和食の知られざる世界
792円(税込)
発売日:2013/12/14
- 新書
- 電子書籍あり
なぜ「世界遺産」たりうるのか。辻調グループ代表だから書けた「和食の真実」。
料理研究者として知られる辻静雄を父に持つ著者は、幼い頃から味覚の英才教育を受けてきた。そしていま、世界が賞賛する「和食」の未来に大きな希望と一抹の不安を抱いている。なぜ海外の一流シェフは和食に驚嘆したのか? 料理を最高の状態で味わうコツとは? 良い店はどこが違うのか? 歴史的変遷から、海外での成功例や最先端の取組みまで、世界の食を俯瞰的に見つめ続けてきた著者だからこそ書けた、和食の真実。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | ワショクノシラレザルセカイ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610550-0 |
C-CODE | 0263 |
整理番号 | 550 |
ジャンル | クッキング・レシピ、グルメ |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/06/20 |
蘊蓄倉庫
日本のラーメン店がニューヨーク等で成功している、ということはよく報じられています。しかし、成功するためには日本と同じサービスでは通用しないようです。ニューヨークで人気の「一風堂」では、店に入ると「食前酒」「前菜」が楽しめるようになっていて、ラーメンは「メインディッシュ」的な扱い。店内は高級居酒屋に近い感じで、2時間過ごして1人5000円くらいの勘定になることもあるとか。決して日本流を押し通しているのではなく、現地で受けるように「変換」されているのです。和食が世界で広まるには、こうした「変換力」が必要だ、というのが『和食の知られざる世界』の著者、辻芳樹さんの主張です。世界の食を俯瞰してきたキャリアの持ち主だけに説得力があります。
担当編集者のひとこと
刺身を乾かすな
普段の食事はあまりグルメとは関係がなく、最近の関心事はCMで見ると矢鱈と美味そうな吉野家の「牛すき鍋膳」はどんなもんか調査に出かけるとか、そんな生活をしています。
実のところ、同僚も同じようなものではないかと推察しているので、時折、接待の席などで妙にかしこまってグルメっぽいことをしている人を見ると、ちょっと可笑しくなってしまいます。ある先輩はワインが来ると、とにかくグラスをグルグル回すもんだと思っているようで、グラスの底に渦潮が出来そうな勢いでずっと回しまくっていました。多分そこまで回さなくていいんじゃないの。よく知らないけど。そう思ったけど怖い人なので何も言えませんでした。
そういう私でも、食事の際に気になるのは、出てきた料理をすぐに食べない人がいることです。折角の刺身がカラカラになっていくのを見ると、何だかハラハラしてきます。「何なら食べましょうか」と言いたくなります。
そういうわけで、『和食の知られざる世界』で、著者が、料理を真に味わうための心がけとして、最初に次のように挙げているのを見て「そうだそうだ」と深く頷きました。
「食事中、料理が出されているにもかかわらず際限もなくぺちゃくちゃ喋る人とは食べに行かない。料理には食べごろというものがある」
この本には、こうした料理を味わうためのコツや、本当に良い店の条件、和食が世界で賞賛される理由等々、和食に関するあらゆるテーマが網羅的に書かれています。行ったことのない高級店の料理を疑似体験することもできます。
少しでも食べることに興味のある方、刺身をカラカラにする人にイライラした経験のある方に是非読んでいただきたい一冊です。
2013/12/25
著者プロフィール
辻芳樹
ツジ・ヨシキ
1964(昭和39)年大阪生まれ。12歳で渡英。米国でBA(文学士号)取得。1993年に、父・辻静雄の跡を継ぎ、辻調理師専門学校校長、辻調グループ代表に就任。海外への和食の発信も積極的に行っている。著書に『美食のテクノロジー』『美食進化論』(共著)等。