Yonda?Mail購読者のみなさん、こんにちは。
「読書傾向が似た人は他にどんな本を読んでいるのか?」をテーマに、昨年Yonda?アンケートを実施しました。まず新潮文庫のベストセラーから「読んだ本」を選んでいただき、「その次に読むべき本」をご推薦いただきました。
たくさんの回答の中から、幾つかご紹介させていただきます。ぜひ、次の一冊選びの参考にしてください。
■『火車』(宮部みゆき)を読んだ私が推薦する本
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休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
『向日葵の咲かない夏』(道尾秀介)
『火車』は、じりじりと真実に近づいていく過程が面白いミステリー、一方『向日葵の咲かない夏』は、前半で事件がだいたい解決したのかと思いきや、想像もしない方向に進み、ありえない視点で締められるミステリー。正統派のはっきりとした動機があるミステリーを読んだ後に、このミステリーを読むと怖いです。どちらもその時代の問題が書かれていると思います。『向日葵の咲かない夏』の子供のような感覚を持つ現代人が増えない事を願うばかりです。(30代女性)
『犯意』(乃南アサ)
作家が短編を提示し、法科大教授が罪状の解説をするという、珍しい形式でまとめられた本。裁判員制度が新しくなり、素人も裁判に参加する事になるという時期に、ハードカバー版が出ましたが、文庫本になっても充分に面白く読めます。『火車』の、誰が罪人? 誰もが罪人? の曖昧さも好きだけど、日本の法規ではどんな罪なのだろうと、もっとクリアーなものを読みたくなったら『犯意』は面白く読めると思います。(60代女性)
「うん、いいぞいいぞ! これこそが活字の凄さなんだよ、底力なんだよ! それこそが活字のエンターテインメントであり、活字の持つ豊穣な世界なんだよ! どうだ参ったか!」(書評家・吉田伸子/『隠れ谷のカムイ』解説より)
2011年10月《秘闘秘録 新三郎&魁》シリーズで、新潮文庫初の書き下ろし時代小説作家としてデビューした中谷航太郎さん。2011-2012の「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」ではデビュー作の『ヤマダチの砦』が書店員、書評家などのアンケートで堂々の14位!! 新人作家として素晴らしい注目を集めました。
読みどころは、まず登場するキャラクターの人物造形。顔はメチャクチャいいけど、ホントにおバカな主人公である旗本のどら息子(イケメンエロだめんず・吉田伸子解説)と、流浪の民で野性的、屈強な弓の名手の二人は強力タッグを組み、二人に「キャラ萌え」する読者が続出しました。ツンデレ美女も登場します。
Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。
今年も残すところあと数日。年始は7日から、9連休という方も多いのでは。こんな年末年始こそ、一気読みのチャンス。日ごろ読もうとしてできなかったシリーズものに手を出すなら、今しかありません!
あと少しでお正月ですね。この時期になると一年があっという間に過ぎてしまったな、と思います。毎年のことながら、この一年のことや自分自身のことを考えるのが習慣となっています。
いや、個人的な習慣というより、一年の節目というのは、どんな一年を送っても自分自身を見つめ直す人類共通の一コマではないでしょうか。そして、目標や希望を抱いて新たな年を過ごしていく岐路でもあります。
そう、「一年の計は元旦にあり」との諺(ことわざ)があるように、私たちにとってとても大事な時期なのです!
今回は、そんな重要な時期にふさわしい、心を整えてくれる時代小説をピックアップしました。
登場人物の胸に秘めた想いや人生模様を鮮やかに描いた珠玉の作品を手に取ってみてください。心がスッキリすると同時に、思いもよらない視界の広がりを感じるはずです。
山本周五郎『赤ひげ診療譚』 |
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幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。
●山本周五郎『赤ひげ診療譚』
藤沢周平『橋ものがたり』 |
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幼な馴染のお蝶が、仕事場に幸助を訪ねてきた。奉公に出るからもう会えないと、別れを告げるために。「五年経ったら、二人でまた会おう」年季の明けた今、幸助は萬年橋の袂でお蝶を待つが……。(「約束」)様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。市井の男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描いて、絶賛を浴びた傑作時代小説。
●藤沢周平『橋ものがたり』
Yonda? Mail購読者のみなさん、こんにちは!
突然ですが、みなさんには人に言えない秘密や趣味はありますか? 12月新刊『自縄自縛の私』は蛭田亜紗子さんがR-18文学賞大賞を受賞した表題作を始め、ちょっと変わった趣味や性癖を持つギリギリの女の子たちを描いた短編集です。
表題作の「自縄自縛の私」は竹中直人監督で2013年2月全国公開の映画化が決定! 今大注目の一作です。主人公は上司の理不尽さに耐えながら、真面目に働くごくごく普通のOL。ですが家ではひとり、ボールギャグと呼ばれる猿轡をはめて、アイマスクを着け、自らの身体を麻縄で縛り上げ、しばしの快楽に浸ります。