生物学的文明論
814円(税込)
発売日:2011/06/17
- 新書
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ヒトはそれほど賢いか? 『ゾウの時間 ネズミの時間』から20年、現代人必読の画期的論考。
豊かな海をはぐくむサンゴ礁にも、日夜潮だまりで砂を噛むナマコにも、あらゆる生きものには大切な意味がある。それぞれに独特な形、サイズとエネルギーと時間の相関関係、そして生物学的寿命をはるかに超えて生きる人間がもたらす、生態系への深刻な影響……。技術と便利さを追求する数学・物理学的発想ではなく、生物学的発想で現代社会を見つめ直す画期的論考。
目次
はじめに
第一章 サンゴ礁とリサイクル
豊かな生物相/美しい海は貧栄養/褐虫藻との共生/究極の楽々生活/石造りの巨大マンション/褐虫藻への配慮/効率よい栄養素のリサイクル/不要なものを活用しあう/粘液――みんなの食べもの
第二章 サンゴ礁と共生
サンゴガニ――居候の恩返し/ハゼは番犬――高い捕食圧ゆえのハゼとエビの密接な協力/掃除共生/イソギンチャクとクマノミ――相利共生で共存共栄
第三章 生物多様性と生態系
サンゴ礁は危機/一日一〇〇種が絶滅/生態系による四つのサービス/生態系サービスの価格/生態系は自分自身の一部/生物多様性と南北問題/豊かさの転換/歴史あるものを大切に/自然も私を見つめている
第四章 生物と水の関係
水問題/なぜ生命は海で生まれたか/水素結合と水/水は安定した環境を提供する/水分と活発さの相関関係/誕生から老化までの水分変化/水と運動/静水系
第五章 生物の形と意味
「生物は円柱形である」/平たい理由/円柱形は強い/球から円柱形への進化/海から陸へ、進化する円柱形/WHYとHOWのあいだ
第六章 生物のデザインと技術
生物と人工物の違い/生物は材料が活発/ナマコの皮は頭がよい/生物はやわらかい/文明は硬い/四角い煙突の論理/人や環境にやさしい技術
第七章 生物のサイズとエネルギー
長さ一億倍、重さ一兆倍の一〇億倍/動物のスケーリング/酸素を使って食物を「燃やして」エネルギーを得る/基礎代謝率のアロメトリー/四分の三乗則/ホヤに見る組織のサイズと構成員の活動度/国家予算もアロメトリー式で/恒温動物は忙しく、むなしい?/食料生産装置としての変温動物
第八章 生物の時間と絶対時間
感じる時間と絶対時間/時間の四分の一乗則/ゾウの時間・ネズミの時間/心臓時計は一五億回で止まる/生涯エネルギーは三〇億ジュール/F1ネズミvsファミリーカーゾウ/回る時間と真っ直ぐな時間/式年遷宮に見る生命観/時間の回転とエネルギー/生命は死ぬけれど死なない
第九章 「時間環境」という環境問題
「便利」は速くできること/現代人は超高速時間動物・恒環境動物/ビジネスとは時間の操作である/時間のギャップが生み出す疲労感/時間を環境問題としてとらえる/省エネのすすめ/時間をデザインする/子孫も環境も「私」の一部
第十章 ヒトの寿命と人間の寿命
ヒトの寿命は四〇歳/還暦過ぎは人工生命体/老人の時間は早くたつ/「死なば多くの実を結ぶべし」/時間への欲望/老いの生き方/広い意味での生殖活動/利己的遺伝子の支配から逃れる/「一身にして二生を経る」
第十一章 ナマコの教訓
脳みそか素粒子か/アンチ脳みそ中心主義/瀬底島での不思議な出会い/砂を噛む人生/ナマコの皮は硬さを変える/硬さ変化の意味/皮は省エネ/頭はいいが脳がない/狭くなった地球上で
おわりに
付録
付録
書誌情報
読み仮名 | セイブツガクテキブンメイロン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610423-7 |
C-CODE | 0245 |
整理番号 | 423 |
ジャンル | 生物・バイオテクノロジー |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/12/16 |