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電波利権

池田信夫/著

748円(税込)

発売日:2006/01/17

  • 新書

地上デジタル放送なんて無駄! 誰も語らないテレビ局の利権構造をあぶり出す。

「電波」という観点から見ると、テレビ局はとてつもない「既得権益集団」である。タダで貰った電波を無駄遣いする、電波利用料を携帯会社にツケ回す、政治家に媚を売り新規参入を妨害する、ほとんど無意味な「デジタル化」を進めてインターネット放送を潰す……。公共財であるべき「電波」が私物化されているのだ。「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。

目次
はじめに
第1章 浪費される電波
なぜ電波が重要か
電波とは何か
価値は数兆円
電波配給制度
きっかけはタイタニック事故
「国有地」の非効率
特殊法人と既得権益
「電波利用料」の不条理
第2章 テレビ局を覆い続ける「田中角栄」の影
政治的なメディア
テレビ黎明期
最初の免許は日テレに
反共の砦
「三種の神器」とミッチー・ブーム
田中角栄の「一本化調整」
言論統制から利権へ
UHF帯も占拠
田中のメディア支配
テレビ局と新聞社の系列化
「波取り記者」
WOWOWとMXテレビ
赤字補填の「相互扶助」
最後の護送船団
第3章 政治に翻弄されたハイビジョン
政治力学が生んだ複雑さ
NHKの「ハイビジョン」
帯域をふさぐための技術
NABの勝利
標準化の失敗
「日本脅威論」が台頭
見殺しにされたハイビジョン
「デジタル放送は最大の失敗だった」
泥沼化するデジタル放送
日本でもデジタル化の流れに
何のためのHDTV?
ハイビジョンの教訓
第4章 地上デジタル放送は「平成の戦艦大和」
新しい技術、古い業界
NHKのBSが成功した理由
BSデジタル放送
インターネットとの「垣根」
地上デジタル放送
アナログテレビが見られなくなる?
「コピーワンス」の引き起こした混乱
地方民放「炭焼き小屋」論
国費投入
大艦巨砲主義の末路
同じ失敗を繰り返すのか
第5章 NHKは民営化できる
不祥事続き
圧力に弱い経営陣
政治に弄ばれてきた歴史
NC9カット事件
島体制とその崩壊
島追い落とし工作
島の功罪
海老沢長期政権
安定と停滞の時代
ゆらぐ受信料制度
議論すべき「公共放送」のあり方
NHKの民営化
ニュース部門は非営利組織に
第6章 携帯電話「標準化」をめぐる攻防
国民的な課題
携帯電話の誕生
政治的妥協が生み出したNTTドコモ
爆発的ブームに
iモードの成功
ユーザーがコンテンツをつくる
iモードが国際標準に
PHSは蘇るか
第3世代携帯の政治力学
FOMAの失敗
「第4世代」はあるのか
標準化は民間にまかせよ
第7章 無線インターネット革命の夜明け
有線に20年遅れたわけ
無線LANの登場
超広帯域無線
ソフトウェア無線
オーバーレイ
無線LANによる公衆無線
最大の問題は周波数の制約
第8章 電波開放への道
周波数オークション
成功と失敗
「稀少性」の原因は既得権
アメリカの制度改革
日本の制度改革
長期的な目標設定が必要
政府が行うべき業務
「逆オークション」の提案
費用をどうするか
電波利用料を使う手も
第9章 通信と放送は融合できるか
きっかけはフジテレビ
「放送」の特別扱いは無意味に
全てがIPを経由する
長野県栄村の実験
IPを拒否するテレビ局
本音は独占の維持
広がるIP放送
海外のIP放送
著作権二次利用の問題
IP放送は放送ではない?
著作権の見直しを
デジタル放送のIP伝送
県域放送を守るための規制
「ビル陰」という新たな問題
第10章 電波社会主義を超えて
都心のバラック、山奥の高層ビル
配給制度の限界
社会主義市場経済
自律分散型の構造へ
「放送局」という業態は消滅
電波を政治から解放せよ

書誌情報

読み仮名 デンパリケン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610150-2
C-CODE 0236
整理番号 150
ジャンル マスメディア、ビジネス・経済
定価 748円

著者プロフィール

池田信夫

イケダ・ノブオ

株式会社アゴラ研究所代表取締役所長、経済学者。1953年京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHKに勤務。国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て現職。学術博士(慶應義塾大学)。著書に『電波利権』など。

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