7月1日公開予定の「峠 最後のサムライ」(監督・脚本 小泉堯史)、そして10月公開予定の「燃えよ剣」(監督・脚本 原田眞人)。司馬遼太郎作品原作の映画2作品が、公開待機中です。「峠」の主人公・河井継之助を演じるのは役所広司さん、そして「燃えよ剣」の主人公・土方歳三は岡田准一さんと、映画「関ケ原」で徳川家康、石田三成を演じた2人の名優が、立場・地位は違うけれど、己の信念を胸に激動の幕末を駆け抜けた「サムライ」を演じています。
2作品の映画化を機に、司馬作品を読んでみようという方々も多いかもしれませんが、司馬遼太郎作品は、戦国もの、幕末もの、明治もの、そして紀行エッセイの傑作『街道をゆく』、日本人とは何かを問い続けた文明批評エッセイと、その世界は多岐にわたっています。大河ドラマの原作等で名前は知っているけれど、「どの作品から読めばいいの?」とお迷いの方も多いかもしれません。
そんな戸惑いをお持ちの方におすすめなのが、新潮文庫の新刊『文豪ナビ 司馬遼太郎』。
多彩な作品世界を理解するための5つのコースを用意して、それぞれのジャンルの中から代表的な作品をピックアップ。それぞれの作品の読みどころを判りやすく紹介する「ジャンル別! 司馬遼太郎作品ナビ」。
「人間としての値うちは、志を持っているかいないかにかかわっている」「仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分はだれでもできる。その二分はひとにやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはできない」といった作品にちりばめられた名言を集めた「人生に効く! 司馬遼太郎の名言」。
作家の人生にグッと迫った「評伝 司馬遼太郎」。
新潮社秘蔵の貴重なビジュアル満載の巻頭グラビア。
様々な角度から、司馬遼太郎とその作品を解き明かし、その新たな魅力を徹底解剖した作家ガイド本が、『文豪ナビ 司馬遼太郎』です。
2008年のシリーズ開始から13年、神永学さんの「天命探偵」シリーズがついに完結しました。7作目にして最終巻の『アトラス』では、シリーズ最大の危機、最強の敵、そして最高のクライマックスをお約束します。
死の予知する志乃の夢に現れた次の犠牲者は、警察庁警備局公安課のトップ・唐沢。これまで共闘してきた上司が殺される未来図に衝撃を受ける真田たちは、忌まわしい運命を変えるべく危険な作戦に身を投じます。そこへ現れたのは、前作『アレス』にも登場した因縁の敵・アレス。無敵の闘神を前に、最強バディの真田と黒野も苦戦を強いられます。運命に抗うことはできるのか。そして、眠り続ける志乃は目を覚ますのか――。
真田が繰り広げる派手なアクションシーンと、黒野が誇る冷静沈着な頭脳戦が冴え渡り、読み進めるごとに興奮が増してゆきます。そして読み終えると、興奮とともに、あたたかな満足感と幸福感でいっぱいになることと思います。
「心霊探偵八雲」「怪盗探偵山猫」と並ぶ神永学の「三大探偵シリーズ」、掉尾を飾る「天命探偵」のラストシーンをどうぞ読み逃しなく!
明けましておめでとうございます。今年はいつもの人混みの「初詣」や、「箱根駅伝」を眺めながら皆で囲む「重箱おせち」といった「日本の伝統」のお正月の過ごし方が恋しくなることもあったのではないでしょうか。......でも、ちょっと待ってください。それって本当に昔からある伝統でしょうか? 一見それらしい「古来から連綿と続く」「昔からのしきたり」「和の心」には、じつはごく最近つくられた新しい伝統も多いのです。「土下座」が謝罪のポーズになったのも、「喪服」が黒になったのも、「白菜」が食卓に並ぶようになったのも、じつはそんなに昔のことではなかったりするのです。古式ゆかしい伝統感抜群の京野菜「万願寺とうがらし」も、じつは「カリフォルニア・ワンダー」から生み出された新野菜だったってご存じでしたか? 知れば知るほど面白い、誰かに話したくなる「伝統」の「?」や「!」を楽しむ本です。毎日1項目ずつ読むような「トイレ読書」にもオススメの1冊です。
新春4日にNHKニュースウォッチ9で放送された塩野七生さんのインタビューをご覧になった方も多いと思いますが、2年ぶりとなる書き下ろし新作を刊行いたしました。
インタビューでも触れられていましたが、検疫を意味する英語「quarantine」はヴェネツィア方言のイタリア語が語源です。ジブラルタル海峡を抜けて現在のオランダまで、そしてボスポラス海峡を抜けて黒海まで交易先を求めて旅したヴェネツィア人ですが、検疫、防疫は死活問題であった彼らの生き方に、現在のコロナ禍を生きる私たちが学ぶところは多いかもしれません。
オスマン帝国や神聖ローマ帝国、スペイン王国、フランス王国といった巨大な領土をもつ列強に囲まれながら、小さな小さな島国ながらも独特の存在感を誇ったその姿も、われわれ日本人が自らを重ね合わせたくなるところがあります。
塩野七生さんがふたたびルネサンス期のヴェネツィアを描いた意味はそこにあるのかもしれません。本作は「歴史小説」という形をとっていますが、塩野さんのすべての作品と同じく、何百年も昔のことを描きつつ、現代を生きる日本人への提言となっている作品です。ぜひお手に取っていただきたいと思います。
『小説 イタリア・ルネサンス』には、すべての巻に絢爛豪華なルネサンス世界を体現するカラー口絵を収録。文庫版とは思えない美しい造本も話題になっています。口絵を動画に収めましたので、以下からご覧ください。
[→動画を視聴する]
本の総合情報サイト「BookBang」には刊行記念インタビューが掲載されています。あわせてお楽しみください。
[→インタビューを見る(1)]
[→インタビューを見る(2)]
[→インタビューを見る(3)]
ブームはやがて終わる。だが、人生は続く。一発屋芸人自ら、12組の一発屋に取材し書き上げた、彼らのその後の人生とは――。
ギター侍、エロ詩吟、ハードゲイ......空前のブームを巻き起こし、テレビから姿を消した彼らの人生はしかし、その後も続いています。本作は自身も一発屋芸人と呼ばれた著者の山田ルイ53世が、レイザーラモンHG、コウメ太夫、テツandトモ、ジョイマン、ムーディ勝山、天津・木村、波田陽区、ハローケイスケ、とにかく明るい安村、キンタロー。、など12組の芸人に追跡取材。今回の文庫化にあたり、新たに「ワイルドだろぉ~?」のスギちゃんの章が加わりました。
長年コンビを組んでも芽が出ず、事務所を解雇されてしまった経験もあるスギちゃんの下積み期間はなんと18年! ピン芸人として再スタートし、袖なしGジャンと短パンデニムで「だぜぇ」「だろぉ」という芸風を編み出すまでのエピソードは驚きの連続です。そして今、ブーム終了後のスギちゃんを裏で操る人物とは?
不器用ながら一歩ずつ前に進む芸人たちそれぞれの今に迫り、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞 作品賞」を受賞した、感涙ノンフィクションです。
文庫の解説はミュージシャンの尾崎世界観が担当。面識のないお二人だそうですが、尾崎さんが実は、山田ルイ53世さんの言葉に救われてきたという意外な過去を赤裸々に執筆。併せてご注目ください。