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今月の1冊


 時代小説の最高峰・佐伯泰英の書き下ろし作品『光圀―古着屋総兵衛 初傳―』が発売されました。これは六代目総兵衛勝頼が活躍する「古着屋総兵衛」シリーズの原点となる作品ですが、佐伯泰英が初めて歴史上の実在の人物をメインに描いた作品でもあります。そしてその人物、水戸光圀の最大の謎とされる藤井紋太夫誅殺事件にも切り込んだ異色作です。

 古着問屋「大黒屋」の店主・総兵衛は世間から仕事よりも茶屋遊びが好きだと思われているイケメンの旦那ですが、実は祖伝夢想流の遣い手であり、古着商の巨大な利権を与える代わりに徳川家危難の際には身命を捨てて闘えと家康に命じられた徳川の隠れ旗本です。

 新作『光圀』では、冒頭いきなり、生意気盛りの十五歳の勝頼は、光圀自慢の巨船を光圀に面と向かってこきおろし、父五代目総兵衛幸綱を慌てさせます。物語は五代将軍綱吉の悪政下、御三家定府水戸光圀が憤怒を募らせていく展開の中で、隠れ旗本としての将軍家護持の使命と、人倫の大義の狭間に揺れ動く若き勝頼の内面が描かれることになります。将軍綱吉を背後で操る大きな闇の力に気づいた勝頼は大黒屋のお店者たち(実は影の旗本鳶沢一族の武装集団)とともに立ち上がる……。

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2015年03月20日   今月の1冊



連続ドラマW「硝子の葦 ~garasu no ashi~」

 舞台は、あの「ホテルローヤル」! 直木賞作家・桜木紫乃の傑作ミステリー『硝子の葦』(新潮文庫刊)がついにドラマ化、2月21日から毎週土曜夜10時、WOWOWプライムで放送されます。

 湿原を遠くに望むラブホテル「ホテルローヤル」のオーナー夫人・幸田節子(相武紗季)。親子ほど年齢が離れた夫・喜一郎(奥田瑛二)は、実母のかつての愛人だった。顧問税理士・澤木昌弘(小澤征悦)とも密かにベッドをともにしていた節子は、夫・喜一郎の交通事故をきっかけに、後戻りできない領域に足を踏み入れていく……。

 まさかの結末へといたる物語からも目が離せませんが、もうひとつの見どころが、主演・相武紗季が初挑戦する「官能シーン」。相武さんはすでに、ポスターや番組公式サイトで美しくも大胆なヌードを披露していますが、果たしてドラマ本編では女優としてのどんな新境地を見せてくれるか? 楽しみですね!

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2015年02月10日   今月の1冊






窓の魚』(左)『白いしるし』(右)

 先日、第152回直木賞を西加奈子さん『サラバ!』が受賞しました。

 ピースの又吉直樹さん、歌手の椎名林檎さんはじめ芸能界でもファンが多い西さん、今回の受賞作はデビュー10周年を記念した力作でした。

 テヘラン生まれ大阪育ちという異色の経歴を持ち、ユーモアや言語のセンスが抜群。選考委員のなかには「村上春樹をほうふつさせる」という意見も出たほどだとか。
 作品によって読み味が全く異なる点が西作品の魅力でもありますが、今回は新潮文庫で読める二作をご紹介。

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2015年01月20日   今月の1冊

@バンチ!」コミックス(新潮社)で累計170万部突破の人気コミックス『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』(神崎裕也作)のドラマ化が決定。生田斗真さん、小栗旬さんを始め、ヒロインには上野樹里さん、ほかレギュラー共演に吉田鋼太郎さん、滝藤賢一さんなど豪華キャストの発表で注目を集めています。

 新潮文庫nexでは、小説『ウロボロス ORIGINAL NOVEL』イクオ篇・タツヤ篇(杉江松恋著、神崎裕也原作)を刊行いたします。
 ドラマ同様に新宿署時代を舞台にした、完全オリジナルストーリーです。
 ふたりが「金時計の男」に繋がる情報を求めてもぐりこんだ先で起きた殺人事件。イクオが現場で目撃した少女は、いったい何者なのか……?
 イクオ篇では警察小説として、殺人事件と現場となった組織と少女の謎に迫る。タツヤ篇では、同じ事件を発端にヤクザ同士の争いと殺人が発生。竜哉が容疑者にされ、組から破門されて追われるバイオレンス・サスペンスになっており、同時進行するふたつの物語が、意外な形で1つに結ばれる、まさに“ウロボロス”な2冊で、ドラマスタート前にウロボロスワールドの予習がオススメです!!

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2014年12月10日   今月の1冊



映画「花宵道中」公式サイト

 宮木あや子さんの第5回R-18文学賞受賞作『花宵道中』(新潮文庫)が豊島圭介監督で映画化、11月8日からテアトル新宿ほか全国で公開されています。

 吉原遊女の純愛を描くこの作品でヒロイン・朝霧を演じるのは、安達祐実。相手役の淵上泰史(GoogleのCMで子どもたちと踊っていましたね!)、妹女郎役の小篠恵奈ほか、友近、高岡早紀、津田寛治と個性派の俳優陣が脇を固めます。

 写真集『私生活』を撮影したカメラマンと「再婚間近」と報じられ“私生活”も話題の安達さんですが、この映画では体を張った「オールヌード」に初挑戦。女優としての新境地を開いた妖艶すぎる「濡れ場」も見どころです!




花宵道中
宮木あや子

どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。あの日、あんたに逢うまでは――初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。R-18文学賞受賞作。

ISBN:978-4-10-128571-9 発売日:2009/08/28

文学賞 映画化

693円(定価) 購入



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2014年11月10日   今月の1冊