日露戦争に投資した男―ユダヤ人銀行家の日記―
770円(税込)
発売日:2005/11/17
- 新書
- 電子書籍あり
新資料発掘――「大至急、戦費を調達せよ!」ウォール街の辣腕が日本を救った!
ジェイコブ・シフ、ドイツ系ユダヤ人でウォール街を代表する投資銀行家――。この男の助けがなければ、日本は日露戦争に勝てなかった。国家予算の六倍以上の戦費をつぎ込み、継戦不可能というギリギリで掴んだ戦勝。その戦費の約四割を調達したのがシフだ。なぜ彼は極東の新興国日本を支援したのか? その生涯、対日支援の動機とともに、叙勲のために招待された際の「滞日記」を、日本にはじめて紹介する。
目次
まえがき
第一章 ウォール街の巨人 ジェイコブ・シフ
1 高橋是清への指令
2 開戦前夜の「困難」
3 ロンドンでの邂逅
4 戦場以外の地道な戦略
5 比類なきシフの人脈
6 鉄道事業と日本に見出した商機
7 対日支援の複雑な背景
8 戦勝が支えた日本公債人気
9 戦後に残った日米対立の火種
10 怒りと失意、それでも変わらなかった日本への厚情
2 開戦前夜の「困難」
3 ロンドンでの邂逅
4 戦場以外の地道な戦略
5 比類なきシフの人脈
6 鉄道事業と日本に見出した商機
7 対日支援の複雑な背景
8 戦勝が支えた日本公債人気
9 戦後に残った日米対立の火種
10 怒りと失意、それでも変わらなかった日本への厚情
第二章 シフ滞日記 ――Our Journey to
Japan――
1 ニューヨークから大陸横断鉄道の旅(一九〇六年二月二二日~三月七日)
2 マンチュリア号でハワイを経て横浜へ(三月八日~二四日)
3 ミカドの謁見。すばらしい午餐会(三月二五日~二八日)
4 ミカドの都。上野、増上寺、招魂社(三月二九日~四月一日)
5 箱根・宮ノ下へ。はじめて見る富士山(四月二日~五日)
6 日本の上流階級。松方、大倉、大隈、渋沢との交流(四月六日~一〇日)
7 日光へ。豪華絢爛な東照宮(四月一一日~一七日)
8 浜離宮での観桜会。前代未聞の皇后の配慮(四月一八日~二一日)
9 京都・大阪へ。骨董屋、都をどり、小学校訪問(四月二二日~二八日)
10 瀬戸内を行く。厳島神社、呉海軍工廠、門司港(四月二九日~五月一日)
11 朝鮮半島の旅。韓国皇帝に拝謁できない事情(五月二日~六日)
12 奈良の旅、サヨナラ日本(五月七日~一四日)
13 元老たちの満韓経営論、日清関係(五月一五日~二八日)
14 バンクーバーから大陸横断、ニューヨークへ(五月二九日~六月八日)
2 マンチュリア号でハワイを経て横浜へ(三月八日~二四日)
3 ミカドの謁見。すばらしい午餐会(三月二五日~二八日)
4 ミカドの都。上野、増上寺、招魂社(三月二九日~四月一日)
5 箱根・宮ノ下へ。はじめて見る富士山(四月二日~五日)
6 日本の上流階級。松方、大倉、大隈、渋沢との交流(四月六日~一〇日)
7 日光へ。豪華絢爛な東照宮(四月一一日~一七日)
8 浜離宮での観桜会。前代未聞の皇后の配慮(四月一八日~二一日)
9 京都・大阪へ。骨董屋、都をどり、小学校訪問(四月二二日~二八日)
10 瀬戸内を行く。厳島神社、呉海軍工廠、門司港(四月二九日~五月一日)
11 朝鮮半島の旅。韓国皇帝に拝謁できない事情(五月二日~六日)
12 奈良の旅、サヨナラ日本(五月七日~一四日)
13 元老たちの満韓経営論、日清関係(五月一五日~二八日)
14 バンクーバーから大陸横断、ニューヨークへ(五月二九日~六月八日)
あとがき
主要参考文献
シフ一行の旅程
主要参考文献
シフ一行の旅程
書誌情報
読み仮名 | ニチロセンソウニトウシシタオトコユダヤジンギンコウカノニッキ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610143-4 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 143 |
ジャンル | ノンフィクション、日本史 |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/07/27 |
蘊蓄倉庫
皇后陛下の真心
本書で紹介しているシフの日記は、日露戦争後に訪日した際の旅行記である。来日の目的は叙勲だった。シフの戦費調達の功を賞するために明治天皇が招いたのだった。「明治天皇紀」を見ると、3月28日の項に「勅語を賜ひて、曩に国債募集に際し盡力せるの功を賞したまふ」という記述がある。
その後、シフは浜離宮で4月20日に行われた天皇主催の観桜会にも招かれている。「明治天皇紀」には「皇后と倶に浜離宮に幸し、皇族並びに内外臣僚を召して観桜会を行ひたまふ、参会するもの皇族以下千七百四十五人なり」とあるだけだが、実はこのとき、ちょっとしたハプニングがあった。手違いから、シフ夫人が皇后の拝謁者から漏れてしまっていたのだ。しかしこのとき、皇后の特別な配慮で急遽拝謁が実現した。シフの日記には、前代未聞の拝謁に周囲が興奮している様子を書き残している。そのときの短い会話の中身までは残っていないが、皇后も日本を救ってくれた恩人にお礼を言いたかったのではないだろうか。
本書で紹介しているシフの日記は、日露戦争後に訪日した際の旅行記である。来日の目的は叙勲だった。シフの戦費調達の功を賞するために明治天皇が招いたのだった。「明治天皇紀」を見ると、3月28日の項に「勅語を賜ひて、曩に国債募集に際し盡力せるの功を賞したまふ」という記述がある。
その後、シフは浜離宮で4月20日に行われた天皇主催の観桜会にも招かれている。「明治天皇紀」には「皇后と倶に浜離宮に幸し、皇族並びに内外臣僚を召して観桜会を行ひたまふ、参会するもの皇族以下千七百四十五人なり」とあるだけだが、実はこのとき、ちょっとしたハプニングがあった。手違いから、シフ夫人が皇后の拝謁者から漏れてしまっていたのだ。しかしこのとき、皇后の特別な配慮で急遽拝謁が実現した。シフの日記には、前代未聞の拝謁に周囲が興奮している様子を書き残している。そのときの短い会話の中身までは残っていないが、皇后も日本を救ってくれた恩人にお礼を言いたかったのではないだろうか。
掲載:2005年11月25日
著者プロフィール
田畑則重
タバタ・ノリシゲ
1949(昭和24)年北海道生まれ。出版社勤務(編集者)。埼玉大学教養学部卒業。東京大学新聞研究所修了。ここ十年ほど、在外日本人や在日・訪日外国人の事蹟を調査研究。海外資料の発掘によって、日本と東アジアの近代史を新たな視点から読み直すことを主題にしている。
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