テレビの大罪
814円(税込)
発売日:2010/08/12
- 新書
- 電子書籍あり
教育を論じる元不良、政治を語るタレント、自殺をあおるキャスター。いったい何サマだ?
あなたはテレビに殺される。運よく命まで奪われなくとも、見れば見るほど心身の健康と知性が損なわれること間違いなし。「『命を大切に』報道が医療を潰す」「元ヤンキーに教育を語らせる愚」「自殺報道が自殺をつくる」――。精神科医として、教育関係者として、父親としての視点から、テレビが与える甚大な損害について縦横に考察。蔓延する「テレビ的思考」を精神分析してみれば、すべての元凶が見えてきた!
書誌情報
読み仮名 | テレビノタイザイ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610378-0 |
C-CODE | 0230 |
整理番号 | 378 |
ジャンル | マスメディア |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/03/25 |
蘊蓄倉庫
日がな一日テレビでは、どう見てもやせすぎのタレントが大活躍し、健康番組も情報番組もダイエットの話題でもちきりで、その合間にはやせ関連商品のCMばかり。おかげで日本では老若男女が「やせ強迫」に踊らされています。しかし、やせすぎが健康に悪いことはもちろん、実はやせること自体が健康にいいとは言えません。
最近、40歳の時点で平均余命がもっとも長いのは、小太りの人であるというデータが発表されました。とくに日本人では、BMI(体格指数)で「太りすぎ」に分類される人たちが一番長生きだという研究結果もあります。「やせ」の人とくらべると、なんと男女ともに6~7年も長生きできるというのです。こうした最新知見を反映させることなく、百年一日のごとく「やせ礼賛」を続けるテレビを、著者は「殺人マシン」と呼んでいます。
担当編集者のひとこと
テレビでは言えないこと
しごく常識的な、当たり前のことがテレビでは言わせてもらえない、と著者は言います。その「当たり前のこと」とは、データに基づく客観的な判断や、まともな大人なら口にするであろう率直な疑問です。たとえば、テレビでは一件の少年犯罪が起きると、すぐ「少年による重大事件が増えている」と言います(統計上は増えていません)。また、テレビは事件や事故の被害者を一方的に持ち上げますが、被害者は無謬であるという視点だけで、次なる被害を防げるものでしょうか。
こうした「当たり前のこと」はテレビ以外のメディア、たとえばラジオや新聞、雑誌ならば伝えることができます。さらに、紙幅を費やした書籍であればなおのこと。「当たり前のこと」を言おうとしすぎるために、最近ではテレビの出演依頼が減ったという著者。今だから言える本音を、精神科医、教育関係者、そして二人の娘を持つ父親として吐露した本書は、良識ある大人であれば溜飲が下がること間違いなしの一冊です。
2010/08/25
著者プロフィール
和田秀樹
ワダ・ヒデキ
1960年生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、高齢者専門の精神科医。著書に『80歳の壁』など多数。