難治がんと闘う―大阪府立成人病センターの五十年―
814円(税込)
発売日:2010/08/12
- 新書
- 電子書籍あり
胃がんに挑む、膵臓がんに克つ、肺がんとの闘い、白血病を治す……。専門医にとことん聞いた「がん治療」のすべて。
最善で最新の「がん治療」とは何か? 医療技術が日々進歩する一方で、氾濫する情報にどう向き合うべきなのか? 半世紀にわたって国内トップクラスの水準を誇り、最先端の研究と、徹底的ながん治療を行ってきた大阪府立成人病センター。その第一線の名医たち9名が、がんの種別ごとにわかりやすく解き明かす、がん治療の正しい情報と医療の最前線。がん患者もがんになっていない人も必読の一冊。
がん患者のために「がん医療日本一」を目指して……総長が説き明かす医療の明日
施設情報
書誌情報
読み仮名 | ナンチガントタタカウオオサカフリツセイジンビョウセンターノゴジュウネン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610380-3 |
C-CODE | 0247 |
整理番号 | 380 |
ジャンル | 家庭医学・健康 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/02/25 |
蘊蓄倉庫
大阪府立成人病センターのがん治療では、手術して患部を切除するか、切除しないで治すか、という選択ではなく、「集学的治療」が早くから行われています。
外科手術、放射線治療、化学療法のそれぞれの専門医が、患者のがんの情報を共有し、研究し、相互に必要な治療を施すことによって、できるだけ早く、患者に負担をかけないようにして、がんを治す方法がよく採られています。
特に専門医はこうした「治療デザイン」を考えて、それぞれの専門の科のテリトリーを越えて、協力し合って、がんと対峙しています。
今でこそ、この「集学的治療」はほかの病院でも行われてきましたが、大阪府立成人病センターは早くからこの方法を実践し、高い治癒率を挙げているのが特色です。
担当編集者のひとこと
がんを知り尽くし、がんを治す名医たち
今や日本では年間34万人以上ががんで亡くなっています。
しかも、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんに罹ります。
もはや誰でもがんに罹る可能性がある怖い時代になっています。
大阪市東成区にある「大阪府立成人病センター」(1959年創立)は、半世紀にわたり、早くからがんの治療に特化し、最先端医療を行ってきた専門医療機関です。
東京のがん専門機関ほどの全国的知名度はありませんが、胃がん、肺がん、白血病など「難治がん」の治療には、相当な定評がある病院なのです。
例えば、「難治がん」の代表である膵臓がんの場合では、通常、5年生存率が平均10~20%といわれていますが、「集学的治療」(「薀蓄倉庫」参照)により、成人病センターでは5年生存率50%という世界的な実績を挙げています。
本書では、この医療機関の専門医9名に、がんの部位別に、がんの基本的な情報から治療の最前線までをわかりやすく「Q&A」の形でまとめました。
がんの早期発見方法、がん治療のメカニズムから最先端の治療法まで、また患者に対する考え方など、実際の診察室では気後れしたり、動転したりして、医師に質問しにくい部分にも触れています。
また、女性が罹る子宮がんや乳がんの治療の最前線や、手術せずに治す放射線療法、そして、がんと遺伝などの最新研究も紹介されています。
読むほどに、がんの知識が深まる一冊です。
2010/08/25
著者プロフィール
足立倫行
アダチ・ノリユキ
1948(昭和23)年鳥取県境港市生まれ。早稲田大学政経学部中退。ノンフィクション作家。デビュー作の『人、旅に暮らす』以来、同時代人の生きる意味を探索している。主著に『北里大学病院24時』『日本海のイカ』『森林ニッポン』『妖怪と歩く―ドキュメント・水木しげる―』などがある。