NHKの、しかも人気ドラマのパワーを肌で感じました。昨日は多くの方々にこのブログを読んでいただきました。こうして少しずつ認知度を高めていかなければいけませんね。おかげさまで日本鉄道旅行地図帳『東日本大震災の記録』もまた書店様から注文をいただいているようです。もうひとつ「あまちゃん」パワーの恩恵に浴しているマンガがあります。
バンチコミック『さんてつ』です。『東日本大震災の記録』のマンガ版ですが、地図帳をマンガにするという発想は、担当編集者のキャラクターもあり、当初は絵空事にしか聞こえませんでした。ところが、マンガのドキュメント力は、地図帳とはまた違った迫力がありました。
今日(3日)放送の「あまちゃん」では、車両を数人で押すシーンが出てきました。大きな鉄道車両を数人が力を合わせて押すシーンは、なかなか感動的でした。このシーンをどこかで見たなと思ったら、『さんてつ』の表紙に描かれているのですね。作者は吉本浩二さんです。ツイッターで「車両を押すシーン...大吉さん達の気持ちがグッと伝わるとても素晴らしい名シーンでした!!」とまるで他人事のよう。
ライターの町山智浩さんは表紙絵について「宮藤官九郎さんに直接聞いた話ですが、今日の車両を押すシーンは吉本さんの『さんてつ』の表紙へのオマージュだそうですよ!」とつぶやいています。
吉本さんは取材で三陸鉄道の人から、車両をみんなで押して動かしたという話を聞き、その日のうちにホテルで作画したとやはりツイッターでつぶやいています。ただしこの絵自体は本文に出てきません。
昨日に続き、無粋な話ですが、この『さんてつ』に描かれた車両を押すシーンは、いつどこのエピソードなのだろうかと思いました。調べてみると、宮古駅で車両をちょっとずらす程度の作業だったようです。しかも5月に。
しかしそれはとるに足らないことです。何もかもが壊れてしまって、鉄道車両でさえ、人力で押さなければならない状況。このシーンは震災を象徴する場面と吉本さんはとらえたからこそ、表紙絵になったのでしょう。さらにそれが、「あまちゃん」の感動シーンにもつながりました。
この『さんてつ』を読めば、東日本大震災で三陸鉄道に何が起こったのかをおおよそ把握することができます。「あまちゃん」はドラマなので、例えば三陸鉄道を北三陸鉄道(北鉄)に置き換えたり、駅名も変えていますね。ところが、ドラマの中で大地震が起こってみると、実際には何が起こったのかを知りたいと思うのは当然の成り行きでしょう。
昨年3月に発売になった『さんてつ』は初版3万6000部。地道に売れ続け、現在3刷り4万4000部。昨日の「あまちゃん」パワーは、アマゾンのコミック部門で8位、キンドルでは全体の5位という異常な高みにまで『さんてつ』を押し上げました。
まだお読みでない方は、是非お読みください。「あまちゃん」がさらに面白くなるでしょう。なお印税の一部は三陸鉄道に支払われています。
さてWebの方は、今日の夕方、総武本線沿線、京成線沿線を開業しました。房総半島全域が開業することになります。会員の皆様のご投稿をお待ちしております。
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編集部 田中比呂之(ひろし)