イランはこれからどうなるのか―「イスラム大国」の真実―
814円(税込)
発売日:2010/09/17
- 新書
- 電子書籍あり
《池上彰さん、推薦》「核開発を進める“不思議の国”イランの今が見えてくる!」「悪の枢軸」か、中東の覇者か――。現代イランの実像に迫る。
今、イランから目が離せない。核開発、開票不正疑惑、大統領の過激発言など、中東発のニュースを独占している。その非妥協的な態度ゆえに、国際社会から孤立しつつも、再建途上のイラクやアフガンを尻目に存在感は増すばかり。しかし、その実像はいまだ不透明なベールに包まれている。核開発の本当の理由、アラブへの近親憎悪、米国への秘めた想いなど、特派員としての取材経験をもとに「中東の大国」の本音に迫る。
書誌情報
読み仮名 | イランハコレカラドウナルノカイスラムタイコクノシンジツ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 240ページ |
ISBN | 978-4-10-610384-1 |
C-CODE | 0225 |
整理番号 | 384 |
ジャンル | 政治、外交・国際関係 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/03/25 |
蘊蓄倉庫
イラン人にとってドバイは「解放区」であり、人気の観光地のひとつだそうです。そこでは、宗教的制約のためイラン国内ではままならない、飲酒や自由なファッションを当地で享受し、ビーチやディスコで遊ぶイラン人も多いとか。そのため、テヘラン―ドバイを結ぶエミレーツ航空は、有数のドル箱路線のようです。
担当編集者のひとこと
だからイランは嫌われる。
これほどイランという国が、世界の注目を集めたことはこれまでなかったのではないでしょうか。そう思ってしまうほど、昨年から今年にかけて、イランについての報道が多く目に止まるようになりました。
特に、イランが進める核開発に世界の注目が集まっています。アメリカや日本などは、これを抑制しようと経済制裁を断行、様々な駆け引きを伴った外交戦の様相を呈しています。
その他、2009年の大統領選をめぐる混乱、アフマディネジャド大統領による過激発言、テロ組織への支援疑惑など、とにかくイランは「悪目立ち」しています。
しかしそのようなイランをめぐる報道が多くなされている割には、この国の実像がはっきりと伝わってきません。市民の生活の実態は? 国内の体制は一枚岩なのか? 厳しい戒律を人々は遵守しているのか? “本当の敵”はアメリカなのか? そのような疑問に応えるのが本書です。特派員として4年間テヘランに滞在した著者が、そのときの取材経験をもとに、イランという国の実像や本音について迫っていきます。
核開発を進める本当の理由、オイル・マネーに潤うアラブへの嫉妬、ペルシャ民族主義とその野望、アメリカへの秘めた思いなどといった、国家単位のトピックから、風俗や生活の実際、女性の地位、イスラム体制の弱点などといった国内の状況までをレポートしています。
再建の途上にあるイラクやアフガンを尻目に、「中東の大国」としてめきめきと頭角を現しつつあるこの国を無視して、中東情勢は語れません。はたしてイランの将来は、どのようなものになるのか? 彼らの思想や戦略を分析して、その将来を占います。
2010/09/24
著者プロフィール
春日孝之
カスガ・タカユキ
1961(昭和36)年生まれ。毎日新聞外信部編集委員。ニューデリー、イスラマバード支局などを経て2009年10月までの四年間、テヘラン支局長。イラン報道がボーン・上田記念国際記者賞最終候補。著書に『アフガニスタンから世界を見る』(日本エッセイスト・クラブ賞最終候補)。