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新潮文庫メールマガジン アーカイブス

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 18年ぶりのシリーズ新作長編が、ついに発売となりました。これまで公式サイトより配信する、「新作の第一稿が届きました」「発売日決定」「プロモーションビデオ完成」「タイトル発表」「書影公開」「カウントダウン開始」「見本完成!」......その他イベントのお知らせ等々、告知の度に注目を集めてきました。全国の書店ではカウントダウン・キャンペーンで盛り上り、オンライン書店Amazonでは予約注文が上位独占のなか、いよいよ10月12日(土)の全国一斉発売を迎えました。
 そして、新たなニュースで更に話題騒然! 『白銀の墟 玄の月』全四巻、二冊ずつ2ヶ月連続発売に続き、2020年には〈オリジナル短編集〉を刊行することが発表されました。
 そして、今回の新刊刊行記念〈全員プレゼント〉は、なんと、その中の一話が「先に読める!」 というもの。18年待ち続けたファンにとって、驚きと嬉しいニュースとなったことと思います。
 新作は、行方不明の麒麟が戴国に漸く還り、消息を絶ったままの王の行方を捜す怒濤の物語です。息を呑み読み進めるなか、次の短編集の「舞台は何処?」「登場人物は誰?」と思いを馳せてお待ちいただけますように。情報は公式サイトにて随時発表いたします。公式サイトはこちらから。「短編集」も、ご期待ください! 
 2020年も、「十二国記」から目が離せません。 新刊刊行記念〈全員プレゼント〉の詳細は、「十二国記」応募サイトでご確認ください(締切:2019年12月末日)。

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2019年10月15日   今月の1冊


 9月には主演・横浜流星で『いなくなれ、群青』が映画化され、 さらに、シリーズ累計部数が100万部を突破した階段島シリーズ。
 同作の著者である河野裕が描く新たな物語「架見崎」シリーズが、ここに開幕です!

 ある日、高校生の香屋歩の元に届いた謎の手紙。そこには「あなたは架見崎の住民になる権利を得ました」と書かれていた。架見崎? 誰も知らない街からの 招待状は、香屋と幼馴染の秋穂栞を思わぬ場所へと導いていく......。
 戦争。領土。そして、能力者。死と涙と隣り合わせの青春を描く、リーダビリティ抜群の青春エンターテインメント!

 第2巻は10月末、第3巻は12月末に刊行予定です!

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2019年09月15日   今月の1冊


「戦時下の神戸に、幻のように出現する『千一夜物語』の世界」。解説者の森見登美彦氏は、『神戸・続神戸』をこのように評しました。著者・西東三鬼は「水枕ガバリと寒い海がある」という鮮烈な句でも知られる新興俳句の旗手で、若き日にシンガポールで歯科医院を営んだこともある、国際派。彼は昭和17(1942)年の冬、"東京の何もかも"から脱走し、さまざまな外国人が滞在する神戸のホテルに居を定めました。三鬼は当時軍需会社と取引する商人だったのですが、「センセイ」と呼ばれ、さまざまな相談を持ちかけられることに。

 夜な夜な貴重なレコードを共に聞く、エジプト人の親友マジット・エルバ。20歳の台湾人"基隆(キールン)"は国民服に身を固める、模範的な「日本人」でした。ロシヤ女性ナターシャとはある女性をめぐって口論となります。そして、米潜水艦の跳梁のために神戸に足止めされていたドイツの水兵たちもが、缶詰や黒パンを抱えてこのホテルを訪れていました。戦争が重く覆い被さる中、男と女、多国籍の人々の人生が交じりあい、うたかたのドラマがネオンのように明滅します。

 自由を希求する魂の持ち主・西東三鬼が残した奇跡のような2編――あなたも虜になること、間違いありません。

 訓練空襲しかし月夜の指を愛す 三鬼

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2019年08月15日   今月の1冊


 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト──1890年、米国ロードアイランド州プロヴィデンスに生を受けた小説家です。ホラー好きで彼の名を知らぬ者はいないでしょう。しかし、生前、彼の作品を読んだ人は僅かでした。「ウィアード・テールズ」「アメイジング・ストーリーズ」などのパルプ・マガジンに寄稿。唯一上梓した『インスマスの影』は200部しか出まわらなかったそうです。評価を得ることなく、46歳の若さで逝去。彼の存在が歴史の波に呑みこまれなかったのは、ひとえにその物語の魔力ゆえ。ラヴクラフトの創造した壮大な宇宙観に基づく小説群は"クトゥルー神話"と名付けられ、世界中のクリエイターが継承。さまざまな貌をした"子孫"が今日も誕生しています。

 H・P・ラヴクラフト、南條竹則編訳『インスマスの影―クトゥルー神話傑作選―』。怪談・ホラーにも造詣が深い英文学者にして小説家の南條竹則氏が、新潮文庫のために中短篇を選び抜き、時間をかけて、新訳を行いました。クトゥルー神話を愛する方々にも、ラヴクラフト未経験の方にも、自信を持ってお勧めできる1冊です。

「あの古いバスに乗ったらいいかもしれないよ」彼は幾分ためらいながら言った。「もっとも、ここいらじゃあんまり評判が良くないがね。インスマスを通って行くんだ――あの町のことは聞いただろう――」(「インスマスの影」より)

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2019年08月15日   今月の1冊


 この夏、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』の トマス・ハリス待望の新刊、『カリ・モーラ』が新潮文庫から刊行されました!
 ハリスといえば、寡作で知られたお人。1975年に作家デビューしてから40年以上のキャリアのなかで、新作を除くと著作はわずか5作。1940年生れという年齢も考えると、ファンの間では「ハリスはもう新作を書かないのでは」という諦めのムードも漂っていたところに、今回の新作の報が喜びとともに迎えられました。

 期待の新作『カリ・モーラ』は、あのモンスター、ハンニバル・レクター博士の登場しない、まったく新しい物語です。
 舞台は陽光眩しいマイアミ、故国を逃れアメリカで生き抜こうとする健気なヒロイン、カリ・モーラをはじめ、登場人物のほとんどは南米からの移民たち。麻薬王が別荘に隠した金塊をめぐる悪党たちの悪巧みと抗争、それに巻き込まれたヒロインのサバイバルを描くスピーディーな展開に、思わず引き込まれること請け合いです。2019年、トランプ大統領時代の「いま」のアメリカを活写しつつ、小説を読む楽しみに溢れた、極上のエンタテインメント作品に仕上がっています。
 もちろん、ハリスのファンにはたまらない、猟奇的な悪役も登場。

 その名もハンス・ペーター・シュナイダー。全身無毛の臓器密売商人にして殺人鬼。捉えた女の死体を人体溶解装置で溶かし、それを眺めて至福を感じる正真正銘のサイコキラーです。シュナイダーは美貌のカリを狙いますが、彼女は悪党顔負けの華麗なガン捌きと高いサバイバル能力で対抗します。なぜ、25歳の移民女性がそのようなスキルを持っているのか。理由は、彼女が故国で経験した壮絶な過去にありました――。
 聡明で美しく、強さと優しさを兼ね備えた新たなヒロイン、カリ・モーラの魅力にあなたもノックアウトされ、彼女の今後を描く続編をぜひ読みたいと思ってしまうはず。ハリスさん、次は13年も待たせないでくださいね!

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2019年08月15日   今月の1冊