日本人のための「集団的自衛権」入門
748円(税込)
発売日:2014/02/15
- 新書
- 電子書籍あり
あらゆる疑問、懸念に正面から答える。冷静な議論のために――。
集団的自衛権の行使を容認すべきか否か。真っ向から意見は対立し続けているが、そもそもその由来や意味をどれだけの国民が知っているのだろうか。政界きっての安全保障政策通が、その成り立ち、日本における解釈の変遷、リスクとメリット等々、あらゆる疑問に正面から答える。「地球の裏側に行って戦争する権利だ」「日本が戦争に巻き込まれる」といった誤解、俗説の問題点を冷静かつ徹底的に検討した渾身の一冊。
集団安全保障と集団的自衛権/安全保障理事会は機能するか
2 第五一条はどう解釈されてきたのか
新しい概念の定義/それは自然権である
3 ベトナム戦争は「自衛戦争」か
自衛と侵略の関係/ベトナム戦争/アメリカの正義は正論か/プラハの春/ニカラグア事件
4 日本は「自衛権」をどう考えてきたか
六つの段階/自衛権はある/個別的自衛権だけはある/在日米軍を守ることもできる/必要最小限論/現在の解釈
5 「行使はできない」の根拠を疑う
交戦権の問題/国際紛争に関する奇妙な見解/「行使できない権利」とは/憲法改正か解釈変更か/私の考え
6 日本政府の解釈は妥当だったのか
日本独自の定義/想定の義務/避けられた論点/正当防衛との関係/「武力行使との一体化論」について
7 「行使可能」でどうなるか
どこまで線引きをするのか/テロリストは国際紛争は起こせない/情報提供/ミサイル迎撃は不可/食糧補給と武器補給/アジアからの信頼を得よ
2 ソフトパワーの時代ではないか?
3 卑怯で何が悪いのか?
4 アメリカは本当に望んでいるのか?
5 想定されている事態は非現実的では?
6 個別的自衛権で何とかなるのでは?
7 まずはお前が隊員になれ
8 自衛官は嫌がっているのでは?
9 アメリカの巻き添えになるだけでは?
10 テロリスト掃討もやるつもりですか?
11 憲法第九条のおかげで平和なのでは?
12 アメリカとの関係は対等になるのか?
13 中国・韓国を刺激しないか?
14 一体、どんな危機があるというのか?
15 徴兵制への布石では?
16 結局、イケイケドンドンになるのでは?
書誌情報
読み仮名 | ニホンジンノタメノシュウダンテキジエイケンニュウモン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610558-6 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 558 |
ジャンル | 軍事 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/08/22 |
蘊蓄倉庫
集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更が可能かどうかが国会等で議論されています。憲法の解釈がコロコロ変わるのは確かにおかしなことですが、一方でまったく変わらないというものでもありません。1946年、新しい憲法を制定する、いわゆる制憲議会において吉田茂総理は、憲法の「戦争放棄」の規定について、「個別的自衛権を含む一切の自衛権を放棄するものだ」と述べています。そりゃいくら何でも極端では、と共産党議員がツッコんでも、「戦争というのは防衛という名目で始まるものだから、全部放棄するべきだ」と言い返しています。
もちろんその後自衛隊も発足し、また国際情勢を考慮したうえで、政府は「個別的自衛権は持っているし、行使も可能」という立場に変わったのです。
政府の解釈の変遷をはじめ、この問題の基礎知識を学びたい方は、『日本人のための「集団的自衛権」入門』をどうぞ。
担当編集者のひとこと
フラストレーションのない入門書です
テレビの討論番組を見ていると、途中からイライラしてしまい、それでも何となく最後までつきあってしまい、結局最後までモヤモヤしたままということが珍しくありません。
ハリウッド映画じゃないんだから、スッキリ終わるものではない、ということはわかっています。が、しかし何だかイライラ、モヤモヤが残るのは精神衛生上良くない。ということで最近はあまり見なくなりました。
なぜそういうフラストレーションがたまるのかといえば、やはり大抵の場合、議論が深まらないからです。
「その問題は、実は2つの要因があります。1つは資金難ですね。もう1つは……」
「そんなことはどうでもいいんだよ! それよりも女性問題について説明しろ!」
という感じで、最後まで「もう1つ」がわからないまま、という調子です。
『日本人のための「集団的自衛権」入門』は、そうしたモヤモヤ感を読者が持たないように工夫された入門書になっています。
賛否がわかれている「集団的自衛権の行使容認問題」について、基礎的な知識はもちろんのこと、特に著者とは反対側の立場からの疑問に答えるようにしているのです。「地球の裏側で戦争するつもりでは?」「自衛官は嫌がっているのでは?」「アメリカの巻き添えになるだけでは?」「中国・韓国を刺激しないか?」等々。
想定されるありとあらゆる疑問、懸念、ツッコミに、とても丁寧かつ論理的に説明をしていきます。
フラストレーションなく、知識が頭に入る入門書です。
2014/02/25
著者プロフィール
石破茂
イシバ・シゲル
1957(昭和32)年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。1986年衆議院議員に初当選。防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任。2024年、第102代内閣総理大臣就任。著書に『国防』『日本列島創生論』など。