イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか
792円(税込)
発売日:2013/09/14
- 新書
- 電子書籍あり
世界はだいたい日本の味方! 義理、人情、アニメ、マンガ、皇室、日露戦争。愛される理由とは?
イスラムを過剰に怖れる必要はない。私たちが思っている以上に、日本人は尊敬されているのだ。日本は理想的社会と見られ、アニメやマンガも引っ張りだこ。礼儀正しさや義理、人情といった美風に強い関心と共感を持っているのだ。欧米の植民地主義に屈せず独立を守った日本の歴史や皇室の伝統への、ムスリムの畏敬の念を紹介し、その良好な対日感情をどう国益に結びつけるかを論じる。日本人のためのイスラム入門。
書誌情報
読み仮名 | イスラムノヒトハナゼニホンヲソンケイスルノカ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610536-4 |
C-CODE | 0222 |
整理番号 | 536 |
ジャンル | 社会学、地理・地域研究 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/03/21 |
蘊蓄倉庫
シルクロードを伝わって、日本にイランの文化が流れ込んでいるようです。松本清張は古代日本にイラン人がやってきたことがあるのではないかという仮説を立てています。その証拠のひとつとされているのが、奈良のお水取り。松本のいう通り、ゾロアスター教の火に対する信仰がそこに現われているのかもしれません。「フルーツ・ポンチ」の「ポンチ」も、「チャランポラン」もペルシア語起源という話など、中東と日本の意外な結びつきについて知りたい方は、本書をぜひお手に取って下さい。
担当編集者のひとこと
ぜんぜん怖くありません
僕は遺跡を見るのが好きで、それで中東にときどき見物に行くのですが、そういう身からすると、この本を編集しているときの周囲の反応は意外なものでした。「イスラム教徒ってなんか怖いし、日本人なんか敵視しているんじゃないか」。ところが、西アジアでも北アフリカでも東南アジアでも、行ったことのある日本人なら誰でも知っている通り、われわれは、日本人であるだけで、基本、かなりの好感度で現地の人から受け入れられます。ヨーロッパ人やアメリカ人よりも、韓国人や中国人よりも……。
「ジャパニ、まあ茶でも飲んでいけ」、少し前なら「ナカダという選手はすごいな」、最近なら「カガワ、プレミアリーグでも活躍するといいな」とか。「アメリカは、ヒロシマ、ナガサキでひどいことをしたな」……こんな同情をされたこともあります。日本人=お金持ちという印象が世界中に定着しているので、お土産屋ならなにか売ろうという下心から、ということもないことはないのですが、それを差し引いてみても、日本に対するイメージは良いことを実感できる機会は多いと思います。その理由はなにか。
お互い遠いので、ケンカすることがあまりなかったことも一因でしょう。しかし、それだけではないのです。面白いことにイスラム世界には日本の義理人情に似た心情があるそうです。また、サウジアラビアのテレビ番組では日本は理想的社会と見られ、東南アジアではアニメやマンガも引っ張りだことか。本書は、欧米の植民地主義に屈せず独立を守った日本の歴史や皇室の伝統へのムスリムの畏敬の念を紹介し、その良好な対日感情をどう国益に結びつけるかを論じる、日本人のためのイスラム入門です。
2013/09/25
著者プロフィール
宮田律
ミヤタ・オサム
1955(昭和30)年山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。1983年、慶應大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院修士課程(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治研究、イラン政治史。『現代イスラムの潮流』『中東 迷走の百年史』など著書多数。