公安は誰をマークしているか
836円(税込)
発売日:2011/08/15
- 新書
- 電子書籍あり
共産党、北朝鮮工作員、アルカーイダ、過激派、右翼。最強実働部隊の組織と実状。
盗撮、盗聴、徹底監視。必要なら身内さえ尾行する。決して公にしない捜査手法で、公安警察は誰を追っているのか。共産党や過激派が失速し、オウム事件から十六年が経った現在、何と闘っているのか。潜在右翼の増殖、シー・シェパードの横暴、サラリーマンを狙うロシアスパイ、北朝鮮工作員を支援する「土台人」……。特高警察のDNAを受け継ぐ公安最強の組織・警視庁公安部の事件簿から、その実態と実力を描き出す。
目次
はじめに
序章 公安とは何か
わかりにくい組織/なぜ国家「警察」委員会ではないのか/「特高」の流れ/指令はダイレクト
第1章 警視庁公安部 公安総務課vs共産党
共産党ビラ配り事件/盗撮でなく「秘撮」/「筆頭課」の大手柄/なぜ共産党を追い続けるのか/「秘聴」「基調」の意味/ナカノからゼロへ/オウム真理教の監視/統一教会も対象/オウム似の白装束集団/過激な環境団体/グリーンピースの窃盗/広がる守備範囲
第2章 公安一課vs過激派
清和寮爆破事件/別の寮でも爆発/極左暴力集団の源流/機関紙三紙が「解放」/黒ヘルと白ヘル/住宅街の密造工場/明大教授を襲撃/東京サミットと迫撃弾/威信をかけた捜査態勢/逃亡二九年の活動家/成田でのゲリラ武装闘争から地方議会へ/よど号グループとの闘い/金日成の命令/コードネーム「KYC」/よど号事件とダッカ事件/日本赤軍は終わったのか
第3章 公安二課vs革マル
押収された警察無線傍受機/革マルの秘密工作/浦安アジト・ショック/警察最大の敵に/反天皇制団体/公務執行妨害の使い方/議論を呼んだ動画
第4章 公安三課vs右翼
石井紘基代議士殺害事件/注目の論客/語られた動機/様々な「右翼」/暴力団との関係/自爆テロ、上京右翼/危険な潜在右翼/一体、どこの組織が?/日本刀愛好団体、逮捕/ネット上の「活動」
第5章 外事一課vsロシアスパイ
「黒羽一郎」背乗り事件/デッド・ドロップ・コンタクト/アナログ捜査の強さ/狙われた東芝/ボガチョンコフ事件/スパイと不逮捕特権/オモテ作業班とウラ作業班/イランへの不正輸出/輪出禁止リスト
第6章 外事二課vs北朝鮮工作員
「韓国向け」と偽る/ウラン濃縮に使える装置/拉致事件と工作員/「土台人」の働き/拷問が捜査の壁/ピョンヤン放送の暗号/北のサイバー戦能力/中国スパイは「真空掃除機」
第7章 外事三課vsアルカーイダ
穏やかな青年の素顔/判明した通話先/来日テロリストの目的/リオネル・デュモンも潜入/狙われたサッカーW杯/すっきりしない米極秘情報/イスラム教と管理者対策/海外口座を洗う/公安四課の仕事
第8章 事件現場に臨む公安機動捜査隊
警察内でも隠密行動/判断を誤った事件/隊員を翻弄した白い粉/有数の頭脳集団/消えた放射性物質/国際テロリズム緊急展開班
終章 公安調査庁の実力は
破防法というカード/年に一度の冊子/権限の乏しさ/道府県警の公安部門
おわりに
参考文献
図表
「公安」と名の付く各組織と指揮系統
全国47都道府県警の警備・公安担当課一覧
参考文献
図表
「公安」と名の付く各組織と指揮系統
全国47都道府県警の警備・公安担当課一覧
書誌情報
読み仮名 | コウアンハダレヲマークシテイルカ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610433-6 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 433 |
ジャンル | 政治 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/03 |
蘊蓄倉庫
迫撃砲の煙
1986年、東京都心の住宅街。突如、「ドーン、ドーン」という爆発音が響き、中層マンションの4階から迫撃弾が発射されました。狙いは東京サミット開催中の迎賓館。幸運にもけが人などは出なかったものの、実行犯は未だ捕まっていません(事件翌日に過激派の中核派が犯行を認めるビラをまいた)。実はこの事件は新潮社の近所で起きました。担当編集はこの時の写真が社内にあることを知り、見てみて軽い衝撃を受けました。どこにでもある窓から覗く5本の迫撃砲と、噴きだす黒煙……ほかに見た通信社・新聞社の写真にはなかったものです。この貴重な写真(68頁)を見た後には、本書『公安は誰をマークしているか』中で扱われる様々な事件が新たな現実感を持って立ち上がってくるはずです。
1986年、東京都心の住宅街。突如、「ドーン、ドーン」という爆発音が響き、中層マンションの4階から迫撃弾が発射されました。狙いは東京サミット開催中の迎賓館。幸運にもけが人などは出なかったものの、実行犯は未だ捕まっていません(事件翌日に過激派の中核派が犯行を認めるビラをまいた)。実はこの事件は新潮社の近所で起きました。担当編集はこの時の写真が社内にあることを知り、見てみて軽い衝撃を受けました。どこにでもある窓から覗く5本の迫撃砲と、噴きだす黒煙……ほかに見た通信社・新聞社の写真にはなかったものです。この貴重な写真(68頁)を見た後には、本書『公安は誰をマークしているか』中で扱われる様々な事件が新たな現実感を持って立ち上がってくるはずです。
掲載:2011年8月25日
著者プロフィール
大島真生
オオシマ・マナブ
1968(昭和43)年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。産経新聞社に入社、東京本社社会部で2003年~2006年警視庁公安部・警備部担当を務める。宮内庁、司法、調査報道班の各キャップ等を経て大阪本社社会部次長。著書に『愛子さまと悠仁さま』。
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