
人口激減―移民は日本に必要である―
792円(税込)
発売日:2011/09/16
- 新書
- 電子書籍あり
25年後、1700万人減。日本は没落するのか――。これが再生のための劇薬だ!
日本の人口減少が止まらない。このままでは、内需の縮小による経済的後退のみならず、活力そのものが失われ、日本は世界から取り残されていくばかりだ。本書では、人口減少化社会への劇薬として、移民受入れを議論する。彼らの労働力や「多文化パワー」を最大限に活かす方法、その経済的効果、本当の受入れリスクなどを検証。はたして移民は、“救世主”となるのか。国際交流のスペシャリストによる、新しい日本再生論。
書誌情報
読み仮名 | ジンコウゲキゲンイミンハニホンニヒツヨウデアル |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610435-0 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 435 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/03/09 |
担当編集者のひとこと
「デフレの正体」は「人口激減」である。
昨年6月の刊行以来、ベストセラー街道を突き進み、今年になって50万部を突破した『デフレの正体』(藻谷浩介著、角川oneテーマ21)。この本の論点はさまざまながら、「経済は『人口の波』で動く」というサブタイトルにあるように、「デフレの正体」を日本の人口動態から読み解く、というところがポイントとなっています。曰く、「一九九〇年代半ばを境に、『生産年齢(15歳~64歳――引用者註)人口の波』の減少局面に突入した日本。定年退職者の増加→就業者数の減少によって内需は構造的な縮小を始めました」(P142)。つまり、「景気の波」よりも、遥かに高く構造的な「人口の波」こそが、「デフレの正体」と喝破し、それを解消するためにはどうするか、具体的な提言がなされています。
新潮新書『人口激減』の問題意識も、『デフレの正体』と同様です。それは「このまま人口が減少するのを、指をくわえて待っているだけでいいのか」というもの。ならば、どうするか? 本書の答えは明確。「移民を受入れる」です。減る人口をカバーするために、日本も移民を積極的に受入れるべし、本書の主張はこれに尽きます(ちなみに『デフレの正体』では、外国人労働者の受入れについて、「まったく数量的な効果が出ない」と否定的)。そうしたメッセージが、サブタイトルの「移民は日本に必要である」に込められています。
長く草の根の国際交流に尽力してきた著者が、その経験をもとに、移民受入れにおける経済的効果や本当のリスク、根拠のない日本人の「移民アレルギー」などに論及。すでに人口減少化に無策な日本は、欧米から「反面教師」として注目されている、おとなりの韓国は数年前から積極的に移民受入れ政策を実施し、成功を収めているなど、日本人にとっては耳の痛い話も出てきます。しかしだからといって、将来確実に訪れる危機に目や耳をふさぐのではなく、子どもや孫世代が生きる時代のことを見据え、本書をきっかけに、移民受入れについての議論が巻き起こることを期待します。
2011/09/22
著者プロフィール
毛受敏浩
メンジュ・トシヒロ
1954(昭和29)年生まれ。日本国際交流センター勤務。地域ネットワーク主幹。慶応大学卒。エバグリーン大学大学院修了。兵庫県庁に勤務後、1988年より現職。草の根の国際交流に携わる。慶大などで非常勤講師を歴任。編著書に『国際交流・協力活動入門講座I~VI』。