お伽草紙
737円(税込)
発売日:1972/03/23
- 文庫
ムカシ ムカシノオ話ヨ。瘤取りじいさん、浦島太郎、カチカチ山。太宰があの名作を徹底解剖、大人を唸らす残酷民話集。
困難な戦争期にあって、深く芸術世界に沈潜することで時代への抵抗の姿勢を堅持し、日本文学の伝統を支えぬいた太宰中期の作品から、古典や民話に取材したものを収める。“カチカチ山”など誰もが知っている昔話のユーモラスな口調を生かしながら、人間宿命の深淵をかいま見させた「お伽草紙」、西鶴に題材を借り、現世に生きる人間の裸の姿を鋭くとらえた「新釈諸国噺」ほか3編。
清貧譚
新釈諸国噺
貧の意地
大力
猿塚
人魚の海
破産
裸川
義理
女賊
赤い太鼓
粋人
遊興戒
吉野山
竹青
お伽草紙
瘤取り
浦島さん
カチカチ山
舌切雀
書誌情報
読み仮名 | オトギゾウシ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 416ページ |
ISBN | 978-4-10-100607-9 |
C-CODE | 0193 |
整理番号 | た-2-7 |
ジャンル | 文芸作品 |
定価 | 737円 |
どういう本?
タイトロジー(タイトルを読む)
瘤取り
ムカシ ムカシノオ話ヨ
ミギノ ホオニ ジャマッケナ
コブヲ モッテル オジイサン
このお爺さんは、四国の阿波、剣山のふもとに住んでいたのである。というような気がするだけの事で、別に典拠があるわけではない。(本書260ぺージ)
浦島さん
浦島は、その竜宮のお土産をあけて見ると、中から白い煙が立ち昇り、たちまち彼は三百歳だかのお爺さんになって、だから、あけなきゃよかったのに、つまらない事になった、お気の毒に、などというところでおしまいになるのが、一般に伝えられている「浦島さん」物語であるが、私はそれに就いて深い疑念にとらわれている。(本書327ぺージ)
カチカチ山
カチカチ山の物語に於ける兎は少女、そうしてあの惨めな敗北を喫する狸は、その兎の少女を恋している醜男。これはもう疑いを容れぬ儼然たる事実のように私には思われる。(本書332ぺージ)
著者プロフィール
太宰治
ダザイ・オサム
(1909-1948)青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。