アイマスクを着け、自らの身体を麻縄で縛り上げ、しばしの快楽に浸ります。
文化庁がこの春に行った「国語に関する世論調査」によると、78.4%の人が「日本人の読む力が低下している」と感じ、全体の20.2%が「非常に低下している」と感じています。同じ調査では、「舌先三寸」なのか「口先三寸」なのか、あるいは「のべつまくなし」か「のべつくまなし」か、はたまた「二つ返事」か「一つ返事」か、間違えて使う人の方が多いこともわかりました(すべて前者が正しい)。
受験では、勉強すれば点数を伸ばしやすい英語や数学に比べて「点数を伸ばしにくい」のが国語。では、秘策はあるか? 出版社のメルマガでこれを書くと手前味噌ですが、本を読む子に国語が苦手な子は少ないように思えます。と言うと、お母さんたちによく聞かれます。「いったいどうすれば、本好きな子が育つんでしょう?」と。答えはわりと単純……