ウイスキーは日本の酒である
858円(税込)
発売日:2011/08/15
- 新書
- 電子書籍あり
「世界一のブレンダー」が教える、“ウイスキーを10倍愉しむ方法”。
近年、国際的な酒類コンペの賞を総なめしているジャパニーズウイスキー。躍進の裏には、秀逸な日本人の“ものづくり精神”があった――。一時期の人気低迷にもかかわらず、研究開発を重ね、ついに日本のウイスキーは、世界に類を見ない個性をもつ酒へと進化したのだ。知れば知るほど魅力的なその奥深き世界、ブレンドという魔術、バーで使える薀蓄等、「世界一のブレンダー」が自ら伝授する、“ウイスキーを10倍愉しむ方法”。
書誌情報
読み仮名 | ウイスキーハニホンノサケデアル |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610431-2 |
C-CODE | 0263 |
整理番号 | 431 |
定価 | 858円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/17 |
蘊蓄倉庫
「ウイスキーづくりの“司令塔”」であるブレンダーが、ウイスキーの味を表現する言葉は当然のことながらさまざまです。「りんご・西洋梨のような甘く華やかな香り」「蜂蜜のような重くて甘い香り」ならば、なんとなく想像もつきますが、「汗くさい・ナッツのような・石炭を燃やしたような」となると、それがどのようなウイスキーか、素人が想像することはできません。他にも「せんべいみたいだね」「かつおぶしだな、これは」などと表現するときもあるようです。ウイスキーの世界はかくも奥深い世界なのです。
担当編集者のひとこと
スコッチよりもジャパニーズ
酒を覚え始めた学生時代、ウイスキーは憧れの酒でした。特に『山崎』や『響』といった日本のプレミアム・ウイスキーは、友人がこっそり父親のストックから拝借、なんてとき以外はめったに拝むことができないもので、もっぱら『角瓶』や『オールド』に親しんでいました。それが社会人になり、カウンター・バーに足を運ぶようになると、スコッチ・ウイスキー、特にシングルモルトを知るようになりました。バーの雰囲気にも気圧され、舶来のウイスキーの方が格好がつく、なんて、味もわからないくせに、そんなことを思っていたのでしょう。
ところが30代になってジャパニーズ・ウイスキーと再会すると、そのポテンシャルに驚かされました。それまでは「スコッチと比べて個性的ではない」と勝手に思っていたのですが、とんでもない。それに気づかないこちらが浅はかなだけで、しずかにその存在を主張してくる日本のウイスキーのやさしい魅力にはまってしまいました。 本書は、サントリーの山崎蒸留所でチーフ・ブレンダーとして活躍する著者が、日本のウイスキーの魅力を存分にプレゼンテーションしたものです。筆者が手がけた『響21年』や同僚の手がけた『山崎1984』など、近年、ジャパニーズ・ウイスキーは、世界的な酒類コンペの賞を総なめしています。ウイスキーの本場スコットランドでもその評価は高く、いまや日本のウイスキーは世界的な名声をほしいままにしています。
なぜそのような高い評価を日本のウイスキーが得るようになったのか? 本書はそうした疑問に答えてくれます。日本のウイスキーづくりには、あらゆる「ものづくり」の現場でヒントとなるような、日本人の秀逸な「ものづくりの精神」が詰まっているのです。
誰かさんのように「ウイスキーはスコッチに限る」などという根拠のない思い込みに支配されているような方に、ぜひ本書を手に取ってもらい、日本のウイスキーの魅力を発見してもらいたい――。『ウイスキーは日本の酒である』なんて大胆なタイトルを冠した理由も、そこにあります。バーで使える薀蓄もたっぷり、読めばウイスキー観が一変すること間違いなしの一冊です。
2011/08/25
著者プロフィール
輿水精一
コシミズ・セイイチ
ブレンダー。サントリー山崎蒸溜所勤務。1949(昭和24)年生まれ。山梨大学工学部発酵生産学科卒業。1973年サントリー入社。研究センターや貯蔵部門などを経て、1999年よりチーフブレンダー。2011年、手がけた「響21年」が2年連続で「世界最高のブレンド」に選ばれた。