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プーチン

池田元博/著

748円(税込)

発売日:2004/02/20

  • 新書

ふたつの貌(かお)を持つ男。「柔らかな独裁者」が率いるロシアの行方とは!?

自ら大統領になったのではなく、大統領に仕立てられたプーチン。強烈なカリスマ性はないものの、KGB出身の内務官僚にふさわしい「国家主義者」と「改革主義者」の二つの顔を活かして、国内はもとより国際社会で大きな存在感を誇る。ソ連崩壊からエリツィン退任までの10年と、プーチンの個人史、寡占資本家ら「新ロシア人」の姿を通して、74年間の「鎖国」を経たロシアの未来を占う。

目次
はじめに
序 章 強面の妖精
『ハリー・ポッター』の妖精そっくりなプーチンのもと、ロシアはどう変わり、あるいはどう変わらずにいるのか。
第一章 プーチンのロシア
世界の大富豪ランキングに登場する「新ロシア人」が光なら、当然そこには影もある。世代・地域間経済格差に見る現代ロシアの姿。
第二章 スパイにあこがれた少年
風呂なしの共同住宅で育ったヴァロージャ少年が、夢のKGB入局を果たし、内務官僚を経てエリツィンの片腕となるまで。
第三章 プーチンを準備した十年
ゴルバチョフとエリツィンの確執、ソ連崩壊、そしてエリツィンの奢りと病――。歴史はいかにしてプーチンを大統領の座に導いたのか。
第四章 柔らかな独裁
強烈な個性に欠ける調整型の大統領は、一方でメディアや地方への管理を強化し「強い国家」を目指す。プーチン政権の二面性と政争の数々。
第五章 山分け資本主義――十年の経済
新生ロシアの立役者「オリガルヒ(寡占資本家)」。その暗躍と、プーチンと彼らの激しい攻防はロシア経済になにをもたらしたか。

コラム――オリガルヒ列伝
第六章 なんとなくの対米協調
外交の場で格段の存在感を誇るプーチン。実利主義に基づく協調路線を取るロシアと、世界はいかに付き合っていくべきか。
終 章 スーパーパワーから帝政ロシアへ
共産党政権下の七十四年に及ぶ“鎖国”から欧州社会の一員へと戻ってきたプーチンのロシアは、どこへ向かうのか。

主な参考文献
おわりに

書誌情報

読み仮名 プーチン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610054-3
C-CODE 0222
整理番号 54
ジャンル 政治、外交・国際関係、ノンフィクション、歴史・地理、ビジネス・経済
定価 748円

蘊蓄倉庫

「柔らかな独裁者」の正体

 2000年のロシア大統領就任当時、プーチンは無名のKGB出身者でした。その背景は様々に取りざたされ、「帝政ロシア末期に暗躍した怪僧ラスプーチンの末裔」との噂が立ったほどです。
 また、ハリー・ポッター・シリーズの映画が公開されると、情けない妖精ドビーが大統領そっくりだと大騒ぎになりました。著名な弁護士たちが、「大統領の品位を著しく汚した」と制作会社を訴えることまで検討したといいます。
 それもこれも、プーチンの謎めいた雰囲気と奇妙な存在感のなせる業。冷酷で優秀なスパイを思わせる風貌のプーチンですが、実のところKGBでは鳴かず飛ばず。地方官僚に転向してから実力を発揮しています。
 風呂なしアパートでスパイを夢見た少年は、いかに大統領に仕立て上げられたのか。『プーチン』では、ロシア激動の時代を巧みに泳ぐ謎の指導者の素顔に迫ります。

掲載:2004年2月25日

著者プロフィール

池田元博

イケダ・モトヒロ

1959(昭和34)年東京生まれ。日本経済新聞記者。東京外国語大学外国語学部ロシア語科卒。東京本社産業部、証券部などを経て1990年から1993年、1997年から2002年までモスクワ支局勤務。ソ連崩壊プロセスや1998年の金融危機、政権交代などを現場で取材した。

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