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これが「買い」だ―私のキュレーション術―

成毛眞/著

1,430円(税込)

発売日:2016/04/18

  • 書籍
  • 電子書籍あり

自分なりの「実利」を手にせよ! 成毛流、逆張りの「選び方」指南。

最先端IT機器やアプリ、住まいの選び方から、SNS活用法、投資先、遊び場所、接待手段、人物やニュースの見分け方まで。あふれる情報に流されず、本物を見究めて手に入れるなら、世間の逆を行け。元マイクロソフト社長にしてHONZ代表が実践する、モノとアタマの片付け方とは。週刊新潮の人気連載、待望の単行本化!

目次
0 逆張りの思考でいく
アマノジャクに生きる/逆張りを押していく/運の総量は決まっている/おもしろそうなほうを選ぶ/質の違う苦労をとる/20年後によくなる家を選ぶ/自分だけのお宝を発掘する/東京すごろくを楽しむ
1 情報の取捨選択術
一眼レフと高級コンパクトデジカメを比べる/「新商品」ではなく「新技術」を買う/カメラを使い分ける/アップル最大の発明とは/インターネットにはもう驚かない/アマゾンの舞台裏をつく/監視社会にうまくかかわる/情報断食をしてみる/ITを幸福度で見る/フェイスブックを活用する/ドローンの次のかたちを
2 本を読むことのプラス
本は目で楽しむ/成毛的書店経営を模索する/「完璧な書店」を妄想する/悪口をブロックしない/批評よりもキュレーションをする/HONZという転職をした/辞書や名言集を読む/紙の地図を眺め倒す/本棚とスマホは脳を映す/SFこそが、次に「来る」!/雑誌や新聞の強みを使う
3 人のやらないことをやる
「帰れる場所」を作る/ネタを仕入れる旅をする/旅に日常を持ち込む/ぼんやりする時間を確保する/旅はエックスデイの前を狙う/だからキューバに行った/旅では優先順位をつける/ハコモノよりソフトに投資をする/天ぷらを愛している!/天ぷらを決めるのは技術である/TKGを究める/定番の味を求め続ける/「テレビ見ない自慢」を裏切る
4 「本物」を手に入れるための方法
費用対効果の高い接待をする/人を見ぬくには直感に頼るべし/プレゼントは高くないものを大量に届ける/新入社員は仕事ができないものと頭に入れる/アベレージゴルファーに留まる/ゴルフの練習はしない/老後のために友人をつくる/フェアプレーをする/40代からの遊びこそ大事にする/簿記を学んでおく/IT化できないところを見出す/飲み会のメンバーは厳選する/調べ物メモをつくっておく/震災時の「情報戦」に備える/記憶力減退を予防する/生命保険を再検討する/自分の顔をアンティークにしていく/医者選びは普段から/飲んで学ぶならおかまバーへ/投資は自分の好みでする
5 ビジネスヒントはここにある
プラモデル市場の潜在能力を見る/英語より歌舞伎を学ぶ/京都に進取の気性を見る/巨大かつ精密なものを見る/ニッチを攻める/ネットワーク効果を活用する/「ストレートニュース」の価値を知る/コンビニの色を観察する/コンビニは人材の宝庫である/香りをトリガーにする/「枕元」にビジネスチャンスがある/「三丁目の夕日」ではなく「高度成長期」でテーマパークをつくる/寂れた熱海は「上がる」/神仏を信じさせる仕組みを感じる/ゴルフの趨勢と環八の関係/絵を描くならテクニックから教わる/パーティをやるなら伝説をつくる/パーティで印象を残す3つのシーンがある
6 さかさまに物事を見ていこう
ゆとり教育には大賛成/会社では、ゆるく楽しく/質問力を磨け/マイナンバーよりも財産債務調書制度に注目/マイクロソフトのアメリカでの同窓会/大きな夢や目標なんぞ持たない/歴史上の人物に「会ってみる」/楽しく死ぬ
あとがき

書誌情報

読み仮名 コレガカイダワタシノキュレーションジュツ
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-329223-4
C-CODE 0095
ジャンル 倫理学・道徳、ビジネス実用、趣味・実用
定価 1,430円
電子書籍 価格 1,430円
電子書籍 配信開始日 2016/04/29

