電通とリクルート
792円(税込)
発売日:2010/12/17
- 新書
- 電子書籍あり
「欲望」はいかに作られたのか? 「情報に疲れた社会」の行方を読む画期的社会論。
情報産業の双頭が、押し寄せる情報の海に翻弄されている。マス・メディアを通じた広告であらゆる商品を売ってきた電通と、就職や住宅購入等、「人生の節目」をビジネスにしたリクルート。モノが飽和したにもかかわらず、「憧れの生活」が絵空事になってしまったこの国で、我々の欲望はどこへ向かうのか? 彼らはその欲望の創出にどうかかわろうとしているのか? 消費社会の光と影を露わにする、知的興奮に満ちた一冊。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | デンツウトリクルート |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610398-8 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 398 |
ジャンル | マスメディア |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/06/24 |
担当編集者のひとこと
なぜこの2社なのか
マーケティングと人材育成のコンサルタントとして活躍する山本直人さんの新刊は、『電通とリクルート』です。なぜ今この2社なのか、と思われる方もいるかもしれません。実は「電通と博報堂」でもなければ、「リクルートとベネッセ」でもないところに、山本さんの試みが凝縮されています。
この企画を頂いたときに編集担当が思い浮かべた電通とリクルートの共通点は、とてつもなく幅広い事業を展開していること、そして本体の姿はよく見えないことでした。様々なCMを毎日楽しんで見ていますし、就職活動のときは「リクナビ」にたいへんお世話になりました。でも、考えてみれば一消費者としてお金を払う機会はなかったのです。広告の仕組みはそういうもの、という分かったような認識を『電通とリクルート』が打ち破ってくれる可能性を感じたことを覚えています。
山本さんは2社が発信してきた「2つの広告」から話を始めます。電通がマス・メディアに載せて送り出す広告を「発散志向広告」、リクルートが情報誌などの新しいメディアに載せて送り出す情報を「収束志向広告」と定義し、私たちがどのように影響されてきたかを解きあかしました。懐かしい広告コピーや情報誌を挙げながら流れを語る技は見事です。
今、私たちの身の回りにあるのは広告だけではありません。PCを使えば簡単に得られる「情報」があります。いつからかCMは「続きはネットで!」と検索を促すようになりました。紙の情報誌も検索結果と限りなく近くなってしまったいま、こういったビジネスはどう変わっていくのでしょうか。そもそも私たちは情報がこれほど増えて、幸せになったのでしょうか――山本さんはここまで踏み込みます。お気づきのように本書は、電通とリクルートの企業研究に止まりません。2つのビジネスモデルを知ることは、私たちの「欲望」の変遷を知ることでもあるのです。
2010/12/25
著者プロフィール
山本直人
ヤマモト・ナオト
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。2023年8月現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。