まいにち富士山
748円(税込)
発売日:2011/06/17
- 新書
- 電子書籍あり
64歳で初登頂! 通算800回超の名人が明かす醍醐味とコツ。「毎日登って飽きませんか?」「いいえ、あの達成感は格別です。だから明日も行っちゃうんです」
富士山を目指すのに遅すぎることはない。必要なのはある程度の体力と事前の準備。64歳の初登頂以来、天気が許す限り毎日登って800回を超える名人が「安全に行って帰るまで」を指南する。どれほど辛いのか? 景色以外の楽しみは? どんな忘れ物が痛い? 高山病のマル秘対策は? 迷ったときの対処法は? 登山客が見せた落涙のドラマや九死に一生の恐怖体験も交えた、富士登山の醍醐味、勘所が満載の一冊。
参考文献
書誌情報
読み仮名 | マイニチフジサン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610425-1 |
C-CODE | 0226 |
整理番号 | 425 |
ジャンル | 登山・ハイキング |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/12/23 |
蘊蓄倉庫
青い空に聳えるあのてっぺんへ――と胸膨らませて富士登山ガイドを広げると、戸惑うかもしれません。富士山には4つの登山道があり、それぞれに「頂上」があるからです。そこへ到達すれば山頂を極めたことになり、登頂証が発行されてもいるのですが、日本最高峰の「剣ヶ峰」はさらに上。ここに二等三角点が設置されており、疲労困憊の末にたどり着いた「頂上」から、20~40分は歩かなければなりません。どうしたら一番上の山頂に自分の足で立てるのか。『まいにち富士山』(佐々木茂良著)にはそのコツが満載です。
担当編集者のひとこと
前代未聞の富士山名人
毎日富士山に登っているなんて、いったいどんな山男なのか――。
編集担当のかすかな緊張をよそに、打ち合わせの当日来社された佐々木茂良さんは、柔和な顔立ちの「名人」でした。言われなければ、富士山を人の2倍の速さで登って下りてこられる人とは分かりません。ただし服装は上下ともに登山仕様でした。
佐々木さんは64歳のある日、友人に誘われて初登頂。それからの7年間で通算800回を重ねてきました。なぜそんなことができるのでしょうか。それは佐々木さんが超人的な体力の持ち主だからでなく、周到な準備を欠かさないからということに尽きます。
例えば、道中で何を飲むか。道中、喉を潤すひとときはリズム調整のアクセントや疲労回復のきっかけになります。さらに1回の登頂で必要な量は1.5リットルにもなります。そこで大好きな牛乳やジュース、コーヒーを水筒に入れて持っていき「研究」を重ねた結果、麦茶に落ち着いたそうです。いくら栄養価が高くても、喉ごしが悪いのは困るのだとか。
装備についてもうひとつ言えば、佐々木さんの一歩一歩を支えてきたのが金剛杖です。140センチほどの木製の杖で、登山が趣味の方ならよくご存知のもの。本書『まいにち富士山』の編集にあたり、お持ちのものを見せて頂いたところ、先端が徐々に削れて30センチも短くなっていたのには「通算800回」の片鱗を見るような思いがしました。現在は杖をチタン製のトレッキングポールに持ち代え、両方の手に1本ずつ持つ「二刀流」を採用しています。これが日帰りで富士山に行って帰ってこられる理由のひとつとか。
昨今の登山ブームで様々な商品が売り出されていますが、新商品に飛びつくのでなく、ひとつずつ吟味しながら使っていく姿勢を強く感じさせられました。佐々木さんの全身装備をご覧になりたい方は、54ページの図をご覧下さい。
周到な準備をしても、山で危険に見舞われてしまったらどうするか。本書では失敗談から九死に一生の恐怖体験まで包み隠さず語られています。「いつか自分も」と思ったことのある方はぜひ、どこにもない富士山ガイドをお手にとってみてください。
2011/06/24
著者プロフィール
佐々木茂良
ササキ・シゲヨシ
1940(昭和15)年岩手県生まれ。弘前大学卒業、立正大学大学院修士課程修了。青森県、神奈川県で中学校教諭、養護学校校長を務める。定年後の2004年に初めて富士山に登って以来、毎日山頂を目指す生活に。通算登頂回数は819回、現在も更新中。『まいにち富士山』が初の著作。