暁の寺―豊饒の海・第三巻―
825円(税込)
発売日:1977/11/01
- 文庫
世界は、一瞬一瞬ごとの「滝」――おそるべき認識が物語を貫く。
自分は日本人の生れ変りです――。タイの姫君は本多繁邦にそう訴え、松枝清顕と飯沼勲に関する質問にも正確に答えた。続くベナレスの旅で本多は輪廻の実相を目撃し、白い聖牛の厳かな顔に慄然とする。脳裏に甦るのは清顕の「あの言葉」。戦後、姫と再会した本多はその肌に転生の印を見究めんとするのだが……。認識と神秘の相克が招く圧巻の結末。『豊饒の海』第三巻。
書誌情報
読み仮名 | アカツキノテラホウジョウノウミ03 |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 448ページ |
ISBN | 978-4-10-105023-2 |
C-CODE | 0193 |
整理番号 | み-3-23 |
ジャンル | 文芸作品 |
定価 | 825円 |
どういう本?
タイトロジー(タイトルを読む)
この塔は永きに亘って、色彩を以てする暁鐘の役割を果して来たのだった。鳴りひびいて暁に応える色彩。それは、暁と同等の力、同等の重み、同等の破裂感を持つように造られたのだった。
メナム河の赤土色に映った凄い代赭色の朝焼の中に、その塔はかがやく投影を落して、又今日も来るものうい炎暑の一日の予兆を揺らした。……(本書19〜20ページ)
著者プロフィール
三島由紀夫
ミシマ・ユキオ
(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。
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