「自分」の壁
990円(税込)
発売日:2014/06/16
- 新書
- 電子書籍あり
「自分探し」なんてムダなこと! 『バカの壁』のその先へ――最初から最後まで目からウロコの1冊。
「自分探し」なんてムダなこと。「本当の自分」を探すよりも、「本物の自信」を育てたほうがいい。脳、人生、医療、死、情報、仕事など、あらゆるテーマについて、頭の中にある「壁」を超えたときに、新たな思考の次元が見えてくる。「自分とは地図の中の矢印である」「自分以外の存在を意識せよ」「仕事とは厄介な状況ごと背負うこと」――『バカの壁』から十一年、最初から最後まで目からウロコの指摘が詰まった一冊。
書誌情報
読み仮名 | ジブンノカベ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610576-0 |
C-CODE | 0210 |
整理番号 | 576 |
ジャンル | エッセー・随筆、倫理学・道徳、教育・自己啓発、趣味・実用 |
定価 | 990円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/12/19 |
蘊蓄倉庫
『「自分」の壁』の中に、シロアリについてのこんな話が紹介されています。
シロアリが木材を食べることができるのは、胃の中に木材のセルロースを分解できるアメーバを持っているからである。このアメーバはシロアリよりも熱に弱いため、実験で温度を上げていくと、アメーバだけが死んで、シロアリは生きているという状態になる。しかし、そうなると木材を消化できなくなるので、結局シロアリもすぐに死んでしまう。
この話が、なぜ「自分」とつながってくるのか。話せば長くなるので、本書をお読みください。
担当編集者のひとこと
なぜ「バカ」の先は「自分」なのか
本書は、『バカの壁』『死の壁』『超バカの壁』に続く、養老孟司さんの「壁」シリーズの最新刊です。
なぜ「自分」なのか。
私がくだくだ説明するよりも、「まえがき」にある文章をお読みください。
『自分』という話題は、以前から考えていました。変に聞こえるかもしれませんが、幼稚園のころからです。
自分とはなんだとか、自分はどんな個性の人間だとか、そういうことを考えたわけではありません。自分がなんだか世間と折り合いが悪いけど、いったいなにが問題なんだろう、というようなことです。幼稚園の時には、病気がちでしたから、休むことがあります。そうなるともうすぐに登園拒否です。あらためて行くのが、なんだかはずかしいのです。つまり行ったときに周りがどう思うのか、それを考えると、イヤなのです。そんなこと、だれも気にしてないよ。それが大人の反応でしょうね。でも私はそれが気になってしょうがないから、行きたくなかったわけです。
そのさらに裏には、どんな気持ちがあったのでしょうか。家族はともかく、自分以外の人たちでできている世間、そこで安心して行動していいのかどうか、それがわからなかったのです。この気持ちはかなりの歳になるまで、ずっと続いていました。いわば自分の天性みたいになっていたわけです
本の中では、何度もこうした「世間における居心地の悪さ」がテーマとして語られています。
私自身、いい年をしていまだに人見知りで、他人とうまくやることが苦手なところがあります。無駄に人目を気にする癖も抜けません。だから世間に慣れている人を見ると、すごいなあと感心し、同時に、なぜ俺にはできないのかと考えてしまいます。
そういう人間にとって、本書はとても救いになるような内容でした。何らかの居心地悪さを抱えている方は、ぜひお読みください。
2014/06/25
著者プロフィール
養老孟司
ヨウロウ・タケシ
1937(昭和12)年、神奈川県鎌倉市生まれ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。2003年の『バカの壁』は450万部を超えるベストセラーとなった。ほか著書に『唯脳論』『ヒトの壁』など多数。