書評

面白く生きていける本

麻木久仁子

 最初に目次を眺めていたら、成毛さんの「でしょ?」という得意気な顔が思い浮かびました。直接ご本人を知っている人は、愛嬌のある顔を思い浮かべると思います。具体的なモノの選び方から、人生指南、人をどこで判断するかまで、落語のような、ショートショートのような、どこにオチが来るのかをワクワクしながら読ませる工夫があります。
 成毛さんには、ノンフィクション書評サイトの「HONZ」でお世話になっていますが、私は途中で声をかけていただいたクチで、逆風下にツイッター上で「書いてみない?」と。見学に行ったつもりがいつのまにかメンバーになっていて、今ではすっかりおなじみに(笑)。居心地がいいんです。
 メンバーの顔触れは多彩で、年齢も職業もバラバラ、学生さえいて一見ランダムなんですが、どこかそこには統一感があって、声をかけた成毛さんの天性の「見る目」が行き届いている。ご本人は、「それはね、ただの勘だから」とおっしゃる気がするんですけど、勘というのは、積み上げてきた経験と知識の総量ですよね。
 そもそも、一人の人間が一生に会える人数は限られているのに、どうも成毛さんの周りにはユニークな人が多い。これは、「面白く生きていくぞ!」という構えが伝わってくるからかもしれません。フラットにモノや人を見て、変に裏がないんです。でも「面白く生きていく」ことって大変だと思いませんか。世間の目を気にして「もう少し面白いことがあったらもうけもの」と、自分をだましながら生きるのがせいぜいなのに、面白いことを本義にしていくのは、信念が必要なことです。でも、面白がる人の周りには、面白い人が集まります。HONZも、もしかしたらそれ以外のお仕事も、土台に邪心がないから人が楽しく集まってうまく回っていくのかな、と私は思います。
週刊新潮」連載時のタイトル「逆張りの思考」の「逆張り」については、冒頭に説明がありますが、非常に難しい方法論で、ほとんどの場合はこの邪心が出てダメ。実は、なんでも逆張りにするのは、黒と言われたら白、白だったら黒、で、順張りと同じだから楽ですよね。本気で逆を張ろうという人は、実際はそれを口に出さずにやるはずで、冒頭でそこにずばり切り込むところからして「プロの逆張り師」ですよ(笑)。そのつど、状況をきめ細かくくみ取って、複雑な逆張りができるのは相当な感性、そして思想が必要です。腹が据わっているからこそできることで、実は「良い子は真似しないでね」という一冊なのかも。良い子はまず、お勧めのアプリをダウンロードするあたりから始めましょう(笑)。
 私が好きなのは「『テレビ見ない自慢』を裏切る」のところ、痛快です。「なんでもダメ」という人はなにも考えていない。面白いがあるからつまらないがある。必要があるから不要がある。その緩急を常につけて、物事を見ていることがわかるんです。成毛さんはよく、「〇〇が面白くてさ」と、いろんなことを楽しそうに話してくださるのですが、「面白かった」「よかった」「美味しかった」という評価は、どんどん確認しながら口に出しておくとよいかもしれませんね。自分がなにを必要としているのか、必要としていないかがわかってきます。逆張りを張る体力がつくかもしれません。
 それから、成毛さんは逆張りの極意を「ほったらかして待てること」と書いています。才能だってお金だって、もちろん限られているし、不安や心細さは誰にだってあるはず。芸能界なんて、来年がどうなっているかさえ見えない職業です。でも、楽しさや面白さに巡り会えるように次を待つ、過去の経験を引きだしに入れつつ、自分なりに待つ。この才能がある人は、一緒にいると楽しいし、話を聞くと面白い。だから、成毛さんはいつも「でしょ? 面白いでしょ?」って顔をしている気がします。
 この本は、そんな人の本です。

(あさぎ・くにこ タレント)
波 2016年5月号より

著者プロフィール

成毛眞

ナルケ・マコト

1955(昭和30)年北海道生まれ。中央大学卒。自動車部品メーカー等を経て日本マイクロソフト株式会社入社、1991年同社代表取締役社長。2000年に退社後、インスパイア設立。早稲田大学客員教授ほか書評サイト「HONZ」代表を務める。著書に『これが「買い」だ』等。

書評サイトHONZ (外部リンク)

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