宮部みゆきさんの最大にして最高の現代ミステリー『ソロモンの偽証』[全6冊]が3ヶ月連続で刊行中です。第I部は、発売一週間で増刷決定。この秋一番の話題作となっています。「第II部 決意(上・下)」は9月末発売。「第III部 法廷(上・下)」は10月末に発売です。
クリスマス未明に転落死したひとりの中学生。彼の死は、殺人か、自殺か――。謎の死は疑念を呼び、やがて学校は悪意で満たされていきます。目撃者を名乗る匿名の告発状。マスコミによる一方的な報道。大人の都合に翻弄される生徒たちは、真実を求め、ある決断を下します。それは「学校内裁判」という伝説の始まりでした――。
塩野七生さんの大作『ローマ人の物語』の続編とも言うべき『ローマ亡き後の地中海世界』。その単行本が刊行されたのは2008年12月(上巻、文庫版での1・2巻に相当)、そして2009年1月(下巻、文庫版3・4巻)のこと。
ローマ帝国が健在だった時代、地中海は「内海」であり、交通路ともいえる存在でした。ところが西ローマ帝国が滅亡すると、地中海の制海権を握ったのはイスラム化した北アフリカの海賊になります。人々をつなげる穏やかな海だったのが、人々を分断する戦争の舞台になってしまったのです。本作ではヨーロッパのキリスト教連合国が北アフリカの海賊、そしてその海賊を海軍として吸収したオスマントルコ帝国との対立が描かれます。
刊行当時はインド洋ソマリア沖での海賊行為が飛躍的に増え、日本籍船の被害もさかんに報道された時期でもあります。2009年3月からは海上自衛隊が対策のために現地での活動を開始、現在も約600人の隊員が護衛艦2隻とP3C哨戒機2機で警戒に当たっています。いま自分が編集している作品と現代のニュース報道とが呼応するのに、とても驚いたのをよく憶えています。
話題作が目白押しの夏休み映画の中でも今年一番注目を集めるスタジオジブリ最新作「思い出のマーニー」が7月19日(土)いよいよ公開します。
米林宏昌監督で映画化されたこの作品、元々は宮崎駿氏が推薦していたイギリス児童文学の古典的名作ということ、ご存知ですか。
心に闇を抱える少女、アンナがひと夏預けられた先で出会った不思議な少女マーニー。
ふたりは次第に心を通わせ、マーニーはアンナにとって初めての親友となっていきます。
しかし、突然マーニーが姿を消してしまい……。
思い出のマーニー ジョーン・G・ロビンソン、高見浩/訳 みんなは“内側”の人間だけれど、自分は“外側”の人間だから――心を閉ざすアンナ。親代わりのプレストン夫妻のはからいで、自然豊かなノーフォークでひと夏を過ごすことになり、不思議な少女マーニーに出会う。初めての親友を得たアンナだったが、マーニーは突然姿を消してしまい……。やがて、一冊の古いノートが、過去と未来を結び奇跡を呼び起こす。イギリス児童文学の名作。 ISBN:978-4-10-218551-3 発売日:2014/06/27 |
今回の映画公開にあわせて『ハンニバル』などで知られる高見浩氏が手がけたきめ細やかな新訳版『思い出のマーニー』が新潮文庫で発売されました。
新年度がスタートして2ヶ月。五月病を乗り越えて、新社会人もいよいよ本格的に仕事が始まります。取引先や顧客など初対面の人に会う機会が増えることでしょう。
身だしなみをきちんとしておくのはもちろんのこと、ちょっとした心がけで初対面の人にも好印象を与えるコツがあります。
■「会う回数」は多いほうが良い
インターネットが発達して、仕事のコミュニケーションの主役はメールになりました。メールはとても便利なツールですが、メールでしかやり取りをしていない相手よりも、やはり直接、顔を合わせた相手のほうが信頼できるものです。
「初対面の人に対する好悪の判断にかかる時間は、たったの0.5秒」と説くのはミリオンセラー『人は見た目が9割』(新潮新書)の著者・竹内一郎さん。竹内さんの新刊『人は見た目が9割 「超」実践篇』(新潮文庫)によれば、「基本的には、接触の回数に比例して好意も増す」ことが心理学では明らかになっているそうです。「好悪の判断は最初の0.5秒なのだから、その瞬間が多いほうが安心できる」(同書)というわけです。
とはいえ最初の0.5秒で悪い印象を与えてしまっては元も子もありません。そもそも自分がどんな「第一印象」を仕事相手に与えているのか、どうすれば知ることができるのでしょうか。
みなさん、こんにちは。今日、ご紹介する新潮文庫は、マツコ・デラックスさんと池田清彦さんの対談本『マツ☆キヨ―「ヘンな人」で生きる技術―』です。「ああ、あのふたりかあ」と思われた方は、明石家さんまさん司会の某人気テレビ番組での、軽妙なやりとりをご覧になった方かもしれませんね。
マツコ・デラックスさんといえば、いうまでもなくメディアで目にしない日はないという大人気タレント。そして、池田清彦先生は、専門の分野だけでなく科学的視点から、多くの提言を社会に発信する生物学者。大の虫マニアでもいらっしゃいます。
マツコさんは、池田先生の地位ある大学教授とは思えない、場の空気に流されない率直さに常々関心をもち、一方の池田先生は、マツコさんが過激な発言のうらでじつは常に発言相手への配慮を欠かさず、その「シャイでカシコい」ところに魅力を感じたと、それぞれ「まえがきにかえて」と「あとがき」で述べています。
ふたりはそれぞれ自分たちをマイナーな存在であると自認しています。マツコさんはジェンダーの、そして池田先生はアカデミズムの(池田先生は官庁で答申をしても「まず通らない、自然保護の運動に参加しても必ず負ける」のだとか)。それゆえふたりの意見は、つねに少数派にならざるを得ず、本人もそれを自覚しています。では、この世の中、少数派にはどんな生きる道があるのか。ふたりは正直に、真剣に、意見を交わし合いました。隙をついて笑いを取りにくるひな壇タレントも、盛り上がりを演出する効果音もない場所で。