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バカと無知―人間、この不都合な生きもの―

橘玲/著

968円(税込)

発売日:2022/10/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

50万部突破『言ってはいけない』から6年、“きれいごと社会”の残酷な真実。これが、私たちの本性だ。

正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。

目次
まえがき
PARTI 正義は最大の娯楽である
1 なんでみんなこんなに怒っているのか
2 自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」
3 なぜ世界は公正でなければならないのか
4 キャンセルカルチャーという快感
PARTII バカと無知
5 バカは自分がバカであることに気づいていない
6 「知らないことを知らない」という二重の呪い
7 民主的な社会がうまくいかない不穏な理由
8 バカに引きずられるのを避けるのは?
9 バカと利口が熟議するという悲劇
10 過剰敬語「よろしかったでしょうか」の秘密
11 日本人の3人に1人は日本語が読めない?
12 投票率は低ければ低いほどいい
13 バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来
PARTIII やっかいな自尊心
14 皇族は「上級国民」
15 「子どもは純真」はほんとうか?
16 いつも相手より有利でいたい
17 非モテ男と高学歴女が対立する理由
18 ほめて伸ばそうとすると落第する
19 美男・美女は幸福じゃない?
20 自尊心が打ち砕かれたとき
21 日本人の潜在的自尊心は高かった
22 自尊心は「勘違い力」
23 善意の名を借りたマウンティング
24 進化論的なフェミニズムへ
PARTIV 「差別と偏見」の迷宮
25 無意識の差別を計測する
26 誰もが偏見をもっている
27 差別はなぜあるのか
28 「偏見」のなかには正しいものもある?
29 「ピグマリオン効果」は存在しない?
30 強く願うと夢はかなわなくなる
31 ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?
32 「信頼」の裏に刻印された「服従」の文字
33 道徳の「貯金」ができると差別的になる
34 「偏見をもつな」という教育が偏見を強める
35 共同体のあたたかさは排除から生まれる
36 愛は世界を救わない
PARTV すべての記憶は「偽物」である
37 トラウマ治療が生み出した冤罪の山
38 アメリカが妄想にとりつかれる理由
39 トラウマとPTSDのやっかいな関係
40 人類がトラウマから解放される日
付論1 PTSDをめぐる短い歴史
付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?
あとがき
参考文献

書誌情報

読み仮名 バカトムチニンゲンコノフツゴウナイキモノ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 288ページ
ISBN 978-4-10-610968-3
C-CODE 0230
整理番号 968
ジャンル 社会学
定価 968円
電子書籍 価格 968円
電子書籍 配信開始日 2022/10/15

蘊蓄倉庫

自分自身が何者かを知る参考書に

 自分自身のことについて、差別主義者だと名乗るような人に遭遇することはなかなかないと思います。しかし、私たちは潜在的に差別や偏見意識を持っており、そこからなかなか逃れられないということが知られています。いやいやそんなことはないよ! と感じられる方々には、本書の《無意識の差別を計測する》や《ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?》《道徳の「貯金」ができると差別的になる》といった項目に目を通していただければと思います。

掲載:2022年10月25日

担当編集者のひとこと

人間について、知りたくないけれど、知っておくべきこと

 50万部を突破した『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』(新潮新書)が出版されてから、6年が経過しました。当時描かれた内容よりもさらに丁寧に、「きれいごと社会の残酷な真実」が描写されているのが本書だと言えるでしょうか。私たちは普段からこんな風に考えがちだ、私たちはこういう時にこんな行動を取りがちだ……といったことについて、本書を通じて知ることができます。世の中には、「人間について、知りたくないけれど、知っておくべきこと」が無数に横たわっています。前もって知っておくことで、落とし穴を回避できることも少なくありません。

 著者の橘玲氏は、小説から本作のように人間そのものや社会の仕組みを解剖するような読み物まで、幅広い領域で活躍されています。いずれの場においても共通しているのは、著者の文明批評的なスタンスだと感じています。その鋭い眼差しは、世界がこれからどんな風に変わっていくのか、近未来を照らし出しているようです。

2022/10/25

著者プロフィール

橘玲

タチバナ・アキラ

1959年生まれ。作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が三十万部超のベストセラーに。『永遠の旅行者』は第19回山本周五郎賞候補となり、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞を受賞。

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