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話し言葉の日本語

井上ひさし/著 、平田オリザ/著

649円(税込)

発売日:2013/12/25

  • 文庫

わかりやすくて面白い日本語論。せりふの名匠が話し言葉について徹底対話。

せりふの専門家である劇作家ふたりが、話し言葉について徹底検証。従来の日本語論とは違う角度からその本質に迫るとともに、日本の演劇を真摯に見詰める──。せりふにおける助詞・助動詞の重要性、日常会話とせりふの相違、敬語や方言や流行語の扱い方など日本語のマエストロによる話題は汲めども尽きない。言葉と演劇に対する熱い思いを胸に語り合うわかりやすくて面白い対話集。

目次
1 話し言葉の時代を走る乗り物としての「せりふ」
日本人はおしゃべりか、それとも無口か/日本の「話し言葉」はなぜあいまいなのか/戯曲は文学か、時代の主義主張か/「小説」がもっとも苦手なところを得意とするのが「演劇」/日本語をいかに強くするか、美しくするか/何を基準に正しい日本語というのか/戯曲を上手に書くには大恋愛をするのがいちばん!
2 主語・述語の演劇と助詞・助動詞の演劇
会話の日本語はなぜ主語がなくても通じるのか/話し手の立場を表現する「助詞」/「ねさよ廃止運動」と「ねはい運動」/すぐれた戯曲の要件とは
3 「敬語」の使い方・使われ方
日本語だけではない敬語表現/歴史のなかで「敬語」はどう変わっていったか/「はい、喜んで」という敬語表現/言葉におけるサービス/「お疲れさま」と「ご苦労さま」の混同
4 「方言」を生かす演劇
方言と標準語の二重言語生活/NHK『青年の主張』のおかしさ/「標準語」化への三つの方法/まだ未完成の日本語/「方言」というよりも日常の話し言葉
5 対話
芝居のせりふと日常会話の違い/戯曲のなかのいい対話の条件/戯曲の対話と小説の会話/対話は米を揺するごとく/新劇は対話から始まり、対話で終わる
6 戯曲のなかの流行語
一生に使う語彙は三、四万語/戯曲の軸を近未来におくか、過去におくか/年月に耐えうるせりふを書きたい/「出前とる? オア、食いに行く?」
7 戯曲の構造と言葉
「忠臣蔵」に劇の構造を見る/演劇でいちばん大事なのは「観客がいる」こと/「人生に暗転はないんだよ」/ドラマドクターという存在
8 戯曲の組み立て方
戯曲はだれでも書けるのか/登場人物の設定と種類/演劇のルールの言語化/芝居は作家のものか、演出家のものか
9 こうして最初の「せりふ」が生まれる
戯曲を書くための「資料」集め/ノートとパソコン/「新約演劇」と「強約演劇」/演劇界の新しい構造
10 翻訳劇から日本の演劇を見詰める
戯曲のなかの「語順」/浪漫主義と構造主義/ヨーロッパで平田芝居が受ける理由/これから重要になる「観客論」
11 「いかに書くか」から「何を書くか」へ
戯曲の「言葉」は文化の点検/「日本語の歴史」を知ることが必要/日本語は「文化」か、「実用」か?/戦争による言葉の喪失/日本人の「自立」と日本語/観客の意識を変える「言葉」
12 生きる希望が「何を書くか」の原点
「テーマ」より「演劇的構造」をまず考える/書いているうちに、テーマが出てくる/若者を疎外する日本の悲劇的文化事情/劇作は「希望をつくる」仕事
13 世界のなかの「日本の演劇」
日本の演劇は、いま最悪か/世界でも珍しい日本の「戯曲雑誌」/手本は外国ではなく、日本にあり/名ぜりふのつくり方/昔からある言葉、いま使われ出した言葉
井上さんの思い出 平田オリザ

書誌情報

読み仮名 ハナシコトバノニホンゴ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 368ページ
ISBN 978-4-10-116833-3
C-CODE 0195
整理番号 い-14-33
ジャンル 評論・文学研究、文学賞受賞作家
定価 649円

著者プロフィール

井上ひさし

イノウエ・ヒサシ

(1934-2010)山形県生れ。上智大学文学部卒業。浅草フランス座で文芸部進行係を務めた後、「ひょっこりひょうたん島」の台本を共同執筆する。以後『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞)、『手鎖心中』(直木賞)、『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞)、『腹鼓記』、『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞)、『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞)、『東京セブンローズ』(菊池寛賞)、『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞)など戯曲、小説、エッセイ等に幅広く活躍した。2004(平成16)年に文化功労者、2009年には日本藝術院賞恩賜賞を受賞した。1984(昭和59)年に劇団「こまつ座」を結成し、座付き作者として自作の上演活動を行った。

平田オリザ

ヒラタ・オリザ

1962(昭和37)年東京生れ。国際基督教大学教養学部卒業。劇作家・演出家・青年団主宰。大阪大学教授。『東京ノート』で岸田戯曲賞、『月の岬』で読売演劇大賞優秀演出家賞、最優秀作品賞、『上野動物園再々々襲撃』で読売演劇大賞優秀作品賞、『その河をこえて、五月』で朝日舞台芸術賞グランプリを受賞する。

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