イカの神経 ヒトの脳みそ
770円(税込)
発売日:2009/05/16
- 新書
- 電子書籍あり
奇想と執念、愚行と発見。人類はいかにして、ヒト脳に迫ったか。
ヒトは神経の集積体である。アリストテレスが考えた動物精気にはじまり、カエル、イカ、アメフラシ、哺乳動物、さらにヒト脳へ――試行錯誤にあふれた実験の歴史とともに、神経の病、最新の脳生理学までをひもといていく。奇想と執念、愚行と新発見、今となっては常軌を逸した“人体実験”にいたるまで、あまたの科学者たちが挑んできた、人間行動を支配する「神経」解明への道のりとは。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | イカノシンケイヒトノノウミソ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610313-1 |
C-CODE | 0247 |
整理番号 | 313 |
ジャンル | 心理学、生物・バイオテクノロジー |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/04/27 |
蘊蓄倉庫
ロボトミーは、かつて日本でも一世を風靡した「精神外科」、つまり外科的な処置によって精神を治療するという考えから生まれました。ジャック・ニコルソン主演の映画『カッコーの巣の上で』の中でも扱われていますが、脳の前頭葉にメスを入れるという「治療」は、それまで蓄積されてきた理論にもとづいてはいたものの、やはり今となっては残酷な人体実験に等しいものです。1975年に禁止されるまでに、日本国内だけで統合失調症患者など約3万人がこの手術を施されたといいます。
担当編集者のひとこと
結局、ヒトは分からない?
「脳ブーム」といわれて久しくなります。その背景には、脳を知ることでより良く、あるいはもっと気軽に人生を送ることができるのではないか、という思いがあるようです。しかし、脳研究を専門とする科学者の間では、これまで解明されたのは、脳の仕組みのざっと6割ぐらい、といわれているそうです。
本書は、人類がいかにして動物神経の仕組み、さらにはヒト脳について解き明かしてきたかを描き出します。その過程では、もののはずみのような発見もあれば、科学という理屈だけにとりつかれたような失敗もありました。
世界中で日夜続けられる研究の果てに、いつかヒトのすべてが解明されることはあるのでしょうか。昔から、脳で考えている限り、脳のすべてを解明することは不可能という逆説があるそうですが、それは科学的アプローチであっても、文学的アプローチであっても、同じことかもしれません。
2009/05/25
著者プロフィール
後藤秀機
ゴトウ・ヒデキ
1943(昭和18)年東京都出身。神経生理学者。医学博士。早稲田大学理工学部応用物理学科卒業後、東工大大学院原子核工学科修了。横浜市大、コロンビア大学研究員などをへて岩手医科大学助教授。現在は帝京平成大学地域医療学部教授。著書に『神経と化学伝達』など。