原爆 私たちは何も知らなかった
880円(税込)
発売日:2018/09/14
- 新書
原爆は米・英・加の共同プロジェクト。投下しなくても戦争は終わった。核拡散は終戦前から予測されていた。常識が根底から覆る衝撃の真実。
私たち日本人は、「アメリカが原爆を作り、日本を降伏に追い込むためやむを得ず使った」と聞かされてきた。しかし、これは完全な虚構である。原爆は、アメリカ、イギリス、カナダの共同開発だ。しかも使う必要がなかったにもかかわらず、戦後の国際政治を牛耳ろうとする大統領らの野望のために使われた。その後の核拡散も彼らの無知と愚行が原因なのだ――公文書研究の第一人者が膨大な資料をもとに示す、驚愕の真実。
註釈
書誌情報
読み仮名 | ゲンバクワタシタチハナニモシラナカッタ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610782-5 |
C-CODE | 0222 |
整理番号 | 782 |
ジャンル | 歴史・地理 |
定価 | 880円 |
蘊蓄倉庫
トルーマン大統領の人種差別
日本に原爆を投下したときのアメリカ大統領はトルーマンです。数多くの犠牲が出ることがわかっていたにもかかわらず、そのような決断をした理由の1つは、彼の持つ人種偏見だった、という事実を『原爆 私たちは何も知らなかった』(有馬哲夫・著)では示しています。彼の黄色人種への偏見は凄まじいものがありました。大統領になってから知人に宛てた手紙には、日本人(ジャップ)のことを「けだもの」と記しています。「けだもの」がしでかした真珠湾攻撃への復讐、という意味合いが原爆投下にはあったのです。
掲載:2018年9月25日
担当編集者のひとこと
正しい原爆の歴史とは
この本の著者、有馬哲夫氏は国内外の公文書を発掘し、丹念に読みこむことで歴史の新しい事実を示し続けています。
本書『原爆 私たちは何も知らなかった』は、その一つの集大成とも言える作品と言っても過言ではありません。
「敗戦がわかっていたのに、日本(軍)がムダに粘ったために戦争が長期化してしまった。アメリカはそれで原爆を投下せざるをえなかった。悪いのは日本(軍)である」
大雑把にいえば、アメリカ側の見解は今も昔もこんなものです。だから彼らは決して原爆投下について謝罪をしません。困ったことに、これに近い論調が日本でもよく見られます。「戦前の日本はとにかく悪い」という考えの人に顕著です。
一方で、本書で示す事実は以下のようなものです。
「原爆はアメリカ、イギリス、カナダの国際共同プロジェクトだった。日本への投下には3カ国とも関与しており、責任がある。実際には投下しなくても戦争終結のメドは立っていた。それでも投下したのはトルーマン米大統領やチャーチル英首相の政治的な野望、あるいはトルーマンの人種偏見などが背景にあった」
カナダやイギリスは、原爆に関わっていたことを今でもあまり公にはしたくないようですが、これらはすべて公文書等に記録されていることです。
唯一の被爆国である日本が、核兵器廃絶を願うのは当然かもしれませんが、一方で日本人は、この件について世界のどの国よりも正しい歴史を知っておく必要があるように思います。
2018/09/25
著者プロフィール
有馬哲夫
アリマ・テツオ
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『原発・正力・CIA』『日本人はなぜ自虐的になったのか』など。