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ネコとフトモモ

青山裕企/著

1,100円(税込)

発売日:2017/04/18

  • 書籍
  • 電子書籍あり

あったかくて、やわらかい、幸福な関係。

フェティシズムの旗手が描く、猫と女の子のやわらかで濃密な時間。ぎゅーっと挟まれる三毛。下で丸まる黒猫。ぐーんと伸びるぶち。ペロリと舐める白猫……。美しく、セクシーに、ときにユーモラスに絡み合う。『スクールガール・コンプレックス』『ソラリーマン』シリーズの写真家・青山裕企による新境地。

書誌情報

読み仮名 ネコトフトモモ
装幀 川名潤/ブックデザイン(prigraphics)
発行形態 書籍、電子書籍
判型 A5変型
頁数 72ページ
ISBN 978-4-10-350931-8
C-CODE 0072
ジャンル 写真
定価 1,100円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2017/10/13

インタビュー/対談/エッセイ

確信を抱いた、最高の組み合わせ

青山裕企

 女の子の撮影をしていたある日、彼女の飼い猫が彼女の太ももの上にやってきたんです。そのときふと、猫の顔がいいなと思いました。まず、私が一生懸命撮っている太ももをまるで意識せず、全然無関心なのがいい。猫の表情ってこんなに豊かだったんだと、太ももを下敷きにすることではじめて気づけた。僕の中での猫との出会いでした。そのとき、猫と太ももの相性の良さを、直感よりももっと強い、確信として感じて、猫と女の子の太ももの組み合わせを撮り始めました。
 もともと猫は好きでも嫌いでもありませんでした。野良猫がいても素通り。実は事務所のビルにも住みついていて、会議室の中に入ってきてしまって大捕物して大変な目にあったりと、どちらかというとネガティヴな印象でした。
 では太ももは好きなのだろうと思われるかもしれません。私自身はまわりからはフェチといわれる写真をよく撮っています。たとえば体の一部のパーツを強調した写真などです。フェチ、つまりフェティシズムは、最近は普通に使われていますが、20年くらい前だともっとマニアックな言葉でした。そういう中で今までスカートとひざ上ソックスの間の太もも、『絶対領域』などを撮ってきましたが、実は太ももの肉っぽさにはあんまり惹かれていなかった。
 足で言えばひざ裏が一番好きです。中学・高校時代など、登校時間に前を歩いている女の子たちがいますよね。私自身は女の子が前を歩こうが教室にいようが話しかけられないメンタルで、女の子には興味はあるけど近づけない。せいぜい後ろから見るくらいです。やっぱりドキドキするのは肌の部分。ひざ裏って隠れていない、出ていますから。思春期の自分が思い起こされるというか、今でも好きな部分です。
 ではなぜ「猫」と「太もも」の組み合わせに惹かれたのか。
 サラリーマンがジャンプするという『ソラリーマン』という自分の作品でも、普通にサラリーマンがビルの前を歩いていても誰も気に留めないけれど、日常をちょっとずらす(跳ばせる)と、世界に新しい視点が見つかるということをテーマにして撮っています。
『ネコとフトモモ』も、そうです。普通に猫を見ていてももちろんかわいい。太ももを見ていてもドキドキする。両方ともやわらかい、あたたかい、温度を感じる。触ってみたくなる。だけど太ももは猫が触っている。でも猫は太ももに興味がないというのが本当に面白いし、撮っていても楽しい。
 そうして撮っていくうちに、どんどん猫に惹かれていきました。猫って表情が人間くさいというか……。撮影中も言うことを聞いてくれなくて飄々としていても、最終的に撮らせてくれるのが素晴らしい。2時間くらい出てこなくて、「今日は撮れないかもしれない」と思っても、最後は撮れる。猫は賢いから、ある意味仕方ないなあという感じで撮影に協力してくれているんだと思います。
 撮影序盤はどう太ももを綺麗に見せるかを中心に考えていました。でもいつの間にか、表情やパーツなど、猫をどう見せるかを考えるようになって。前提がどこまでも猫になってきたんです。それほど猫は素晴らしい。

(あおやま・ゆうき 写真家)
波 2017年5月号より

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著者プロフィール

青山裕企

アオヤマ・ユウキ

1978年、愛知県名古屋市出身。筑波大学第二学群人間学類(心理学専攻)を卒業後、写真家として活動。2007年、『キヤノン写真新世紀』優秀賞(南條史生選)受賞。著書に『むすめと! ソラリーマン』『SCHOOLGIRL COMPLEX 2006-2015』『絶対領域』『吉高由里子 UWAKI』『ガールズフォトの撮り方』『パイスラッシュ』『SCHOOLBOY COMPLEX』『僕の妹は、写真家になりたい。』生駒里奈(乃木坂46)ファースト写真集『君の足跡』『オリエンタルラジオ×青山裕企 写真集 DOUSEI―ドウセイ―』『かわいいスカートのめくりかた』ほか多数。サラリーマンや女子学生など“日本社会における記号的な存在”をモチーフにしながら、自分自身の思春期観や父親像などを反映させた作品を制作している。

写真家 青山裕企 (外部リンク)

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