今月の1冊
重厚な描写を重ねることで人の心を学ばせてくれる、そんな印象の強い作家ですが、意外にも、「名言」と呼ぶべき力強い文句も数多く生み出しています。
「進んで
「教育もない身分もない
「どんな夫でも構いませんわ、ただ自分に
などなど。
この度、そういった文句をぎゅぎゅっと集めた一冊が刊行されました。
ずばりタイトルは、『生れて来た以上は、生きねばならぬ―漱石珠玉の言葉―』。
漱石研究の第一人者・早稲田大学教授の石原千秋先生が、漱石をとらえなおすヒントとして「恋」「人生」「ユーモア」「自己と他者」etc...... などの項目をたて、それぞれに「珠玉の言葉」を並べております。加えて、各項目の終わりに、先生の漱石ガイド的な小解説を書きおろしています。(実は、「生れて来た以上は、生きねばならぬ」も漱石の言葉ですが、どの作品に登場する言葉か、ピンときますでしょうか?)
一冊を通して鮮やかな新・夏目漱石像を結実する本書は、生粋の漱石ファンにこそおすすめ。長年読みこんできた方に新しい発見、新しい漱石をお届けします。
新潮文庫公式インスタグラムにて約2か月連続更新を敢行していた「漱石トリビア」も、2月9日ついに完成いたしました。あっと驚くような情報が満載です。どうぞご覧ください。
[新潮文庫公式インスタグラムはこちら]
そんなたけしさんが、数学のみならず、生物学や物理学、地学や脳科学といった学問の最先端で活躍する研究者たちと語らう超刺激的な本が、連続刊行されることになりました。
それが『たけしの面白科学者図鑑』三部作です!
たけしさんのお相手を務めるのは――現・京大総長でゴリラの生態を研究する山極寿一先生、宇宙をもっともよく知る研究者、村山斉先生、最先端の脳科学を研究し著書も多数ある池谷裕二先生、科学界のインディ・ジョーンズと言われる長沼毅先生、などなど総勢31名。どなたもいずれノーベル賞を受賞してもおかしくない、すごい方々ばかりなんです。
新潮文庫2月新刊では、主に生物学の話題をまとめた『たけしの面白科学者図鑑―ヘンな生き物がいっぱい!―』、3月新刊では地球や宇宙にまつわる話題を集めた『たけしの面白科学者図鑑―地球も宇宙も謎だらけ―』、そして4月新刊では人間の不思議をとことん追求する『たけしの面白科学者図鑑―人間が一番の神秘だ!―』が刊行されます。
学者たちの研究内容が知的好奇心を刺激するのはもちろんのこと、彼らのもはや変人すれすれの研究への情熱もまた、面白いんです。各人のキャラクターにひきつけられながら読み進めるうち、「粘菌ってものを考える力があるんだよ」「宇宙ってひとつじゃないことを知ってた?」「前に起こった富士山の噴火はね」とか、人に自慢できるネタを仕入れて、ちょっとした雑学博士になっているかもしれませんよ。
そしてたけしさんの理解力と幅広い知識には、とにかく驚かされっぱなし。もちろん、対談相手と会う前は、きちんと参考資料を読み込んでいるんですって。そして、たけしさんが科学者へ繰り出す質問からにじみ出るのは、「命とは何か」という非常に壮大なテーマ。天才ビートたけしの考えることは、やっぱりスゴすぎる......。
「26歳のクリスマス」をずっと意識し続けてきたOL、「クリぼっち」確定の司法浪人生、そして、華やぐ東京の街にタイムスリップしてしまった武士......! 同じ「クリスマス」をテーマにしながらも驚くほどバラエティー豊かな物語が収録されています。変化球でありつつロマンティックな味わいにときめく、傑作揃いの6編です。
人気作家6名から直筆カードがイブに届く!
テーマにちなんで、本書をお買い求めの読者の方々にクリスマス・プレゼントをご用意しました。執筆陣6名による手書きのカードを抽選で24名様にお贈りします。ご応募は12月20日(火)必着! どんなメッセージが書いてあるかは、当選者だけのお楽しみ。イブの日に、大好きなあの作家からとっておきのクリスマス・カードが届くかも。詳しくは本書の帯または [こちら]をごらん下さい。
発売後たちまち大増刷がかかった本書、大切な人への贈り物に、自分へのご褒美に、ぜひお手にとっていただけたら幸いです。
2000年代前半、"リストラ請負人"を主人公にした垣根涼介さんの小説、『君たちに明日はない』は衝撃的に登場しました。長引く不況でリストラが社会問題になっていた頃、企業にとって悩ましい仕事を引き受けてくれたのが、主人公、真介が勤務する"リストラ請負会社"だったのです。
メーカー、銀行、消費者金融、ファミリーレストラン......真介はさまざまな会社で、いろいろな社員を面接し、クビを切っていきます。被面接者になじられ、泣かれ、ときに殴られても、なぜか真介はこの仕事がやめられない。他人の人生が大きく変わる瞬間に立ち会い、新たな一歩を踏み出す姿を見守ることに、奇妙なやりがいを感じていたからです。
しかし、第一作『君たちに明日はない』から、今回文庫化された第五作『迷子の王様』が登場するまでに、時代は大きく変わりました。不況はますます混迷を深め、終身雇用はもはや過去のものになっていき、著者が架空の会社として生み出した"リストラ請負会社"は現実の社会でも登場、真介の仕事も読者にとって突飛なものではなくなりました。
第五作『迷子の王様』では、経営難で台湾に身売りする超大手家電メーカーからクビを切られるエリート研究員が登場します。彼の父親もまた家電メーカーに勤務していて、高度成長期を経験していました。ところが息子のほうは、時代のせいで厳しい選択を突きつけられます。切ない世代対比です。
そしてなんと、最後にクビを切られるのは、いままで数多の人々のリストラに関わってきた真介そのひと。彼はいったいどんな道を選ぶのでしょうか!?
第一作から第五作まで、それぞれの作品が、それぞれの時勢を反映しながらも、それでも変わらずシリーズの根っこにあるのはこの問いです。
「仕事とは、いったい何だろう」。
この問いに対する答えが見つかるまで、笑わせ、泣かせ、すべての社会人を応援してきた「君明日」シリーズは、時代が変わっても働く人たちのバイブルであり続けることでしょう。