資格を取ると貧乏になります
748円(税込)
発売日:2014/02/15
- 新書
- 電子書籍あり
【弁護士】【公認会計士】【税理士】【社労士】……「一流の資格で一生安泰」なんて大ウソ!
弁護士、公認会計士、税理士、社労士……。「一流の資格さえ持っていれば食いっぱぐれない」なんて考えたら大間違い! 近年、規制緩和によって資格取得者の数が激増。その割に仕事は増えず、過当競争とダンピングが常態化し、「資格貧乏」があふれかえっているからだ。資格ビジネスの知られざる裏事情を解説すると共に、「資格を上手に生かすための戦略」も伝授する。
書誌情報
読み仮名 | シカクヲトルトビンボウニナリマス |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610559-3 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 559 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/08/22 |
蘊蓄倉庫
弁護士や公認会計士など他の国家資格保有者に比べ、税理士は極端に高齢化が進んでいます。およそ7万4000人いる税理士のうち、実に過半数が60歳以上。これは、国税庁に23年以上勤務し一定の要件を満たした人は自動的に税理士になれるという仕組みも関係していますが、それにしても極端です。不況が続く中、この「おじいさんの寡占状態」に若い税理士が食い込んでいくのは至難の業と言えそうです。
最新の数字を確認するために日本税理士会連合会に電話をかけたら、「70代13.3%、80代11.14%、90代0.78%、100歳以上0.01%」と平然と読み上げられて、失礼ながら吹き出しそうになりました。
担当編集者のひとこと
「センセイ」たちの知られざる現状
ひと昔前、弁護士や公認会計士、税理士と言えば、「センセイ」とあがめ奉られる存在でした。ところがこの10年ほどで事情は様変わり。奨学金という借金を重ねてロースクールで勉強し、かつては給費制だった司法修習を自腹で乗り切った果てに、就職ができずに自宅でケータイ一つで即開業せざるを得ない通称「ケー弁」が続出しているのです。仕事もないのに奨学金の返済はせざるを得ない彼らの最初の仕事は「自分の自己破産だ」などとブラックユーモアがささやかれるような状況です。独立している弁護士の5人に1人は、生活保護受給者なみの手取り収入だ、とのデータも。借金を重ねて一生懸命勉強し、あげくの果てに生活保護受給者並みの生活しかできないとしたら、泣くに泣けないでしょう。
実は、弁護士や公認会計士はこの10年ほどで人数が2倍に増えています。「規制緩和」「事前規制社会から事後チェック社会へ」などの新自由主義的お題目に基づき、資格取得者の数は近年、大幅に増加。しかし、企業や社会の実態はそれほど変わらず、大量の資格保有者、特に若い資格保有者が職にあぶれ、貧窮にあえぐ事態が出現しているのです。
本書が扱う「資格」は、AKBがユーキャンで宣伝しているようなそれではありません。弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士などの「高級な国家資格」です。しかし、そうした「高級な資格」においても、民間の資格と同じような資格ビジネスの論理が作用して、結局、才能のある若い人たちがあたら無駄な努力を強いられ、食い物にされるような状況が生じています。
本書には、著者が足で稼いできた、資格にまつわる「ぶっちゃけた本音」が満載されています。私のように長年サラリーマンをやっていると、万事が適当というかアバウトというか現実主義的になりますが、資格の取得を目指すような若くて真面目で勉強好きで意識の高い方は理想主義的な傾向が強いですから、そういう方にこそ一読をおすすめします。最後まで読むと、「資格の賢い活かし方」も分かります。
2014/02/25
著者プロフィール
佐藤留美
サトウ・ルミ
1973(昭和48)年東京都生まれ。企画編集会社「ブックシェルフ」代表取締役、ライター。青山学院大学文学部卒。出版社勤務を経て、2004年に独立。著書に『結婚難民』『なぜ、勉強しても出世できないのか?』『凄母』などがある。