「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史―
748円(税込)
発売日:2004/09/18
- 新書
- 電子書籍あり
「ウサギ小屋」「日本人は12歳」「グローバル・スタンダード」。本当の意味を知っていますか?
マッカーサーの「日本人は12歳の少年」という発言や、「エコノミック・アニマル」「ウサギ小屋」といった言葉は、日本人をネガティブに評する際に使われる決まり文句である。しかし、実はこれらの言葉に批判的な意味はなかった。日米開戦のきっかけになった誤訳、ダイアナ妃の招いた誤解、世界には通じない「グローバル・スタンダード」の意味等、近現代史のさまざまな場面での誤解、誤訳を紹介する。
付録1・マッカーサーの上院答弁
付録2・日米開戦直前の電報原文
付録3・ウサギ小屋騒動のもとになったECの報告書
書誌情報
読み仮名 | エコノミックアニマルハホメコトバダッタゴカイトゴヤクノキンゲンダイシ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610084-0 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 84 |
ジャンル | ノンフィクション、世界史、翻訳 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/07/27 |
蘊蓄倉庫
一時期から使われるようになった「グローバル・スタンダード」という言葉。「グローバル・スタンダードを一方的に日本に押し付けてくるアメリカ」みたいな言い方をよく耳にしました。何だかそう聞くと、「そうだ、アメリカに騙されちゃいけない」と思ったりもするのですが、実はこの言葉は和製英語です。アメリカで「グローバル・スタンダードを押し付けるな!」と叫んでも通じません。『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった─誤解と誤訳の近現代史─』は、明治以降、歴史のなかで誤解、曲解されてきた様々な言葉を読み解く本です。
担当編集者のひとこと
決まり文句は怪しい
物分りが悪くなってきたのか、世間からずれてきたのか、最近はテレビでニュースを見てもわからないことが以前よりも多くなった気がします。正確にいえば、見てわかることよりも、見てさらにわからなくなるということが多くなっています。
ある時期から、小泉首相は「独裁者」と評されることが増えたと思います。何でも自分で決めてしまう、とんでもない奴だということです。実際にそれが本当なのか、とんでもないことなのか、そのへんは知りません。 ただ、よくわからないのは確かある時期までは、「日本の首相は党やいろんなところに気兼ねをしすぎている。もっと大統領みたいなリーダーシップを持つべきだ」というようなことがやたらと言われていたことです。大統領みたいなリーダーシップというのと独裁的というのは、どう違うのかがよくわからないのです。
でもとりあえず「小泉はもう独裁者だね」というと何だか批評をした気になれるのはわかります。その続きには「日本は知らないうちにファシズムに近づいているね」なんて台詞も来そうです。
どうしても自分でもついつい使ってしまうのですが、そういう決まり文句やレッテル貼りというのはとても安易な気がします。
『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史―』では、日本人を語る際によく使われる決まり文句を検証しています。タイトルにもあるとおり、「エコノミック・アニマル」というのは決して悪口ではありません。本来、金のために何でもやる、野獣のような奴ら、というような意味はないのです。
本書では他にも「ウサギ小屋」「グローバル・スタンダード」といった言葉の本当の意味をご紹介しています。決まり文句が結構怪しいことがある、ということがわかるはずです。
2004年9月刊より
2004/09/20
著者プロフィール
多賀敏行
タガ・トシユキ
1950(昭和25)年、三重県松阪市生まれ。一橋大学法学部卒業。ケンブリッジ大学法学修士号取得。1974年外務省入省後、在マレーシア大使館、国連日本政府代表部勤務。在ジュネーブ日本政府代表部公使などを経て、在バンクーバー総領事。著書に『国際人の英語』など。